-------時は戦乱の中
人々は領土を奪い、争い続けていた。
3つの大きな国が争い、我先にと力を見せ付けている
そんな3つの国の一つで、決して許される事のない恋が産声を上げていた。
この話は・・・・・
国の姫と、その姫に仕える一人の男の
甘く、切ない、恋の話である。
「・・・姫」
「・・・ぅ・・・っ」
「姫、起きてください。でなければ、私が他の者から叱責されてしまいます」
「!!・・・す、すいません!!わ、私としたことが・・・ご、ごめんなさいっ!!」
齢二十三歳と見える、艶やかな着物を見に纏う少女は
顔を真っ赤にして、その場から離れた。
その場とは、木の幹に持たれかかって寝ていると
思っていたが、彼女の横には
金色の髪色で瞳の色は翡翠色
そして、顔の全体を黒き仮面で覆い隠した男が居たのだ。
男は笑みを浮かべながら、立ち上がる。
少女は顔を真っ赤に、男に視線を向けることなく言葉を発する
「い、いつから・・・此処に?」
「先刻ほど。お部屋にお伺いしたところ姿が見えなかったので。探していたら、姫がこちらの方で
眠り揺れていたので、このままでは地面に頭をぶつけてしまうと思い、すぐさまこちらに参りました」
「そ・・・そうですか、ありがとう・・・ございます」
「お部屋に戻られてください。外は危険ですので・・・お部屋でしたら居眠りしても大丈夫ですから」
「ひ、酷いです・・・!」
少女は顔を真っ赤にしながら、男のほうを見た。
「冗談ですよ」
「貴方は・・・冗談なのか、本気なのかよく分かりません」
「本当に冗談です。・・・姫が心配だから私は言ってるんです・・・さぁ、お部屋へ・・・。立てますか?」
男は手を差し伸ばすと、少女はおずおずとその手を握り、立ち上がる。
すると、男は少女の顔をじっと見つめる。
「あ、あのぅ」
「何か?」
「私の顔に何か付いてるのですか?」
「いいえ。私はただ、姫の美しさに見惚れていただけです」
「・・・っ・・・そ、それも・・・冗談、ですか?」
少女が問いかけると、男は・・・・・・
「本気、と言ったら・・・・・・姫は信じてくれますか?」
翡翠色の真っ直ぐな視線に、少女はまた顔を赤くした。
まるで、その視線は獲物を射る様な、鋭い眼差し。
視線を離したくても、”視線を逸らすな“と言わんばかりの強い眼光に、少女は心臓の鼓動が抑えきれない
「姫は、信じますか・・・私の言葉に」
「ゎ、私は・・・っ」
「姫様・・・御館様が心配されております。御早く城内にお戻りください」
すると、家臣の一人が、男と少女の会話に割り入る様に
城内に戻れとの知らせを伝えた。
「Mr.ブシドー・・・貴方も御早く陣にお戻りください・・・最強の武将とある貴方が何ゆえ姫様と関わりを」
「私は、御館様直々に姫様に仕えるよう言われたのだ。姫様の安否を心配するのは当然の行い。違うか?」
「・・・・・・」
金髪の男、Mr.ブシドーの言葉に家臣の男は言葉が出ない。
「では、姫様・・・・私は此れにて失礼させていただきます」
「あ・・・は、はぃ」
「また・・・お逢いしましょう」
「はぃ」
深く一礼をして、男は少女の前を去っていった。
少女はただ、男の後姿を名残惜しむように見ていた。
許される事の出来ない恋と
互いに分かっていながらも
惹かれあっていく気持ちや心は決して止められるものではない。
私には何よりの強みがある。
貴女様だけに仕える事を許されたという・・・その立場が。
その立場としての笑み
(決して誰にも譲りはしない・・・貴女を守り続け、密かに愛し続けるという立場を)