「今日からこのクラスで数学の教育実習をさせていただきます。
トミー・ランスルです。短い期間ですがよろしくお願いします。」
初めまして、皆さん
僕はトミー・ランスルです。数学の教育実習生としてこの学校にやってきました
なぜ、この学校を選んだのかというと・・・
「じゃあ、ランスル先生の自己紹介も終わったので早速授業に入ろうか」
『はーい』
あの、グラハム・エーカー先生がいらっしゃるからなのです!!
大学の教育学部ではそれはもう人気で・・・この学校に来るまでが戦争だったような・・・
僕ら実習生の間ではそれくらい憧れの先生なのです!!
「この数式は試験で応用問題で出すから、覚えておくよう・・・
それと、今日行ったテストは明日返却するので・・・以上」
教え方もすっごく上手いし、先生の授業を真面目に受けている生徒は大半で
テストも赤点者はいないとか・・・やっぱり凄いです、エーカー先生!!!
「先生、やっぱり先生は素晴らしいです!!僕、感激しました!!」
「そうか?・・・私は大して何もしていない、生徒たちが頑張ってるんだ。」
「あはは、そうですね。それもそうですよね」
「しかし・・・小テストで約一名、心配な者がいるんだな」
「へ?」
エーカー先生は苦笑しながら言う。
すると、先生が僕に目線を移した。
「明日・・テストを返してみるか?」
「えっ!?い、いいんですか!?」
「したら分かるからな・・・犯人が」
「分かりました。」
先生にそう言われ、僕は翌日生徒が受けた小テストを返却する事になった
---翌日---
「昨日行った小テストをランスル先生に返してもらうから順番に取りに来てくれ」
生徒が順番にとりに来る
エーカー先生曰く『10問テストで確実に復習さえしていれば満点は取れる簡単な問題だ』と
返すが、皆8〜10点という、いい点数が続いているが・・・次の生徒の瞬間、手が止まった
<2/10>
つまり、10問中2問正解という事だった・・・目の前の生徒は・・・女の子
しかも、かなり可愛い女の子だ・・・まさか、この子が?!
「また、さん・・・君は。・・・しかも、この前より丸が1つ減ってるじゃないか」
「不思議な事があるもんですね」
「エーカー・・先生、もしかして・・・」
「彼女だ。昨日言ってたのは、この子の事なんだ」
嘘だ、こんな可愛い子・・・じゃなくて!!
居たんだ、エーカー先生にケンカ売ってる生徒が
でも、信じられなかったあんな可愛い子がエーカー先生に反抗するなんて・・・
「反抗?いや、あれが彼女なんだ・・・反抗なんかしてない」
「しかし、あの点数」
「彼女は此処2年間校内テスト、期末・実力共にトップをキープしてるんだ」
「えっ!?じゃ、じゃあ・・・あのテストは・・・」
「小テストだけでも怠けよう魂胆なんだろう。本番がアレだったらさすがの私も考えるが
トップをキープし続けてる彼女だから何も言わないんだ。」
エーカー先生は、昨日同様苦笑を浮かべた。
でも、彼女を見ているエーカー先生の表情はとても優しくて
まるで、恋人でも見ているかのように
いやいや!!そんな事有り得ないって!!教師と生徒じゃ立場が違いすぎるだろ
エーカー先生に限ってそんなことない。僕は首を横に振る
「トミー?どうした?」
「ぃ、いえ・・・何でもありません。」
そう言って、僕の実習生生活は徐々に過ぎて行った。
そしてある日の授業終わり・・・教壇を片付けていると・・・
「ランスル、先生」
「んっ・・・あ、さん・・・君か。どうしたの?」
彼女が僕のもとに訪ねてきた。すると、彼女は教科書を広げ・・・
「あの・・・此処の説明少し違ってたと思うんですが・・・」
「えっ!?・・・ぁ、ちょっと待って。えーと・・・あ、ホントだ。生徒に注意されて気づくなんて僕もまだまだだね。」
呆れ返られるだろうなと思ったが、彼女は微笑んで・・・
「いえ、それでいいんだと思います。徐々に分かっていけば、注意されなくても自分で
分かるようになるんで・・・それも、先生らしいかもしれませんよ。」
ドキッ!
アレ・・・?・・・僕、今・・・心臓、動いた?
しかも、凄い大きな音立てて・・・
「先生、どうかしましたか?」
彼女は心配そうな顔をして僕の顔を覗き込んだ
「っ・・ぁ、いや・・・何でも・・・ないから、」
あまりに彼女の可愛さに、僕は上手く口がまめらない
嘘だ・・・僕が、生徒を好きになるなんて・・・
「ランスル先生・・・次、集会なので皆を整列させてホールに連れて行ってもらえますか?」
すると、突然エーカー先生が僕に笑顔で話しかけてきた。
「あ、の・・・エーカー先生は?」
「私はちょっとこの子と話があるので先に行ってて下さい」
「ちょっ、先生!?」
女子生徒たちは、何やらブーブー言いながら二人を見ていた
それでもエーカー先生は気にすることなく、彼女の腕を引き教室を出て行った。
まさか、彼女を叱り付けるんじゃ・・・僕の失敗を教えてくれた彼女を怒るなんて・・・
いくら憧れの先生でも・・・それはやっちゃいけないことなのに
「皆、ちゃんと並んでホールに行くんだよ!!」
「あ、ランスル先生!?」
僕は思わずエーカー先生と彼女の後を追った
数分もせずエーカー先生の姿を見つけた、でも彼女の姿がない。
『何だ、今さっきの顔は?』
『何の・・ことですか?私、別に何もしてませんけど・・・』
さんの声はする、多分死角に追いやられ見えなくなっているのだろう
しかし、何の話をしてるんだ?
『まったく・・・無自覚で笑うなとあれほど言っただろ。他の奴が・・・・・、君に近づくんだぞ』
『無自覚かどうか知りませんけど、ただ笑っただけで・・・先生怒らなくても』
『黙れ』
突然・・・低い、普段の声とはまったく違う声がその場に響いた
『。君は・・・私だけのモノだ』
『エー・・・カー・・先、生っ』
『誰にも渡しはしない。君が他の男の前で微笑む事すら、私は赦さないからな』
『ぁっ・・・せ、んせ・・・』
『お仕置きだ。』
そして、エーカー先生の姿も・・・死角に消えていった
もしかして、僕・・・見ちゃいけないものを見てしまったんでしょうか
教育実習生は見た!