あれから、1週間半・・・からの連絡はなかった。
そして、私は・・・最悪的なことに、自慰行為を・・・3度と繰り返してしまった。
「(情けない)」
「どうしたの、グラハム。穏やかじゃないね」
私はいつものようにカタギリの研究室に篭っていた。
そして、ソファーに座り込み一人落胆していた。
「・・・聞かないでくれ」
「いや、別に聞かないけどさ。でも、いつもの君らしくない酷い落ち込みようだから」
「もう私は、私自身に対して酷い罵声を浴びせたい。いや、いっそ出来る事なら死に絶えたいんだ」
「・・・・・まさか、君・・・したの、独り遊び」
「!?」
意表を突かれ、私は肩をビクッと動かした。
そして、ゆっくりカタギリの顔を見る。
口を手で押さえ、出したい言葉を止めていた。
目線は何とも驚いた目線なのだが、半分哀れんでる・・・あの目は。
私はもう何も言うこと無く、彼からそっと目を背けた。
「君・・・あれほど、僕するなって言ったよね?本当にする?」
「いや・・・出来心だったんだ」
「出来心でもさ・・・学習しようよグラハム」
「我慢できなかったんだ!が居ない1週間半・・・どうすればいいというんだ!!!」
「だからって、すること」
「私だって自分が恥ずかしい。あー、本当に恥ずかしくて、穴があったら入りたいくらいだ」
本当に穴があったら入りたいレベルの恥ずかしさだ。
しかも、何故自慰行為に走ったのか
それを3度と繰り返した自分が本当に情けない。
「に合わせる顔がない」
「そうだろうね・・・聞いた瞬間、呆れるどころか多分実家に帰るんじゃないの」
「え?!」
思わず、自分でもあげたことの無い声をあげた。
確かに、私がこんな惨めでみっともないことをしていたと
に分かってしまったら、それこそ戻ってきた彼女が
再び養家へと戻っていってしまうことになるかもしれない。
そして、そのまま縁を切られることだって考えられる。
が私の側からいなくなる・・・考えただけで地獄。
そして、再び落ち込む。
「駄目だ・・・絶望的だ」
「嘘嘘嘘!!・・・大丈夫、大丈夫だよグラハム!!」
「いや、そうかもしれないよカタギリ。はきっと私を憐れんだ目で見るんだ・・・そうだよ、そうさ、そうに違いない」
「グーラーハーム!!頼むからそのローテンションを保たないで!!」
「もう、私はダメだよカタギリ・・・もうダメだ・・・ハハハハ」
-------PRRRRRRR・・・・!!!
すると、研究室の電話が鳴る。
カタギリはすぐさま電話を取りに行く。
私はというと、ローテンションのまま
1人落ち込んでいた。
「はい。・・・あ・・・うん・・・うん、分かった・・・え?・・・あぁ、はいはい。そうだね。
うん、分かったよ・・・じゃあ今からそっちに・・・うん、うん分かった。すぐ行くね」
数秒でカタギリは通話を切断した。
「誰からだ?」
「ちょっとね。用事ができたんだ。
グラハム、もう今日は帰りなよ。君、その調子だと仕事も手に付かないだろ」
「そうだな。家に帰っていっそ寝る・・・寝て過ごすことにするよ」
「じゃあ、僕も行くところあるから」
「近くまで送ろうか?」
「いいよ気にしないで。君は帰って早く寝て」
「すまないなカタギリ」
そう言って、私はのいない自宅に再び戻ったのだった。
「・・・・・・眠れない」
私は、自宅に戻り寝室に寝転ぶも
寝返りを打っては、眠る気配が無い。
いや、眠れないのが本音だ。
「はぁ・・・ビールでも飲むか」
アルコールを少しでも含めば、何かと眠くなるだろうと思い
私は寝室を出て、階段を降り、キッチンへと向かった。
私は冷蔵庫を開けて、ビール缶を出し
開けて口に少量含む。
「(早く帰ってこないだろうか、。早くの手料理が食べたい)」
私は、キッチン前のカウンターにビール缶を置いた。
いつもならこの時間は、が夕食の準備をしている。
美味しそうな料理の匂いと、其処で調理をする愛らしい彼女。
『ねぇ今日、何に食べたい?』
「何でも良いよ」
『何でも、ってのが作る人間には困るんだけど?』
「の好きなものを作って」
『・・・もう、すぐ私の好きなものって言うんだから』
「の作ったものなら、私は何でも食べる」
『じゃあ、今日お養母さんに教えてもらった料理作るね』
「あぁ、頼むよ」
『失敗すると思うから、覚悟してね』
「それでも全部食べるさ。なんたって、の作る料理は何でも美味しいから」
『もう・・・グラハムったら』
「・・・」
ふと、我に返る。
「あ・・・あー・・・最悪だ」
我に返ってみたら私は持っていたビール缶を握りつぶしていた。
しかも中からはビールが溢れ出てきている。
何処まで、私はあの子を妄想すれば気が済むんだろうか。
重症も重症すぎる。
もう、一種の病気だ。
名付けるなら「欠乏症」とか「が足りない病」とかだろう。
それくらい、私はが居ないだけで不安になっているのだ。
-------ピンポーン・・・!!
「誰だ?」
すると、突然インターフォンが鳴り
私はすぐさま返事をする。
「はい」
『あぁ、グラハム。僕・・・カタギリだけど』
すると、外に居るのはカタギリだった。
「どうした?」
『君に渡したいものがあってね・・・開けてくれないかい?』
「開いてるから勝手に入ってくればいい」
『無用心だね、君』
私はカタギリとの通信を途切れさせた。
玄関ではカタギリの入ってくる音がして
私は手で握りつぶしたビール缶を片付け、床に零したビール液を拭き
新しいビールを冷蔵庫から取り出し、中を開けた。
「グラハム、相変わらず機嫌悪そうだね」
「はぁ・・・何しに来た」
「だーかーら・・・・渡したいものがあるって言ったじゃん」
「何も持ってないじゃないか?」
カタギリがリビングにやってくるが、渡したいものがあると言っているが
彼の手には何も持たれていない。
私は彼に背を向け、ビールを一口口に含んだ。
「用が無いなら、帰ってくれ。見ての通り私は機嫌が悪い」
「その君の機嫌の悪さを取り除きに来たんだけど」
「一体どういう」
私は、振り返りカタギリを見た瞬間
手に持っていたビール缶が地に落ちた。
カタギリで驚いたんじゃない・・・カタギリの隣に・・・―――――。
「」
「た、ただいま・・・グラハム」
1週間半と・・・私から離れていた、が・・・其処に居た。
逢いたいという幻が現実を呼んだ
(今、目の前に居る君は幻、それとも・・・本物?)