を側に置いて、もう数週間と
時間が過ぎたに違いない
「グラハムさん」
「・・・か」
一人、木陰で眠っていると
が声をかけてきた。
「ごめんなさい、眠ってたなんて知らなくて」
「いや、いい。丁度起きるところだったから・・・どうした?」
私は彼女の手を引き寄せ、地面へと腰掛けさせた。
は頬をほのかに赤く染めながら、私の目の前に座る
「いえ、・・・特にないんですけど・・・何処にも見当たらないから、」
「心配、してくれたのか?」
私がそう言うと・・・
「・・・はぃ」
小さくは答えた。
私は再び目を閉じ、そのまま彼女に話しかける
「そうか」
「あの、体の具合でも悪いんですか?」
「いや、ただ少し眠いだけかもしれない・・・心配をかけたな」
「いいえ、私がただそう思っちゃっただけなんで・・・ごめんなさい」
「君が謝る必要ないだろ。姿を見せなかった私も悪いんだ」
「グラハムさん」
砂漠の花を手元に置いて、水を与え続け
蕾はようやく私に花開いてくれた。
ただ、私自身・・・この、右眼の事を話してしまえば
きっとこの可憐に咲き誇る花は・・・また花を閉じて、蕾になってしまうだろう恐怖に
私自身恐れていた。
「」
「はい?」
「膝を少し、貸してほしい」
「え?・・・あ、でも・・・」
「構わないだろ?」
「・・・はぃ」
私がそういうと、は小さく返事をした。
その返事を聞くと、私は頭をの膝元へと置いて、体を休めた。
「グラハム、さん・・・テントで眠ったほうが、」
「此処でいい」
「あ、あの・・・でも、皆さん・・・が来たら」
「その時は起こしてくれ」
「はぃ」
そう言って、私は瞳を閉じた。
すると、頭を優しい感触がやってきた
が、きっと私の髪を撫でているんだ。
・・・なんて、心地の良いものなんだ・・・こんなに優しく触れられて
浅い眠りが深くそのまま落ちていく感じがする
いつになったら、私は彼女に本当に触れれることが出来るのだろうか
いや、きっと・・・それは来ないだろうな。
この、忌まわしい右眼が赤い限り・・・私が死に絶えるまで
きっと、彼女に触れることすら赦されないんだ
そうだろ、セト・・・貴方だって、その赤い眼の恐怖に怯え
人々から蔑まれ、人を愛することも出来なかったのでしょう
貴方の運命を背負わされた、私も、そうすることができない・・・赦されないと
貴方からの言葉が聞こえてくるようで。
だから、せめて
「」
「はい?」
「私から、離れていかないでくれ」
そう、言葉で縛ることしか出来ないのだから
君が私から離れないためにはそうすることしか出来ないのだから
「もちろんです。・・・私は、ずっとグラハムさんの、側に居ます」
「・・・そうか」
でも、君はきっとこの赤い眼を見てしまえば離れてしまうだろうな
この眼にはきっと君は映ることはない
赤い眼を晒さない限り、君は私の側に居続けてくれるだろう
でも、この眼を晒してしまえば・・・君は離れて行ってしまう
だから、今だけ・・・頼む
君という甘い幻想を見させていて
(今はただ、儚い幻に甘えさせてくれ)