「あの、カタギリ先生がエーカー先生のお友達としてお伺いしたい事があるんですが・・・」
「おや、どうしたの?」
とある授業の終わり、昼休みになった頃
準備室に入ってきたさんが僕に聞きたい事があるといってきた
ていうか、グラハムいつ彼女に僕が友達だって喋ったんだ?
そんなことはさておき
「とりあえず、座っていいよ。」
「すいません。」
「コーヒーでいいかな?」
「あ、すぐに済みますからいいです。」
彼女は丁寧に断った。
僕は自分の分のコーヒーだけを淹れ
彼女と向かい合わせに座った。
「で、何が聞きたいのかな?」
「あっ・・・あの・・・そのっ・・・」
「?」
「エーカー先生って昔はどんな人だったんですか?」
あまりにも日常的なことで、僕は思わず笑ってしまった
「カ、カタギリ先生?」
「いや・・・ご、ごめん。昔の彼ねぇ・・・僕も詳しく知らないけど、聞きたい?」
すると、彼女は頷いた。
僕はコーヒーを口に含んで喋り始めた。
「そうだねぇ・・・大学時代の彼は、今同様女の子にはモテてたよ。
でも恋人は作らなかったね・・・モテてたけど、誰にも執着しない性格だったかな?」
「執着・・・ですか」
「うん。でも、自分が気に入ったものにはすぐに興味を持ち始める・・・子供みたいな一面もあったね」
「それは今と変わりませんね。」
彼女がクスクスと笑い始めた。
そんな彼が、今は君という存在に執着してるんだけどね
「それから、君は知らないと思うけど・・・彼結構怒ると怖いんだよね」
「そうなんですか?」
「ホラ、子供と一緒だよ。子供って自分が気に入らなかったら怒ったり泣いたりするでしょ?
彼も同じなんだよ、自分の興味があるものに触れられたりしたらかなり怒るよ」
「へぇ〜意外ですね・・・先生って結構大人だから冷静にすると思ったんですけど」
この子は彼の何処を見てるんだろうか?
知らないだろうなぁ
君に触れようとする男たちを片っ端から睨みつけてる彼を
そのときの顔といったらおぞましい
「でも、どうしてそんな事聞いてくるの?」
「え?」
「だって、僕に聞かなくても本人に直接聞いたほうがいいのに」
すると、彼女は黙り込んだ
あれ?もしかして、聞いちゃいけない事だったかな?
彼女は黙り込んだ口を開いた
「不安・・・なんです。」
「と、言うと?」
何だか本格的な恋愛相談になりそうな予感がする
「クラスの女の子とか、上級生の人とか・・・皆、エーカー先生のこと何でも知ってるのに
私、その・・・先生の事、何も知らないから・・・」
「何も知らなくて、彼と付き合ってるの?」
「な!?・・・どうして、エーカー先生と付き合ってるって知って・・・!?」
しまった、地雷だったか
僕はどうにかして理由を話す
「僕は知ってるんだよ!彼は必要以上に君の事を話してくるし
ある意味惚気話だって聞かされるんだ。でも、安心して絶対誰にも喋ったりしないから」
「よ、よかったぁ〜・・・」
彼女がほっとした表情を見せて、ため息をついた
僕も一安心だよ・・・君を困らせた日にはグラハムに殺されそうだ
「あの、それで・・・私、先生の事何も知らないから・・・」
「それで僕を訪ねてきたわけか。ん〜・・・僕はそれでいいと思うけど」
「え?・・・ぁ、いや・・・でも・・・」
彼女は戸惑いながら言葉を発しようとする
僕はそんな彼女に
「何も知らなくていいんだよ。むしろ、知ってたら怖いだろ?」
「ぁっ。」
「全てを知っていたら、面白くないでしょ?知らないから、恋愛って面白いんだと思うよ」
「カタギリ、先生」
「徐々に彼を、グラハムを知っていけばいいんだよ。無理して背伸びしなくていいんだから
彼も今は君に全てを知ってほしいなんて思ってないはずだし」
「そう、ですよね・・・なんだ、そっか」
彼女はほっとした表情で笑った
敢えて言わなかったけど
逆にグラハムは君の事を知りすぎてるんだよ?
君のクラスメイトや上級生が、彼を知ってるくらいに
半ばストーカーじゃないのかと思うくらい
今度はどんな部分を見つけてやろうと、彼は腹の中で
いつもそれを考えて君との恋愛を楽しんでるんだよ
なんて、口が裂けても言えないよね
それ知ったときの彼女が可愛そうだ
「話は済んだか?」
「おや、グラハム」
「せ、先生!?」
すると、噂をすればなんとやら
グラハムが怖い笑顔を浮かべて、扉に寄りかかり立っていた
「何で此処だと分かったんだい?」
「彼女の居るところなら大体分かる」
「(ストーカーか)センサーでも付いてるの?」
「彼女専用な」
そして、グラハムはゆっくり彼女を見た
彼女はあまりの彼の登場で、下を向いてしまった。
「さて、カタギリと何を話していたのかな?」
「教え・・・られません」
「私には話せないことなのか?」
「うん、まぁね。僕と彼女の内緒話〜グラハムには教えないよ」
僕がそう言うと彼女は顔を上げて、明るい顔をみせた。
あぁ、そうかもしかして僕がグラハムに話すんじゃないかと思って
怯えてたんだね。
だが、グラハムは彼女が僕に微笑んだのが気に食わなかったのか・・・
「ちょっと来るんだ、」
「えっ!?エーカー先生!?何処にっ??」
「何処でもいいだろ、話がある」
彼女の手を握って、準備室を出ようとする
おやおや、いい大人が子供になって・・・
「あ、あの・・・カタギリ先生、ありがとうございました」
「ん?あぁ、いいよ。いつでもおいで。」
「は、はい!」
「カタギリ、じゃあな」
グラハムは凄い顔でドアを閉めていった
あぁ、僕後で彼からどう料理されるんだろうな(爆)
「でも、恋愛相談受けるのも悪くないかも」
困ったときはいつでもおいで
僕が君を助けてあげるから
もちろん、彼に気づかれる覚悟でね
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