ある日、MSWADの一角で
女性隊員たちが、ヒソヒソと話していた。
「ねぇ・・・聞いた?あの、ウワサ・・・」
「聞いた聞いた!・・・あのウワサでしょ?」
「勤務中よ、何を喋りこんでるの?」
「あ!・・・マリアート大尉、すいません」
すると、其処にユニオンブルーの軍服に
下はスカートではなく、ズボンを履きこなした
長身で毛先、パーマかかったダークブラウンの髪をした
女性がやってきた。
彼女の名前は、カレン・マリアート
今年で年齢30歳といういい年なのだが、如何せん30には見えない風貌で
普通に20代後半に間違えられるほど。
そんな、彼女・・・女性としては珍しいフラッグファイターであり
女性軍人としては、大尉の階級を与えられた。
軍内部でも、彼女に憧れる女性隊員は後を絶たない。
「勤務中、何の話をしてたのかしら?」
「大尉、知りません?結構、今本部内のウワサになってるって言う話ですよ」
「だから、何なのそれは?」
カレンは呆れた声で、女性隊員に言うと。
二人の女性隊員は顔を見合わせて・・・カレンの耳元に話す。
「実は、エーカー中尉に恋人が居るって言う話です」
「え?」
女性隊員の言葉で、カレンは目を見開かせ驚いた。
「エーカー・・・中尉に、恋人が?」
「いや、でもウワサですよ大尉。・・・あくまでウ・ワ・サ・・・真に受けないほうがいいですって」
「そう。・・・ウワサ、ねぇ」
「そうですよ、大尉・・・ウワサですって」
すると、カレンは何か考えながら踵返し何処かへと向かう。
あまりに突然の行動で、二人の女性隊員は驚く。
「ちょっ、大尉!?・・・どちらへ?」
「急用を思い出した。仕事しなさいよ」
「大尉?!マリアート大尉!?」
女性隊員たちの声も聞き入れず
カレンは足を早々と進める。
そして、彼女はボソッと呟くのだった。
「恋人なんて・・・聞いてないわよ・・・グラハム」
はてさて、何やら波乱の雲行き。
人は噂に踊らされやすく
(何やら怪しい雲行きがMSWADを包み込む)