「グラハム・・・グラハム、いつまで落ち込んでるんだい?」


「しかしな、カタギリ・・・私だって、はぁ〜」





あれから、数日経った。

「あれから」というのはと喧嘩して数日だ。
喧嘩してからというものはまったく会話もしてくれない。





「食事も、ついこの間まで一緒に食べていたのに今は食べてもくれない。
寝るときくらいはと思っていたのにバリケードされて、添い寝すらさせてくれない」


「君、添い寝って・・・さん子供じゃないんだから」


「ああそれくらい理解しているさ!でもが側で寝て欲しいっていうから、寝てるんだ!
むしろ私はそれをして欲しいがためにダブルベッドを購入したんだがな!」



「うん、分かった。それで?」



「だから、このままではダメだと思い、私から話しかけてはみたんだが・・・」



「だが?」







ふと、先日の事を思い出す。







。この前はすまなかった、だから』



『何?私、別に話すことないし眠いから寝るね、お休み』









私の言葉を耳に入れるどころか、話すらしてくれない。

いや、話をする隙すら与えない。









「今までこんな態度されたことがない!反抗か?反抗期か?!」


「反抗期も何も、君に一番の原因があるんだよグラハム」






カタギリに言われ、ようやく心を落ち着かせ
研究室のソファーに深く腰掛ける。






「分かっているんだ。私が悪いと」





自分が一番悪いと分かっている。

彼女の反抗でも何でもない。私の勝手な嫉妬でに嫌われたことぐらい。






「分かっている。そうだよ、私が悪いんだ。あーもう私の人生終わったな」


「君らしくないネガティブなオーラが流れてるね」


「どうしたら、は機嫌を直してくれるのか。それだけを今、必死に探っている。
探っているのに・・・見つからない」


「グラハム」






どうしたら、彼女が以前のように私を愛してくれるだろうか・・・それだけを考えていた。


のご機嫌取りに仕事も手に付かない。

お互い何も喋らなくなって3日になる。

このままじゃ本当に彼女が私から離れて行ってしまうことになりそうで、怖い。








と別れるなんて、私は嫌だ」


「やれやれ」


「あれ、珍しいですね中尉がこんな所にいらっしゃるなんて」


「おや、いらっしゃい」


「ジャックか」







すると、研究室に私の部下であるジャックがやって来た。

しかし私は相変わらずのローテンションだった。
今は誰かと話すのだけでも正直、鬱陶しくてならない。


むしろ、私はと楽しくお喋りがしたい。



そんなことを考えただけで彼女が恋しくなるばかりだ。



そして、テンションが沈んでいく。






「中尉、どうしたんですか?何だかやけにテンション低いって言うか、何ですかこのネガティブなオーラは?」


「何、ちょっとさんと、ケンカしたんだよ彼」


「あーなるほど。お嬢さんが中尉に嫌気がさしてちょっと破局寸前ということですか?」







乙女座の私の心に10万のダメージ。








「ジャック・・・君って案外、容赦ないね」


「え?あ、冗談ですよ!!そ、そういえばお嬢さんで思い出しましたけど僕、さっき見ましたよ」


「何っ!?」






ジャックの突然の言葉に私はどうにか復活し彼の服の襟を掴んだ。






「何処でだ、ジャック」


「ど、ど、ど、何処って此処から程なく離れたダウンタウンですよ。
花屋に嬉しそうに入っていくお嬢さんを見たんです」






ダウンタウンの花屋といえば、の養家だ。






「それで?」


「僕も、出勤途中だったので其処までしか見てませんよ。
あ、でも何か出てくる時大きな花を持って出て行きましたね確か」


「本当だろうな?」


「ほ・・・ほほほほほほほ、本当ですよ!!!僕が嘘ついてどうするんですか!?」










彼の言葉に私は襟から手を離した。


花屋を出てくるときに大きな花を持っていた。

誕生日でもあるまいし、かと言って誰かに渡すものとは。


と、考えていたが・・・居るじゃないか、1人だけ・・・私が思いつく人物が。








「カイルか」


「えっ?誰だいカイルって」


「最近、カイルと言う奴から頻繁に電話がかかってくるんだ。もしかしたらそいつへのプレゼントか?」


「グラハム、想像しすぎ。そんなんだからさんに・・・って僕の話聞いてる?」








私はカタギリの声も耳に入れず、部屋をウロウロと歩きまわる。



養家で花を買っていった、となれば今からはカイルに会うはず。

ならば、私はここで男を見せなくてはならない。

がカイルに想いを告げる前に。




思い立ったが吉日。





「ジャック、案内しろ」


「へ?何処へ?」


「決まっているだろ、が行った花屋だ」


「いや、でも中尉場所ご存知のはずでしょ?僕が行かなくても」


「いいから来るんだ。私に逆らうのか?」


「め、滅相もございませぇ〜ん。是非ともお伴させていただきます」





ジャックに凄味をきかせると、彼は涙ながらに私に付いてくると言ってくれた。


ああ、私はいい部下を持ったな。





「決まりだ。よしカタギリ、君も来い」


「え?僕まで?・・・まぁ、君がようやくいつもの君らしくなったことだし、いいよ」


「そうと決まれば、行くぞ!」








ようやく覚悟が決まった。









彼女は、は絶対に渡さない。

大丈夫もう落ち込んだりしない。


誰かに捕られて悲しむよりも、自分で奪い返しに行ったほうがカッコイイじゃないか。
その方が何だかドラマっぽくて良い感じだ。




彼女にいい所を見せて、惚れ直してもらうことは間違いないだろう。








「()」







君の笑顔を、私はいつも一番側で見ていたいんだ。



だから、他の男の元に行くなんてこと・・・絶対にしないでくれ!!








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