彼女を、を引き取って半年が経った。


生活も大分慣れ、始めはぎこちなかった呼び方も今ではだんだんと慣れてきた。

少しずつではあるが、距離が近づいてきた。






毎日楽しくお喋りをして、手を繋ぐから、腕を組むようになって
私がソファーに座っていれば、隣に必ず座る








一つ一つの仕草が愛しくてたまらない。








自身、まだ抵抗もあるけれど・・・キスだってするようになった。











・・・キス、してもいいかい?」


「・・・は、ぃ」








唇を、指で触れるとビクッと肩を動かし、顔を真っ赤にする。

ゆっくりと近付いて、優しく唇同士を重ねるが、すぐに離れる。



私はを見つめ、の頬を両手で包み込み彼女のおでこに自分のを付けた。










・・・可愛い」

「グラハムさん・・・あの、ゴメン、なさい」

「え?」










すると、が突然私に謝ってきた。

あまりのことで、私は内心驚いているがオモテに出さずを見ていた。










「私・・・キスも、初めてで・・・知らない事だらけで・・・その・・・ごめんなさい・・・っ」


「いいんだ、少しずつで。君に無理なことはさせたくないからな・・・気にしなくていいよ」


「・・・はい」







私が微笑むと、は安心したように笑って見せ私に抱きついてきた。

そんな彼女を私は包み込むように抱き返した。










何も知らない、真っ白な

汚れを知らず、育ってきた彼女・・・新しいモノを見つけたら瞳をキラキラ輝かせて
まるで、幼い子供のようで・・・とても、愛らしい。









でも、私の・・・に対する独占欲は募る一方で・・・早くあの肌に触れたいと思うばかりだ。










・・・私は・・・君を、君の全てを私のモノに・・・。









口から溢れる思いを押し止め、飲み込んだ。




もう・・・私は君を欲しいと気持ちで溢れているのに
何を躊躇っているのだろうかと、心の中で呟いた。











「グラハムさん、お帰りなさい・・・お疲れ様です」


「あぁ、ただいま」




ある日、私は仕事が早く片付き家に帰って来た。

いつものように、が玄関まで走ってきて私を出迎えてくれた。




2人で寝室に向かい私が着替えると、が私の手伝いをする。


は私が脱いだ軍服をクローゼットに収め、私服に着替えている私に近寄ってきた。











「ちゃんと着なきゃ・・・皺になりますよ」


「すまない・・・ありがとう」







は微笑みながら、私の服を整える。
上から見るは健気で・・・とても愛しく想えた。



私は思わず、の頬を両手で優しく包み込む。









「グラハム、さん?」






今すぐにも、この唇を・・・埋めたい。







彼女の・・・の全てを独占したい。





私は徐々にとの距離を縮めていく。
すると、そんな私の行動に気づいたのか彼女は体を震わせる。












「怖いかい?」


「グラ・・・ハムさ」


「嫌だったら、突き飛ばせばいい」


「そんな・・・私・・・っ」








震えるに私は自分のおでこを付けた。









「震えているな・・・大丈夫。怖くない・・・もし、君自身が嫌じゃなかったらこのまま、続けて良いか?」


「ぁ、あの・・・私、でもっ・・・」


「怖がらないで・・・全て、私に任せて」







そう言って、私とは唇を重ねた。




始めは啄ばむように優しく、でも徐々に深く、舌を絡ませて唾液同士を混ぜ合わせていく。

そして、私は唇を離し、の頬を流れるキスを涙で拭う。














「グラハム・・・さっ」

「ねぇ。ちゃんと、呼んで」





私と、は互いを見つめあい、そして・・・―――――。


















「 グ ラ ハ ム 」












その言葉を耳に入れた瞬間、何か切れるような音がして
私たちは流れるように、ベッドに沈んだ。










------ギシッ・・・ギッ・・・ギシッ・・・!







「はぁっ・・・あ・・・ぅ・・・ぃ・・・痛っ」


・・・痛いか?」


「ぅ・・・ぅん、ちょっと、だけ」







互いの体を繋げて、は行為に伴う痛みで涙を流していた。





微笑みながら彼女は大丈夫と言ったが
本当はかなりの激痛が体を走ってるに違いない。




私は目を閉じて・・・黙り込んだ。








「グラ、ハム?」


「私は・・・焦りすぎたのかも、しれない」


「ど・・・して?」







は少し驚いた表情で私を見ていた。




甘くみていたんだ。





今まで、誰かを想い、慈しみ愛するなんてなかった。



だから、それなりに・・・色々、知った体だけの関係を続けていた。


相手に想われていても、私は何とも思ってなかった。

ただ、己の欲だけを吐き出す場所として。






でも、今・・・目の前に居る愛するものに・・・体を走る激痛や苦痛を味あわせていて。
何とも早まってしまった事をしてしまい、何て愚かなことをしているのだろうと思った。




