「懐かしいな、あれから2年か」
私は2年前の事を思い出してしまい、笑みを零した。
それからというもの、が私の部屋にやって来て一緒に暮らし始めた。
ちなみににはまだ伝えていない事だが
実は今住んでいる部屋は、私が以前住んでいたマンションの一室ではない。
私が住んでいたのは、この下の階。
といっても、すぐ下・・・というわけではなく、本当に何階も下の階に住んでいた。
一人暮らし用で帰って寝るだけの部屋。
別に散らかっていた訳ではないのだが、2人で住まうには少し狭すぎた。
其処で私はマンションの最上階。
バルコニー付きでメゾネットタイプの部屋が空いていることを思い出し
管理人に頼んで、が来る前に部屋を移し替えてもらったのだ。
彼女のために、家具も調度品も新調して
ベッドも2人で寝るために、ダブルのものをオーダーメイドした。
今では、まるで昔からが居るかのような空気で
この部屋もずっと使って、住んでいるみたいな雰囲気が流れ
お互いに喋ったり色々したりと『今』という時をを幸せに過ごしている。
『ただいまぁ〜・・・もぅ、濡れちゃった』
すると、養家に用事が在ると言って出かけていたが戻ってきた。
私は立ち上がり、少し濡れて帰ってきた彼女のためにバスルームからタオルを取ってきて玄関へと出迎える。
「お帰り。少し濡れたと思うからタオルを・・・・・・、何だそれ?」
「ふぇ?・・・あぁ、コレ・・・これは、そのっ」
玄関まで出迎えた私が驚いたのは
の腕に抱えられていた、大きな花束だった。
彩り鮮やかな、花束。
そして、問い詰めるとは困惑しつつ。
「あー、もう!・・・せっかく驚かそうと思ったのに!!」
「え?」
驚かす・・・?
私を・・・?
「はい、コレ。グラハムに私から」
「え?」
「誕生日の前祝とかそういう風に受け取ってもらってもいいし」
「私の誕生日は、もう少し先だろ?・・・とにかく、上がりなさい。温かいコーヒーでも淹れよう」
「うん」
私はから花束を受け取り、リビングに続く道を歩く。
実際目の当たりにすると、本当に色鮮やかな花たちだ。
でも、その花の中で一際他の花よりも割合を占めていたライトブルーの花。
見覚えのある花。
そして、先程まで思い出していた2年前の、あの日。
「勿忘草(わすれなぐさ)か」
「え?・・・覚えてるの?」
すると、が驚いた表情で私の前に来た。
「忘れるもんか。コレは初めて君と出逢った日に君から貰った花。
同時にコレは私を勇気づけてくれた花でもあるな」
「グラハム。覚えてたのね」
「君との事は、何でも覚えてるぞ」
ふと、壁に掛けたカレンダーを見た。
道理で何だか今日は思い出に浸る気分だな、と思ったら―――――。
「そうか。今日は、私が君に一緒に住んでくれ、と言った日か」
「え?・・・思い出したの?」
「君とこんな雨の日に出逢って3ヶ月で君に言ったからな。凄まじいスピードだな、そう考えると」
私が一人で考え込んでいると、目の前に居るは優しく微笑んだ。
「ありがとう、グラハム」
「え?」
「 私 す ご く 幸 せ だ よ 」
そうやって、は天使の微笑みを浮かべた。
あぁ、君の笑顔で私の心は溶けてしまうそうだ。
そう、この笑顔を近くで、側で見ていたいから・・・。
「じゃあ、今晩ディナーでも行くか」
「え?」
「お祝いだ。・・・行こう、。車で行くんだし、濡れる心配もないだろう」
「そういうのも悪くないけど。・・・でもね」
「ん?」
は私の腕を掴んで、擦り寄ってきた。
「今日はお家で、ずーっとグラハムの側に居たい」
その言葉に、私は一瞬驚くも彼女の頭に自分の頬を付けた。
「じゃあ、今日は此処に居ようか」
「うん!」
「そうだな・・・とりあえず、ベッドにでも行こうか。記念日だ、たっぷり愛してあげるよ」
「う!?そ、それは・・・っ」
「待ったなしだからな、」
「・・・はぃ」
あの、雨の日の出逢いがなければ
多分今の私や、はなかっただろう。
君の苦しみや悲しみを全部知って。
それを少しずつ、私に預けて・・・少しずつ、私を愛して。
大丈夫、君がもし泣きそうな時は側に居てあげよう。
暗闇に居るのであれば照らしてあげる。
だから、その甘い微笑みを私だけに向けておくれ。
「」
「ん、なぁにグラハム?」
「愛してる」
「私も、愛してるよ」
君に、絶え間ない愛を・・・永遠に。
Everlasting My Love-いつまでも-
(絶え間ない私の愛を君に捧げよう。それは、何物にも負けない無限の愛へと変わっていくから)