グラハムお兄様のお家に、滞在して2日が経った
毎日お兄様の麗しいお顔が見れて、幸せだったけど・・・約一名を除いては
「はい、グラハム・・・コーヒー」
「ありがとう、」
----チュッ
お兄様はさんの手を握って、手の甲にキスをした
「ちょっ!?イリアちゃんが居るでしょう!!」
「構うもんか、〜愛してるよ」
「バ、バカッ」
私は鋭い目つきでさんを睨みつけた
さんは素早くお兄様の手を振り払い、キッチンへと向かう
お兄様はさんが居なくなるとつまらなさそうな顔をしてトーストに噛り付く
「お兄様、のんびりしてていいんですの?」
「あ?」
「あ?・・・じゃありません!出勤しなくていいんですの?このままだと、遅刻しますわよ」
「お生憎と、昼から出勤でな時間はたんまりとある。丁度いい、イリア学校まで送ってやる」
「え?」
突然お兄様がそんなことを言ってきたので、私は驚いた
「何だ?私が送って都合でも悪いのか?」
「い・・・いえ、そんなことっ」
悪いも、何も・・・いきなりそんなこと言われたら、私だって心の準備が。
でも、お兄様がそう言ってくださるんですもん・・・好意には甘えなきゃ!
「じゃあ、早く食べろ・・・お前が遅刻するぞ」
「は、はい!」
お兄様にそう促され、私は仄かにきつね色に焼かれた
トーストを急いで口の中へと運んだのだった
-------バタン
「お兄様、ありがとうございます!」
「どーいたしまして」
数十分で学校に着き、私は車の扉を閉めた。
お兄様は車の窓を開けて、私の顔を見る。
「帰りは迎えに来れないからな、自分で帰って来るんだぞ」
「分かってますわ」
「そうそう、先日君の父上から電話があったぞ」
「え?」
パパから・・・電話?
「明日の夜、ウチに迎えに来ると言っていたぞ。帰る準備をしておきなさい」
「お兄様・・・私、・・・家に帰りたくありません!」
「はぁ!?」
また、お兄様と離れ離れになってしまう
だったら、いっその事・・・家に帰らなければいいのよ
そうすれば・・・ずっと・・・ずっと、お兄様のお側に居れる
「だから、お兄様・・・っ」
「イリア」
私の言葉を遮るように、お兄様は声を出した
「帰ってから話そう。・・・まずは行っておいで」
「・・・はぃ」
返事を聞くと、お兄様は窓を閉め車を発進させた
私はもっと、お兄様の側に居たいのに。
帰ったらゆっくり話そうとお兄様は言っていたから、そうするしかないんだと思った
--昼--
授業が早く終わり、私はため息を着いた
明日、明後日にはもう家に戻らなきゃいけない
またお兄様と離れてしまうと考えると、胸が苦しくて仕方ない
お兄様だけが、私を唯一理解してくる方・・・そして、私の憧れ・・・だから
離れたくない・・・だったら・・・
「説得あるのみ、ですわ!!」
そう心の中で意気込んで、私はお兄様への説得を試みるのだった
--------ガチャッ
「只今、帰りました。」
丁度エントランスに人が出入りしていたので、
私はスムーズにお兄様の部屋へと帰ってこれた。・・・でも。
「(あら・・・さんが、来ない)」
いつもなら、何気ない笑顔で玄関まで来るはずなのに今日に限ってこない
「(まったく、こういうのを怠ったら困るんですわ)」
私は心の中でブツブツと呟きながら、靴を脱いで部屋に上がる
こういうのを踏まえて、今日お兄様にお話したら
きっとお兄様はさんに呆れると思うわ・・・そして、此処にきっと私を残してくれる
私は小さく笑みを浮かべて、リビングに続く扉を開けようとノブに手をかけた
『・・・あっ!・・・』
私は突然手を止めた
甘いまでの声に、私はドアを開けるのを躊躇い
隙間のガラスから中を覗き見る
中の光景に私は驚いた・・・さんと・・・
『だっ・・・だめ・・・もぅ』
『何を言ってるんだ、。・・まだ始めたばっかりだろ?』
居るはずのないお兄様が、其処には居た
どうして・・・何故、お兄様がいるの・・・昼から、お仕事だって・・・
『グラハム・・・貴方っ・・・仕事じゃ・・・んぅ』
『実はな、今日は非番でな・・・イリアには、悪いと思ってるよ』
う・・・そ・・・っ。
お兄様が、私に・・・嘘を・・・付いた
どうして・・・?
『貴方・・・イリアちゃんに、何てこ・・・あぁっ』
『ゴメンよ、。私も我慢できなかったんだ・・・後1日って思ったけど君に触れられずにはいられなかったよ』
『グ、グラハム・・・ッ・・・ダ、ダメッ・・・あぁン・・・あっ』
つまり・・・お兄様は、さんと・・・一緒に、居たいがため・・・私に嘘を付いた
ずっと、ずっと・・・お兄様のこと・・・信じてたのに・・・
私は瞳から涙が零れ、2人に気づかれないように外へと飛び出した
ハリケーン・ザ・ストップ!
(嵐は動きを止め、大粒の雨を降らせた)