それに、は・・・まだ10代。
幼さが残る・・・まだ愛しい、可愛い時だというのに。








「ゴメン、

「グラハム」

「私は甘く見ていたんだ。・・・君を欲しいという気持ちが強まったばかりに、君に・・・酷い痛みを」

「そんなこと・・・っ、そんなこと、ないよ!」










すると、が私の頬にそっと触れた。






「私だって・・・いつまでも、このままじゃ・・・いけないって思ってた。
でも、私・・・貴方に甘えてしまえば・・・きっと・・・自分がダメになっちゃうって」







あぁ、そうか。


君は今まで甘えることを耐えてきたんだ。



今まで、は・・・他人に甘えることをしようとしなかった。

ましてや、一緒に住んでる私にすら、そんな素振りもなかった。








「だから・・・グラハムいいんだよ。私は大丈夫だから」
























「 私 を 貴 方 だ け の モ ノ に し て 」

















・・・君は」


「どんなに酷い事されたっていい、痛くても貴方なら大丈夫。
大好きな貴方だから、なんだって嬉しいの・・・だから、お願い」










ああどうして、こんなにも君は・・・―――。









「優しい子なんだろうか」


「グラハム・・・っ、ぁあ・・・あ、・・・はぁ、あぅ・・・!」




彼女の言葉を耳に入れると、私は腰を徐々に激しく動かし始める。









「ああっ・・・あ、・・・グラ、ハムッ・・・ッ」


、痛い?」


「うぅん・・・痛くなぃよ」






は本当に優しい微笑みを私に見せてくれた。



大丈夫、優しく・・・君の全てを愛してあげる。




私で、満たしてあげる。





・・・ッ」



「あっ・・・あぁっ・・・ひゃぁっ・・・ぅ・・・・ぁああっ・・!」





腰を動かしていると、が顔を手で覆い隠す。

私は、動きを止め、彼女の手を掴んだ。







、手・・・退かして」


「や、やだぁ・・・ヘンに、なっちゃぅ・・・から・・・見、なぃ・・・で」


「ヘンじゃないよ・・・気持ちイイことは・・・悪いことじゃないんだよ」








一つ一つ、君の知らないことを教えてあげるから。










「手、退かして・・・ちゃんと、の顔を私は見たいんだ」









一つ一つ、積み重ねていけば大丈夫だ。







すると、ゆっくり、手が顔から離れていく。








「・・・・・・」






瞳に涙をいっぱい溜めて、頬を赤く染めて
あまりにも愛しくて、思わず頬に触れた。









「好き・・・好きだよ、

「グラ、ハム」

「だから、私を受け止めて・・・全部じゃなくてもいいから」

「え?・・・ぁあっ?!・・・あ、ぁ・・・グラ、ハム・・・ッ・・・激しっ・・・ひゃぁう、あ、あぁっ!」






ベッドのスプリングが、ギシギシと軋み
擦れ合う度に、絡まる体液。

揺れ動く白くて華奢な体と
口から零れる甘い吐息と、可愛らしいまでの声。



全てが、全て・・・君が私を狂わせていくんだ。









「あぅ・・・あ、・・・あぁっ・・・グラ、ハムッ・・・も、・・・だ、ダメェ・・・!!」


、ダメだ・・・私も、もう・・・」




互いに絶頂が近付き、私はさらに腰を激しく動かし突き上げていく。










・・・・・・ッ!」



「っ・・・―――ぁああぁあ!!!」








私は、己の欲望をの中へと吐き出した。
同時にもそれを体で受け止め甘い声で喘いだ



互いに呼吸を整えながら、見つめあい・・・キスを軽くする。








「グラハム」



















「 
 し て る よ 」

「 私 も 
 し て る 」











そう言って、まるで愛を確かめ合うかのように体を重ねあった。













-朝-






「・・・ぅ・・・ぁ・・・朝、か」



私は、カーテンから差し込む光に体を起こした。

何だろうか・・・とても、心地いい朝だ。




「・・・




隣を見ると、昨日初めて抱いた・・・が正しい寝息を立て眠っていた。



アレから、何度確かめ合っただろうか?

もう、覚えてない・・・ただ、いつの間にか互いが互いを求めて
疲れ果てて眠ってしまったのだろう。






「んぅ・・・」


?」


「ぁ・・・」





すると、が目をゆっくり開けた。
私はそっと、彼女の頬を撫でた。








そして、は優しくふんわりと笑って――――。









「おはよう、グラハム」










とても、嬉しくなった。





「体は大丈夫か?」


「うん。・・・でも、ちょっと・・・腰が・・・痛いけどね」


「すまないな、無理をさせた」


「うぅん、そんなことないよ。凄く、嬉しかったから」






私だって、嬉しい。

君がこんなにも私を受け入れてくれて。








・・・・・・愛してるよ」


「グラハム。私も、愛してる」






そう言って、キスを落とした。




そんな、初めて君を抱いた日。



幸せが溢れた日だった。




Overlap-幸せ溢れて-
(君と重なって、初めて幸せや愛の深さを知った) inserted by FC2 system

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