仮面の奥に潜む貴方の顔。
一体、私に何を隠してると言うの?
「カタギリさん」
「やぁ、さん」
ある日、私はとあるカフェでカタギリさんとお茶をすることにした。
ソレスタルビーイングと国家連合との戦争から3年の月日が流れ
国々が一つになり、新連合が発足され、世界は変わりつつあった。
「お忙しいのに、すいません」
「いいんだよ、僕も暇だったから」
相変わらず私は彼・・・グラハムとの同棲生活を続けて
もちろん、彼の旧友であるカタギリさんとも仲の良いままだった。
「それで」
「え?」
「僕を此処までわざわざ呼び出すって事は・・・グラハムには話せないことでもあるのかな?」
「・・・カタギリさんは何でもお見通しなんですね」
私はにっこりと笑って見せた。
私の表情を見たのかカタギリさんは注文したコーヒーを口に入れ
喋りだす。
「君とは3年前からの関わりだよ。もちろん、グラハムとはもう何年来と友達やってるからね」
「そうですね。・・・それで、カタギリさんに聞きたいことがあってわざわざ呼び出したんです」
「僕に?」
私は瞳を閉じて、数秒してまっすぐとカタギリさんを見つめた。
「グラハム、私に何か隠してませんか?」
「え?」
「・・・最近、彼の様子がおかしいと言うか・・・その・・・絶対に有り得ないと思って、笑わないで下さいね」
「あ・・・あぁ」
「最近、彼からよく・・・血の匂いが・・・するんです」
家を出るときは、いつもと同じ柔らかい彼の香りなのに
帰ってくれば・・・わけのわからない・・・匂い。
平たく言えば・・・血の匂いに近い感じのが私の鼻を掠めていく。
「それも、ずっとなんです。新連合が発足してから・・・数ヶ月もして、此処最近まで」
「さん・・・何かの間違えじゃ」
「そう思いたいんですけど・・・どうしても、彼から・・・血の匂いがして。最近、それが怖くて」
私は腕をぎゅっとつかんだ。
最初は微量に感じていた香りが、今では強烈に鼻を掠める
服を洗濯するにも、そんなものはまったく感じれないのに。
なぜか彼から感じれるのは・・・――――。
赤 い 血液 独特 の 匂い。
「グラハムに、直接聞いたらきっと笑ってかわされちゃうから。
カタギリさんなら何か知ってるかと思って」
「そう・・・だから、僕だったんだね」
「すいません。お昼時にこんな話するつもりじゃないんですけど」
「いいよ。・・・とりあえず、僕からも彼に聞いてみるよ」
「ありがとうございます」
私は深々と頭を下げた。
一体私に何を隠しているの?
私がわからないとでも思ってるの、グラハム?
分からないフリをしてるんだよ。
貴方に迷惑をかけたくないから。
でもね、これ以上・・・あの血の匂いに悩まされてしまえば
私はきっと貴方から離れしまうかもしれないから。
考えたくない未来
(もう、一緒に居られなくなるかもしれない)