「ねぇ、さんと出掛けてる?」
「は?」
突如としてカタギリがそんな事を尋ねてきた。
「出掛けるって・・・まさか、また君に・・・」
「うん、相談受けちゃった。」
カタギリは嬉しそうに答えた。
旧友だが、本気で彼の首を絞めていいか?
「怖い視線向けるのはいいけど、彼女とどこかに出掛けた事あるの?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「その様子からすると、してないみたいだね。」
「仕方ないだろ・・・時間がない、というのは言い訳にしか過ぎないが・・・
下手に出掛けれないだろ。私とは、教師と生徒なのだか」
「まぁ、そうだよね。ウチの学校、規模大きいし・・・生徒も多いからね」
下手に二人で街中を歩けば、関係が1発でバレて
彼女に迷惑をかけてしまう。
「夜に逢うとか?」
「彼女はまだ未成年だぞ。補導員に捕まる・・・それにそんな時間に彼女を街中を
歩かせるわけにはいかないだろ。」
「君の気持ちも分かるけど・・・彼女の気持ちも考えてあげようね、グラハム」
カタギリにそう言われ、私は黙り込んだ。
確かに、私の気持ちだけで押し通してしまえば
が一層辛い思いしなければならないかもしれない。
しかし・・・・
「ドライブに連れて行くとかさぁ〜何かしてあげたら?車運転できるでしょ、君」
「車だとバレるだろ・・・もっとこう、効率よく顔を隠して・・・・」
「「あ」」
ふと、私とカタギリは声を揃えた
「いい事思いついたぞ」
「僕も、もしかして・・・君と同じだったりして」
「私も同感だ。アレがあるじゃないか」
「大丈夫なの?」
「2年くらい乗ってないが、大丈夫だろ。コレだったら彼女を連れて行ける」
「じゃあ、早速実行あるのみだね!」
「あぁ。」
そう言って、私は化学準備室を出て
家に帰るのだった。
「でさぁ、此処のクレープがね・・・ねぇ、」
「ん?」
友達のアンナとの帰り道、楽しげに弾んでいた会話が途切れた
「どうしたの?」
「あのバイクの人・・・ずっと、こっち見てるけど・・・」
「え?」
すると、数m先にバイクに乗った人がずっとこちらを見ていた
まさか・・・
「ご、ごめんっ・・・私の知り合いかも」
「え?もしかして、彼氏?」
「・・・ち、違うよ。」
そう言って、私は友達から離れてすぐさまバイクのもとに駆け寄った
「・・・・っ、せ、・・・先生?」
「・・・よく、分かったな」
ヘルメットの覗きをあげると、それは・・エーカー先生だった
スーツにコートを羽織って、間違いない今日の先生の格好だ。
「先生・・・バイク乗れたんですか?」
「失礼だな、乗れるさ。」
「だって、いつも車で学校に来てるから」
「そうだな。2年ぶりになるな、バイクに乗るのも・・・あぁ、それより。ホラ、コレつけて」
すると、先生は別のヘルメットを渡してきた
「あ、あの・・・コレ」
「それ被って、後ろに乗って。ドライブに行こう」
「え?で、でも・・・」
「いいから乗って・・・とっておきの場所に君を招待しよう」
「・・・変なの。」
私は笑いながら先生からヘルメットを受け取り
頭に被り、後ろに乗った。
「乗ったか?」
「はい」
「しっかり掴まっておくんだぞ、スピード出すから振り落とされるな」
「はい」
そう言って、先生はバイクを発進させ
私をどこかへ連れ出した
「着いたぞ」
数時間とどこかを走り、海に着いた
辺りはすっかり暗くなっていた
先生はバイクを止めて、ヘルメットを取る。
私も急いでヘルメットを頭から取り、バイクを降りた
「こっちだ、おいで」
先生は、私の手を握って海岸に出る
「見てごらん・・・」
「わぁ〜・・・綺麗」
空には満月
ユラユラと揺れる水面
海に映し出された満月が揺れて見える
「凄い、綺麗」
「気に入ってくれたかい?」
「はい、とても!先生、ありがとう」
「が喜んでくれたなら嬉しいよ」
私の頭を優しく撫でて、先生も海に目線を映した。
しばらく沈黙が続いた
「すまなかったな」
「え?」
すると、先生が突然沈黙を破った
「今までどこかに出掛けるような事してあげれなくて」
「エーカー先生・・・そんな。」
「君と私じゃ、生徒と教師という立場で、私は周囲の目ばかり気にしていた。こんな手段もあったのに」
もしかして、カタギリ先生から聞いたのかな?
何か申し訳ないことしちゃったかな
「私も、ごめんなさい」
「どうして、君が謝るんだ?」
「だって、私のワガママで・・・先生と、出掛けたいなんて言ったから・・・」
凄く申し訳ない
すると、先生はそんな私を抱きしめた
「せ、先生!?」
「、君が謝ることないんだよ・・・それに此処だったら誰も私達の邪魔をする者も居ない。」
「あ、」
「周囲を気にせず、君を抱きしめたり・・・」
そして、先生は私と唇を重ね
数秒で離し、おでこをふっ付けてきた
「キスしたり、できるじゃないか。」
「せ、ん・・・せぃ」
「のワガママだったら何だって叶える。その為だったら時間も惜しまない」
「ありがとう、ございます」
その言葉を聞いただけで嬉しかった
「此処を、私と君だけの秘密の場所にしよう」
「はい」
そして、また先生は私に口付けた
そのキスは月が海に溶けてしまうほど、甘いキスだった
シュガー・ナイトメア
(月夜の晩に私を連れ去って)