神は知っているのだろうか

恋というのはどんなに、苦しくて、幸せなものなのか












グラハムさんの気持ちに気づいて
私は、それから彼を心配させないようにご飯を食べるようにした。

ラルフさんは「無理しなくていいんですよ」って
にこやかに笑って私に言ってくれたけど、これ以上グラハムさんを困らせた
ままじゃ、きっとダメだと思い私はなるべく栄養をつけ始めた






「ごちそう、さまでした」
「最近、顔色が良くなりましたね」



すると、私の居るテントに、茶色のロングヘアーの人が入ってきた



「はい。・・・えっーと・・・」
「僕はビリー・カタギリです。好きなように呼んでください」
「じゃあ、カタギリさん。」



カタギリさんはニコニコしながら、私の隣に腰掛けた



「何が貴女をそうさせたんですか?」
「え?」
「つい、この前まで貴女は元気を失くしていた。なのに、今こうやって元気になろうとしてる・・・目的はなんですか?」




カタギリさんが真剣な面持ちで私に尋ねてきた
私は手を組み、指をしどろもどろしながら絡める




「別に、逃げようなんて思ってません。・・・ただ」
「ただ?」
「これ以上、グラハムさんを困らせたくない・・・そう言っておきます」






あの人の気持ちに気づいた

優しくしたいのに、そう出来ない理由があの人にはある

今までのは彼なりの精一杯の接し方なのに・・・私は、冷たいとか何とか言って

彼を避けては、・・・ましてや、引っ叩いてしまった

あの日のキスが、それが・・・私を想った、何よりの証拠だと自分の中で確信させた





「グラハムを、困らせたくない・・・か。」
「だめ、ですか?・・・理由に、なってませんよね?」
「いいえ、充分な理由だと思います。あなたが少しずつ元気になってくれれば彼もきっと困らないでしょう」
「なら、いいです。・・・私も早く元気になって、あの人に少しでも元気になって欲しいです」






それがきっと、私のあの人への数少ない恩返しになると思うから

















「彼女、君と向き合おうとしてるよ」
「・・・・・・・・」


アジトのあるオアシスで私は
カタギリから、の話を聞いていた

周りには誰も居ないので、私は右目の眼帯を外し

水面には、赤い眼と碧の眼が映る私の姿があった




「君のために、彼女元気になろうとしてる・・・別に逃げる目的もないし、それが君への恩返しと思ってる」

「・・・恩返し、か。」

「確かに、君・・・・彼女を束縛することで、代価を払わせようとしてる。だから、彼女も君の気持ちに答えようと頑張ってるよ」

「・・・・・・そう、」

「グラハム・・・これ以上、君がウジウジしてると、いつの日か」







「 消 え て な く な っ ち ゃ う よ ? 」




カタギリの言葉を聞いた瞬間、私は眼を見開かせ彼を見た


「どう、いう」

「君の気持ちに答えるために頑張ってるのに、君がそれに答えてあげなくてどうするの?いつまでも答えてくれない
君を知って・・・今開いてる心を、また閉じてしまうかもしれないんだよ・・・グラハム、僕が言ってる事分かるよね?」





せっかく開き始めている花の蕾が、私の一つ一つの行動によって
の気持ちが左右される

もし、此処で私がの気持ちに答えてあげなかったら



また、彼女を悲しませてしまう

そして、開いた心を、二度と開かないように閉じてしまい

確実に、消えてなくなってしまう




「カタギリ・・・私はっ・・・」
「好きなんでしょ、さんの事」
「・・・あぁ。」
「なら、君からも少しずつ近づいていかなきゃ・・・眼の事は、いつか話せばいい。彼女のことだきっと分かってくれる」





そう言って、カタギリは笑って私に言った



















、起きてるか?」
「っ・・・グ、グラハムさん・・・」



夜、私はの居るテントにやってきた
入り口を捲り上げ、覗き込むとランプをつけては起きていた

突然の訪問で、は驚いた表情を見せた
私は、彼女の隣に腰掛けた



「・・・ぁ、あの・・・何か?」
「最近、元気になってきたと皆から聞いてな・・・私もこの眼で確かめにきた」
「はい・・・おかげさまで。ご心配おかけしました」


数週間前までは、怯えた、震える声で喋る口調が
今は優しい声で私に答えた。




「そうか・・・よかった」
「はい」




すると、其処から会話が途切れた
何を話せばいいのやら・・・






「「・・・あの・・・」」




口を開いた途端、と声がハモり
私は思わず笑ってしまい、は顔を真っ赤にした




「いいよ、から話して」
「・・・あ、はい。・・・ぁ、あのっ・・・その、お願いが・・・あるんです・・・」
「?」




すると、は小さな声で







「添い寝、ダメですか?」





「え?」



突然のことで、私は驚いた。
今まで私を避けていた、彼女が・・・私に近づいてきた





「その、一人で寝てて・・・盗賊たちに襲われたときの事思い出して、今でも怖くて・・・眠れないんです」

「それで、添い寝?」

「だ、ダメですよね!・・・やっぱり、ごめんなさい!!盗賊さんにこんな事頼む私も可笑しいと言うか何ていうか」

「・・・いいよ」

「え?」

「添い寝くらい、構わないさ・・・それに、君を一人で寝かせるなんて私もどうかしてたな、謝ろう・・・すまない」



そう言って、私はの隣に体を転ばせた

私が横になったことを確認すると、は小さな体を私に付けてきた

あぁ、彼女はこんなにも小さくて、可愛かったんだな




「ホラ、コレで怖くないぞ。・・・私が居るから・・・安心して眠りなさい」
「・・・はぃ」


そう言うと、はすぐさま目を閉じて正しい寝息を立て眠った



「・・・お休み、砂漠の花・・・いい夢を・・・」





私は、そう呟き彼女を抱きしめ私も深い眠りに就いた


その日はいつもより、よく眠れた




恋というのは、本当におかしなものだ

苦しいと思えば、いつの間にか、温かい優しいものになったりする

いつか、私はこの気持ちを君に伝えることが出来るのだろうか?





少しずつ心を開いて
(赤眼の神は恋という気持ちに悩んでいた)




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