「資産家令嬢?」


「そう。あのドリュー・アンジェラって人の奥さん。マリアは資産家の娘さ」






後日。

カタギリから色々と教えてもらった。研究室には、同じくジャックも居た。






「中尉、ご存知ありませんか?シリン・バッカスという資産家」


「ああ聞いたことはあるぞ。相当な資産家で有名だ。マリアは彼の娘か?」


「その通り。ドリュー・アンジェラは、彼が言ったとおりしがない画家。
2人の出会いは分かってないみたい。まぁでも、君みたいに恋っていうのは突然出会って始まるようなもんでしょ」

「あ、それは言えてるかも」


「おい、私で例えるな」


「事実だろ。実際、君の恋は突然始まったようなもんなんだから」






カタギリの言葉に何も言い返せなくなり、椅子に深く座り込んだ。



しかし出会いは分からないものの、2人は恋に落ちたが
彼女の父親が許すはずがなかった。


無理もないだろう。しがない画家と資産家令嬢・・・貧富の差は歴然。


だから、2人は駆け落ち同然で結婚をした。







「でも、お子さんは居ないんですよね?」


「元々マリアが病弱だったからだろ?」


「そうだね。それもあるし、彼女元々赤ちゃんが出来るような体じゃなかったんだよ」


「成る程な。だから、を可愛がったんだ・・・我が子のように」


さんや、カイルを自分達の子供のように育てるのが彼らの楽しみでもあるし、幸せだったのかもね」







家族の居ないとカイル。

そんな2人(というか1人と1匹)を育て
成長を見届けるのはとても幸せだっただろう。






「あ、それで良いニュースなんだけど。
ドリューさん、今、国の絵画展の予選で最終まで残っているらしいんだ。
このまま上手く行けば立派なところで彼の絵が見れるかもね」


「おお!それは楽しみですね」


「上手く行くさ。あの人はきっと素晴らしい絵を描くに違いないだろう」


「おや、グラハム自信満々だね」


「まぁな」


「中尉の勘って結構当たりやすいから、きっと見れますよ立派な美術館で」







三人で和気藹々とした会話をしていると
突如カタギリはクスクスと笑みを浮かべていた。







「そう言えば、グラハム、凄いことをしたみたいじゃないか?」


「何のことだ?」








突然の質問に、私は目を丸くした。









「聞いたよ、さんから。お墓参りに行った後、君、本当にさんと結婚を挙げるつもりだったんでしょ?」


「え!?ホントですか中尉!?」


「ああ、その話か」







ようやくカタギリの話で合点がいった。








をこのまま野放しにしておけば、いつ悪い害虫が付くか分からないからな。
いっその事妻として迎えたほうがいいかと、思ったのだが・・・」












話は、マリア氏の墓参りの後に遡る。

彼女の墓前で誓いを立てた後のこと。









『ちょっと本気で式挙げようなんて思わないでよ!!まだ結婚は無理!!』


『何故?』


『何故って・・・ま、まだ早いの!!私達まだ出会って2年しか経ってないのよ?
それなのに結婚だなんて・・・っ』


『2年も経っていれば十分に結婚してもいいくらいだ』


『バカな事言わないで!それに結婚は女の子の夢なの!!一生モノなの!!大事なの!!』


、しかし・・・・っ』


『それにいくら2年も同棲してるからってやって良い事と悪い事があるわ』


『と、言うと?』


『私が此処に居ることお養母さんから聞いたんでしょ。もう、どうしてお養母さんまで巻き込むのよ。
あの後電話があって、エーカーさんと何かあったの?って聞かれたんだから』


『違う、アレは君の居場所を』


『見直したのに、もう台無し!だから、結婚はお預け!!
先送り!!いいわね!!

















「と、豪語された」


「逞しいなぁ〜さん。むしろグラハムと違って我慢強い」


「というよりも、あの流れで結婚式を挙げようと思う中尉も中尉ですね。ある意味凄いです」



「私は今すぐにでもと籍を入れたいし、結婚もしたいのに」


「でも、いいじゃない。ゆっくりでさ」


「カタギリ」







カタギリは笑みを浮かべ私を見ていた。





「君たちには、彼らのような貧富の差みたいな弊害がないんだよ?それを考えたら幸せじゃないか。
まぁ軍人と一般人、歳の差恋愛っていうのは隠せない事実だけどね」


「でも中尉は十分に幸せに見えますよ。
お嬢さん、中尉と居るときはとっても幸せそうな顔してますから」


「・・・そうだな」






幸せは、噛み締めるもの。


今あるこの瞬間-とき-を大切にしていくべきなのだろうと
私はそう、思うのだった。




















「しかし、納得がいかない」


「何が?」



ある日の午後、私は自宅でのんびりしていた。
いや、非番で今日は休み。

そして、私の隣で本を読んでいるは手を止め私を見る。






「何がって?私とカイルはそんなに似ているか?」


「誰が言ったのそんなこと?」


「カタギリだ。カイルを見ると、何だか君を見てる気分だよって笑顔で言ったんだ。どーも納得いかない」





その後、それを言ったカタギリを一殴りしてきたが
私の問いに、は笑いながら・・・・・――――。











「似てるよ、凄く」











激しく落ち込むのだが?










「ど、何処がかな、お嬢さん?」


「髪の毛とか、フワフワしててくすぐったいし」










毛並みの問題!?








私はあまりの言葉に、彼女の膝に倒れこむ。







「でもね」







すると、は私の頭を優しく撫でてきた。







「私よりも年上だけど、甘えん坊で新しいものを見つけたら
目をキラキラ輝かせてすぐに夢中になっちゃうところとか。
でも、時々寂しくなると、自分から近づいてきてやっぱり甘えてくるの」



「それは、私なのか?」


「貴方よ、だからカイルとそっくり。カタギリさんの言葉は正しいのよ」







犬と一緒か。

何だか不思議な気分だ。








「じゃあ、飼い主の愛情も必要なときがあるな」


「へ?」


「当たり前だろ、犬も生きてるんだ。飼い主の愛情も必要なときがある」


「な、何が言いたいんでしょう?」


「そうだな。君の愛情が欲しいなあと思っているんだが」







私は、の頬に触れ唇を近づけようとした。












「ちょっと!変態な犬に育てた覚えはないわ。ムードは大切にしないさいよ、
バカハム






しかし彼女の持っていた本で阻まれた。

だが、此処で諦める私じゃない!

私は彼女の腕を掴んで、そのまま形勢逆転。








「キャッ!?」


「知っているか?犬は時に狼になるんだぞ?」


「何よそれ!?ていうか、いつ!?」


「愛情が足りないときだな」


「ちょっと、退いてよグラハム!!」


「最近耳の調子が悪くてな、聞こえにくい」


「もぅ〜」















愛の種 をばら撒いて
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