「はぁ〜・・・なんでこうなったんだろう」
放課後、誰も居ない教室で私は1人呟いた
そして、目の前に置いた紙を見る。赤い丸が3つ付いた紙・・・それがテスト後のものだと思われる
「ま、ムリもないよね」
私はため息をつき・・・事の発端を思い返す
それは数時間前の数学の授業中に遡る
「はい、じゃあ昨日行った小テストを返すから順番に取りに来てくれ」
もちろん、エーカー先生が授業する数学の時間。めちゃくちゃ人気な先生の授業
そんな先生の授業で低い点数を叩き出す生徒なんて居やしないと思ってた
私は自分の番になり、用紙を取りにいくと・・・
「・・・イジメですか?」
「いや、違う」
用紙を受け取ろうとしたら、それは私の手をすり抜けた
もちろん、今の先生は恋人モードであるはずがない。
しかし・・・先生の顔は笑っているのだが、目は笑っていないことに気づく
「この点数は何かな?」
「うげっ!?」
私の目の前に出された小テストの用紙には・・・10個の問題に付いた赤い丸が3つ
「10問中・・・何故、正解が3つなんだ?」
「そ、それは・・・あのっ」
「・・・もういい、席に付きなさい」
「・・・はぃ。」
怒ってる・・・?
まぁそうでしょうね・・・こんな点数出しちゃったんだから
私は自分の席に戻った・・・すると、前と左隣に居た友人2人が話しかけてきた
「どうだった?」
「悲惨・・・10個中3個。先生、笑顔のお怒りでした」
「あんたさぁ〜、いい度胸してるよね。あのエーカー先生の授業で、小テストで
ここまで悲惨な点数とるの校内であんただけじゃないの?」
「そうかな?・・・誰か居るじゃない?」
「「あんただけだって」」
友人たちの痛い一撃を食らい、私は用紙を折りたたんで机の中に入れようとすると・・・
「(あれ・・・?何か書いてある)」
用紙の裏に何か書いてあることに気づき、広げてみる
<今日の放課後、この教室で待ってるんだ グラハム>
あからさまに、居残りさせる気満々ですよね・・・エーカー先生
多分その時に怒られるんだろうな・・・と思い、私はため息をついたのだった。
そして、最初に戻る。私は1人教室で先生が来るのを待っていた
ガラッ
「すまない、ちょっと遅れた」
「いえ、いいんです。」
ようやく、エーカー先生が教室にやってきた。
来るなり、先生は私の目の前の席に座った
「で・・・何だ、この点数は?・・・10問中3問しか合ってないじゃないか」
「そうですね。」
「私の授業が嫌いなのか?」
「いえ、授業は好きです。ただ、数学が嫌いなだけなんです。」
「学年トップの名が泣くぞ」
「いいんですよ、別に」
私の言葉を聞くと、先生は少し頭を抱え考える
「あ、もう遅いんで帰りますね。」
時間が放課後だったので、時間が過ぎるのは無常にも早い
私は鞄を持って立ち上がり、その場を去ろうとした瞬間
「待て。」
先生に腕をつかまれ、動きを止められた。と同時に先生は
私に顔を近づけてきた。あまりのことで、私は顔が赤くなる
「ぁ・・・のっ・・・」
「今日は何か、用事でもあるのか?」
「ぃ・・・いぇ、特には」
「いくら学年トップであろうが、小テストであれだけの悪い点数取られて安易に帰す私じゃないぞ。」
「うっ!?」
やっぱり、そうですよねぇ〜
いくら、期末・実力共にトップをキープしているからといって
小テストでこんな点数取られたら先生だって見てらんないよね。
「時間も遅い。・・・ウチに来るんだ、悪い生徒にはお仕置きが必要だな」
「せっ・・・先、生・・・それって・・・」
もう、今・・・すでにエーカー先生は教師モードじゃない
完璧に恋人モードにスイッチを切り替えている・・いや、もしかしたら、両方なのかもしれない
職権乱用なんて・・・卑怯だ
「・・・先・・・生・・・」
「今日は帰さない・・・からな」
腐った教師は何想ふ?
(今日は、多分・・・家に帰れないかもしれない)