「あ、骸様お帰りなさい・・・ん?その女・・・」
「ただいま、千種。」
僕は、さんを抱きかかえたまま黒曜ヘルシーランドに戻ってきた。
戻ってきて早々、抱きかかえたさんを見て
千種が勘付く。
「骸様・・・・拉致って来たんですか?」
「いけませんか?・・・つい、反抗してきたのでお腹を一発殴って眠ってもらいました。」
「容赦ないですね、相変わらず」
「そうですか?これでも手加減はしてます・・・」
そう言って、僕は眠っているさんの顔を見て。
「まぁ、これからやることにしては・・・手加減のしようがないのが厄介ですがね」
「え?何か言いましたか?」
「いいえ。・・・あ、そうそう千種。」
「はい?」
僕は自分のテリトリーに戻る寸前、振り返り
千種をみた。
「僕は今から自分の部屋に篭ります・・・いいですか、決して僕の部屋に近づかないでくださいね」
「え?・・・あ、・・・はい」
「犬にもそう伝えておいてください。もし近づいたら、どうなるか分かってますよね?」
「分かりました・・・犬にも伝えておきます。」
「よろしくお願いします。」
そう言って、僕は自分の部屋にと戻った。
「手加減しませんよ・・・。僕は彼より、優しくないのでね」
「千種、どうしたびょん?」
「あぁ・・・犬。丁度良かった・・・しばらく、骸様の部屋に近づくな」
「へ?何でだびょん?」
「深追いするな・・・近づいたら俺らの命が無くなるだけだと思っとけ」
「わ、分かったびょん!!」
「っ・・・・い、・・・痛っ・・・此処、何処?」
しばらくして私は目を覚ました。
目を覚ましたら・・・知らない場所・・・廃墟と化した・・・建物の中だった。
「お目覚めですか?サン」
「っ!?・・・貴方・・・貴方が此処に・・・痛っ!?」
「あんまり大声上げると、お腹に響きますよ?」
「誰が殴ったのよ」
「クフフフ・・・僕ですね」
目の前には・・・忌まわしい・・・あの六道骸が相変わらずの笑顔で私を見ていた。
私は痛いお腹を押さえながら、呼吸を整える。
「一体、私を此処に連れてきて・・・何が目的よ」
「分かりませんか?」
「皆目、見当もつかないわね・・・」
恭弥に恨みがあるのであれば、直接本人に手を下せば済むこと
だって、雲雀恭弥に勝った男。
唯一、あの男に敗北と言う2文字を打ちつけた・・・人物。
私と・・・この六道骸・・・たった2人だけなのだから。
だけど、私なんか拉致ったって・・・骸には何の得もない。
それなのに、コイツ・・・どうして、私を?
「そうですね・・・何と説明してさし上げましょうか」
「小難しいことかしら?」
「いえ。あまりストレートに言うと、面倒になるので・・・それは避けたいと」
「は?」
恭弥と同じで、掴み所のない・・・いや、コイツの場合意味が分からない。
物腰柔らかのクセ・・・だけど戦術に対しては容赦はないはず。
さっきの私への腹部の一発・・・完璧に気絶させる目的で力が入っていた。
「あぁ、じゃあ・・・こう言えばいいですか?」
「何よ?」
「 貴 女 を 穢 し た い ん で す よ 」
柔らかい笑顔が一辺・・・・・冷たい笑顔に変わる
私を、穢す・・・それって・・・
「ちょっ?!ふざけた事・・・・・・っ」
「おやおや、どうしましたか?」
私は、隠し持っていたトンファを出そうとした瞬間
普段感じることのない、違和感を感じた。
トンファが・・・
「お探し物コレですか?」
「!?」
すると、骸の手に持たれていたのは何を隠そう私のトンファ
いつの間に・・・いや、私が気を失っている間?・・・違う、それ以前・・・コイツに倒される前に
徐々に、骸が私に近づいてくる。
私は立ち上がることが出来ず、それでも動ける手と足を使い、後ずさりをする。
「こ・・・来ないでっ!」
「どうしてですか?僕は貴女を穢す目的があるんですよ」
「い・・・イヤだからに決まってるでしょうが!!」
「クフフフ・・・やはり、貴女はよほど雲雀クンを好いてるのですね」
骸の笑顔・・・笑い声が・・・怖い
恭弥・・・イヤだよ・・・私・・・こんな奴に・・・
「ねぇ、・・・僕は、雲雀クンほど・・・優しく出来てませんよ」
「ぇ・・・きゃっ!?」
骸が私の目の前で跪き、そのまま私の両手を掴んで
床に押し倒した。
床に強く押し付けられ・・・上には・・・酷く微笑んだ・・・骸の顔
「さぁ、・・・楽しみましょう・・・」
「ぃっ・・・いゃ・・・やだ・・・」
「そんな悲しい瞳もまた美しいですよ、」
「や・・・や、だ・・・恭弥・・・恭、弥・・・」
思わず私は恭弥の名前を出した。
すると、上で私を組み敷く骸は・・・・・・・
「すぐにそんな名前・・・出させないようにしてあげましょう」
「っ?!」
「そして、僕の名前だけを呼ぶように・・・しましょうね。」
あぁ、もう・・・私は逃げられない
それはまるで、蜘蛛の巣に捕まった・・・蝶の様だった。
清らかな心が穢されていく
(蜘蛛の糸は体に絡まり、身動きが取れない)