--フッ--






突如として、会場内の電気が全て消えた。

あまりのことで、会場内に居る人たちみんなが騒ぎ出す。





「な、何だ?」
「停電・・・ですかね?」
「かもしれない・・・、俺から離れるな。」
「は、はぃ。」






そう言って、俺はの手を握った。
暗闇の中下手に動いてしまえばはぐれるに違いない。
そうなってしまわないように、俺は彼女の手をしっかりと握った。






ガシャーン!!





「今度は、何だよ!?」
「ジョシュアさん、アレ!」






ガラスが割れる音と同時に、が月明かりが顔を覗かせる
窓へと指を差した。
俺は、すぐさま窓のほうに目を移すと・・・











「か、怪盗フラッグ!?・・・ま、まさか・・・予告状は・・・出していないはずっ」
「今宵も・・・奪われしモノを奪いにきた・・・怪盗フラッグ、此処に参上した!」







そう言って、奴は暗くなった人ごみの中へと身を投げた。
奴の服装自体が、黒いせいか何処に居るのか分からない





「クソッ・・・誰だ、・・・誰を・・・」
「あ、ジョシュアさん・・・!?」
「此処に居てくれ!」


俺はから離れ、自らフラッグと奴が目標としている人物を探した。





















『グラハム、いいよ・・・暗視カメラ』
「心得た。」




私はレンズに流れてきた通信での指示に従い、すぐさま
暗視カメラへと切り替える。
人が、あたりの景色が青緑色に見える

私は即座にターゲットである人物を見つけながら
人をすり抜けていった。







すると、一際輝く首飾りをしたミセス・アイアンを見つけた。
キラキラと光っているが・・・アレは、夜光塗料で少し目立つようにしている。

私は一目散にそちらに向かう。








「ターゲット捕捉・・・直ちにブツの回収に入るぞ」
『了解。・・・停電状態、残り3分・・・できる?』
「楽勝。」




私はにやりと笑みを浮かべながら、すばやく足を動かし
ミセスに近づく



「それは貴女に相応しくない・・・還してもらうよ。」




私は神技の如く、首飾りをいとも簡単に
彼女の首から外し、自分の手の中に入れ
その場から逃げた。






「回収完了。・・・後残り何分だ?」
『後、1分30秒・・・真正面の窓から逃げるんだ!』
「了解」





私は、カタギリに言われたように正面近い窓に飛ぼうとした





「待て、フラッグ!!」
「!?・・・」





ガキン!




すると、ジョシュアが私にステッキで殴りかかってきた
私はそれを自らのステッキで受け止めた。




「また、君か・・・よく、分かったな・・・」
「手元の、キラキラしたのがヒントだよ・・・」
「塗料を塗りすぎたらしいな・・・不覚だ。」
「今日こそ、捕まえてやる」




ジョシュアは両手で押し始める
私は、片手でそれを受け止めていたが、力に押されそうになったが




「・・・君は、まだ懲りていないようだな・・・」
「何!?」
「肋骨を2本ほど折ってやったのに・・・安静にしてなくていいのか?」
「てめぇに言われたくねぇ・・・ぃっ」



押えるのでも限界なクセして



「これ以上、私の邪魔をするな・・・今度は肋骨程度じゃ済ませないぞ」
「ほ、ほぉ・・・どうするんだ?」
「そうだな・・・貴様を殺しにかかる・・・だな」




私は自分の力を一気に抜いてた。




「っ、おわぁっ!?」




すると、押さえ込んでいたジョシュアは私のほうに倒れこんできた
私は横にすり抜け、窓へと飛び上がり
振り返り、月明かりで会場を見る。





そして、彼女と目が合う。




彼女は、目を大きく見開いて私を見ていた。

私は、何も言わず窓をぶち破り外へと逃げる。






















「ま、待って・・・!」
「お、おい!何処行くんだ!!」



は、フラッグが出て行った方向に走り追いかけた。

するとタイミングよく会場の電気が点く

ジョシュアは立ち上がり、肋骨を押えながら彼女のあとを追うのだった。






















『ミッションコンプリート!・・・時間内によくできたね、グラハム』
「当たり前だ。私を誰だと思ってる、泣く子も黙る怪盗フラッグだぞ」
『君、それは日本人が言う言葉だって。』



外へと逃げた私は、公爵家の庭園を歩いていた。
通信機でカタギリと会話をしながら、宝石を手のひらで投げては落とすを繰り返していた。



「さて、持ち主に返しに行くか」
『そうだね。・・・きっと待ってると思うから』
「あぁ」




私は宝石を宙を舞った状態から取り、ポケットの中に入れ

踵を返した。


だが、その瞬間時間が止まった。








「・・・君は・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・どうして・・・」











「どうして、ジョシュアさんを傷つけたりなんかしたの・・・フラッグ」








私の目の前に、彼女が立っていた。







偶然?・・・それとも必然?
(再び出逢った時、それは何かを思わせる予感がした)




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