覚悟は出来ていた。

貴女から離れる事も、死を選ばされることも。

痛みを与えられながら死ぬ事も。







だけど、彼女はそれを全て望まなかった。








「・・・グラ、ハム・・・ッ」

「・・・何を、・・・泣きそうな・・・顔を、なさって、るんですか?」





気付いたら、私の頭は彼女の膝の上。

彼女は泣きながら、傷だらけの私の顔を優しく撫でる。






「貴方は・・・何も・・・何も、悪くないのに・・・っ」

「ぃいえ・・・姫を、愛してしまった・・・私が・・・ぃけない・・・のですから」

「だからって・・・こんな事っ・・・」







体を繋げたあの後。

眠った彼女を城へと連れて帰り、私は自ら処罰を受ける事を選んだ。



自害をするか、それとも体を痛めつけられ死ぬか

自害を選んで安易に死ねるなら、痛めつけられてなぶり殺された方がまだ苦痛で

自分の犯した過ちを悔いる事も、姫を忘れることだって出来ると選んだ。







そして、今日で5日目・・・もう精神的にも肉体的にも限界だという頃





牢獄に投げやられた私のところに、姫がやってきた。


彼女は泣きながら、私の元に駆け寄り、最初に戻る。








「少し・・・お痩せに、なられましたか?」

「貴方よりか、全然平気です」

「新しく、姫にお仕えしてる者は如何ですか?・・・私の、部下なので・・・それなりに」

「貴方以外の人を側に置くなんて出来ない・・・貴方以外の人を私の側に仕えさせたくない」

「・・・姫」

「・・・グラハム、お願い・・・」
























「私の側で、命尽きるまで・・・ずっと、ずっと・・・居て欲しい」







姫は涙を流しながら、私のそう訴えかけた。

あぁ、この涙は・・・逃げる時と同じ、悲しい涙だ。





「約束して・・・お願い・・・こんなところで死なないで。好きだって・・・愛してるって・・・言ってくれた」

「姫」

「父上には私から説得します。だから、だから・・・グラハム、ずっと、ずっと私の側に居て」

「貴女様の口から、そんな言葉が聞けて・・・私は、幸せ者ですね」






ボロボロになった体を起こし
私は、力なく彼女を抱きしめた。






「私の死場は・・・貴女様の、姫のお側で本当によろしいんですか?」

「そうじゃなきゃ、私許さないから。・・・私の、初めて奪った責任とってよね」

「・・・はぃ・・・姫様」













肉体も、精神も限界だったのかそれ以降覚えていない。


ただ、気が付いたら手当てを施され、牢獄から出されていた。







御館様も、どうやら私という戦力を失ってしまえば
他国の脅威で、国が滅んでもおかしくないと思い返し
そのまま、私を復帰させていた。


そして・・・・・・











「グラハ・・・あ、じゃなくて・・・Mr.ブシドー・・・」

「姫・・・いいんですよ、無理してそう呼ばなくても。」








今まで、通り・・・姫に仕える者となっていた。





「怪我、大丈夫?」

「はい。もう大分・・・ただ、多少は痣が残ると」

「そ、そう。」

「大丈夫ですよ、姫。痣は残ってしまいますが・・・私は生きています」







私は彼女の前で跪き・・・・・・。










「貴女様のお陰で、この命生き長らえたようなものです。貴女様のためなら
私のこの命、捧げたって構わないと思っております」

「グラハム」

「生涯、貴女を守りぬくと誓います・・・そして、」
































「 
貴 女 様 を 愛 し 続 け ま す こ の 命 あ る 限 り 」







この命ある限り

(貴女を守り、愛し続けると誓います)







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