昔から私の憧れだった。
グラハムお兄様・・・・エーカー家では、とても素晴らしい人だと
父さんからよく聞かされていた
叔父様の子供で、とても優れた人なんだと。
「お兄様は私の憧れですわ」
「は?」
湯船に浸かりながら、私は真向かいに居るグラハムお兄様に言った。
私の言葉を聞くなりお兄様は、呆れた表情をしていた。
「憧れ・・・・か?」
「そうですわ。ですから、決めましたの!私お兄様のお嫁さんになるって!!」
「プッ・・・・アハハハハハ、ついにイリア・・・・頭がいかれたか?」
「まぁ失礼な!!本気ですのよ、お兄様!!信じてませんわね」
「あぁ、信じたくもない。俺はお前を嫁に貰う予定はないからな」
そう言って、お兄様は湯船から立ち上がって、脱衣室へと行く
私も慌てて出ようとすると・・・・
「コラ、髪も洗ってない子が出るんじゃない」
「だ、だってお兄様出るんでしょ?じゃあ私も」
「キチンと体も髪も綺麗にしないと、俺は許さないぞ?此処は俺の家だ、俺の言うことには従え」
「むぅ、ケチですわね」
「ケチじゃなくて、身なりは清潔にしろって言ってんだ。それにお前は1人で長旅してきたんだ、もう少しゆっくり入ってなさい」
お兄様は笑って私の頭を撫でた。
そうやって優しくするから、私お兄様の隣に立ちたいんですのよ
子供の戯言だと思ってる・・・・でも私は本気。
本気でお兄様のお嫁さんになりたいって思ってる。
たとえ、お兄様に恋人が居たとしても・・・・
「私、負けませんわ!」
そう!
あのとかいう人も、結局はお兄様に惚れた女の1人
お兄様を弄んで、捨てるのがオチ
いつかは、絶対に別れるに決まってる・・・・其処を狙って・・・・。
「完璧ですわ!」
居るべきものはやはり、私!
そう思わせてしまえば、こっちのもの
あぁ、早くあの腕に抱かれたいなぁ〜
「キャァア、私ったら恥ずかしいですわぁ〜いやぁ〜ん」
そう思ったときが恥ずかしくて、私は思わずお湯の中に潜ってしまった。
「(しまった・・・・思わず、長湯してしまった)」
お兄様が出て、数分・・・・いや多分30分はお風呂に入っていた
思わない長湯に私は持ってきた洋服を着こなし
少しフラフラしながらもリビングに向かう
『、いつまで怒ってるんだ?・・・・いい加減、機嫌直してくれないか?』
『別に怒ってませんけど?』
『言葉に棘がある時点で、怒ってるだろ?なぁ、謝る・・・・すまなかった』
『・・・・・・・・』
すると、リビング手前・・・・キッチンのほうからお兄様と、さんの会話が聞こえてきた。
私は気づかれないように二人の様子を見る。
「私だって・・・・予想外だったんだ、イリアが来るなんて」
「その前に、子供の前であーいう会話をして欲しくなかった。」
「あ、あれは・・・・」
「いくら親族だからって、私は言って良い事と悪い事の区別くらいはつけて欲しいの。
私よりも年上なのにどうしてその区別がつかないの」
「す、すいません」
まぁ、図々しい・・・・ただの居候のクセに
お兄様を弄んで・・・・困らせて、謝らせるなんて。
「でもな、」
「っ、ちょっ!?」
(・・・・!?)
すると、お兄様はさんの後ろから優しく抱きしめた。
さんも突然のことで驚いてるけど、私も驚いた
あの、お兄様が・・・・っ
「ちょっと火使ってるんだから・・・・危ないでしょ」
「私だって、君に触れられないのはどうしても我慢できないんだ」
「グラハム危ないから下がって」
「ただでさえ、イリアが来て・・・・君と、キスをする回数も、触れる回数も、減るのに・・・・君は私を必要としてないのか?」
「・・・・もぅ、どうしちゃったの?」
すると、さんは火を止めお兄様のほうを向き直り
優しく頬に触れる。
まるで小さな子供をあやす、母親のようで・・・・さんは呆れもせず
それが日常茶飯事のようで・・・・
「君の愛を感じれない」
「あのね。少しの間、我慢するだけで良いのよ、それくらいできるでしょ?」
「できない」
「即答・・・・。貴方は、どうしたいの?」
「・・・・今すぐ、キスがしたい。研究室でも、さっきも、お預け食らって・・・・これ以上我慢できない」
「はぁ〜・・・・じゃあキス、だけよ?」
「させてくれるのか?」
「貴方が其処まで言うんだったら仕方ないしね。・・・・それに、私もちょっぴり、」
上目遣いでさんがお兄様を見ると
お兄様は優しい、それこそ私には見せたことないような笑顔でさんに微笑んだ
「それ以上してみなさい、本気で怒るからね」
「今までの怒りは本気じゃなかったのか?」
「あ、アレは・・・・マナーってモノで・・・・ンッ!?」
さんの言葉を遮るように、お兄様はキスをした。
荒々しく、乱暴に、でも・・・・愛がある
お兄様はさんを愛してるから、あんな風にキスをする
「んっ・・・・んぅ・・・・ふ、はぁ・・・・ぁ、グラハム・・・・ぁ、はぅん」
漏れる声は甘い
お兄様のキスの雨は続く、さんの頬が赤くなる
2人を見てて、分かった
さんが惚れてるんじゃない
お兄様が、さんに惚れてるんだ
だから、私は・・・・いくら、さんに睨みをきかせても
お兄様がさんを愛してる限り、さんが離れることがないんだ
「んっ・・・・ぁ、」
「しばらく、これで我慢な。」
「私は大丈夫だけど、貴方が我慢できるか心配」
「・・・・頑張るさ、でももう少しキスして良いか?」
「え?・・・・もう、仕方ないわね。あと少しだけよ」
「あぁ。」
そう言って、お兄様はまたさんに口付けをした
でも最初と違って、優しく・・・・徐々に荒々しく
あぁ、そうなんだ
私の憧れのお兄様は、やっぱりいつも遠いところに居るんだと
この時、ようやく分かった
嵐、突如として風速弱める
(ハリケーンは時に落ち着きを取り戻し、冷静に考える)