絹糸のような美しい髪

艶を含んだ形のいい唇

自然に作られた長い睫毛




あぁ、コレこそ最高の・・・









「人形と同じですよ・・・










完璧の作品に近い、貴女は
最高傑作の西洋人形(ビスクドール)と同じですよ・・・

































「・・・っ・・・ぅ・・・ゎ、たし・・・」





気絶していたのかな?

私は気だるい体をゆっくり起こした。
すると、いつの間にか其処は床ではなく・・・壊れたソファーの上

今でもまだ意識が遠い感じがする。





「目が覚めましたか?」
「っ!?・・・あ、なた・・・っ」





すると、一気に意識が覚醒した。


目の前に立って、制服の上着を調えている・・・骸の姿だった。


そうだ・・・私・・・コイツに・・・

靴音が響き、私に近づいてくる。






「少々、手荒にしてしまいましたね」
「・・・触らないでくれる」




骸は私の頬に触れてきそうだったので
その手を止めるように、冷たい視線を送り、冷たい言葉を放つ。



「おやおや・・・怖いですね、
「慣れなれしく、私の名前を呼ばないで」
「いいじゃないですか、別に。」
「貴方から呼ばれると、気味が悪いわ・・・やめてくれる」
「手厳しい人ですね・・・・」





























「肌を重ねあった仲じゃないですか」





「っ!?」






-------パシンッ!!!







骸の言葉に逆上し、私は彼の頬を引っ叩いた。

だが、彼は怒りもせず・・・ただ、笑っていた。






「クフフフ・・・本当のことですよ、


「それ以上喋らないで」


「情事中の貴女はとても、官能的でした」


「やめて」


「あんな風に、メチャクチャに犯されておきながらしっかり感じるなんて」


「やめて」


「ねぇ、。僕と雲雀クン・・・どっちが上手かったですか?」


やめて!!







思いっきり大声を張り上げた。
自分の声が部屋中に響き、反響して自分の耳へと返って来る。








「クフフ・・・、どうしたんですか?」

・・・てぃ・・・

「はい?」

「・・・最低って言ってるのよ!!アンタ人間として最低なことしたの分かってるの!!」






体中が痛い

酷く犯されたのは・・・もう思い出したくもない
こんなふざけた男に、私は・・・




抵抗することも出来ず、ただ、啼いてしまった・・・反応してしまった



私のナカに・・・入り込んでいいのは・・・それを許しているのは・・・








恭 弥 だ け な の に







こんな、こんな・・・恭弥を傷つけた男に・・・メチャクチャに犯された










「二度と・・・私に関わらないで・・・このことも、恭弥に喋らないで・・・」

「雲雀クンには喋ったりしませんよ・・・、貴女がヘンな行動に出ようとしなければ」

「・・・どう、いう・・・」





骸の不審な言葉に、私は疑問を覚えた。







「決まってるじゃないですか・・・雲雀クン以外の人間に助けを求めることですよ・・・例えば、ボンゴレ10代目とか」
「・・・・・!?!?」






私がツナ君たちに話す事を、コイツ・・・








「そんな気を起こした時は・・・雲雀クンに、洗いざらい・・・今日のこと話しますから」

「っ・・・。」

「大人しく・・・今までどおりにすればいいんですよ・・・
今までどおり普通に学校に行って、普通にお家に帰って、眠って朝を迎えて・・・学校へ行く。
それを繰り返せば良いことです・・・」

「・・・・・・」

「ましてや、雲雀クンと体を重ねようなんて・・・考えないほうがいいでしょう。その時は・・・」








そう言って、骸は私の顎を持ち上げた。
私は瞳に涙を浮かべ、睨みつけた。








「もう一度、躾しなおします・・・彼のクセが残ってもらっては
僕としても困るんでね・・・せっかくの僕の努力が台無しですから」







骸は極上の笑みを浮かべ、私と唇を重ねた。


骸の舌が私の口の中を暴れまわり、唾液を絡めていく






いや、・・・いやよ・・・こんな奴と・・・キスなんか・・・体を繋げるなんか・・・












---------ガリッ!




私は思いっきり、骸の舌を噛む。
彼は痛みが分かったのか、すぐに離れた。


骸の口端から薄っすらと血が滴り落ちる。









「・・・おやおや、凶暴な人だ」

「アンタなんか・・・大嫌いよ!!!!」

「僕は愛してますよ、

「ふざけないで!!私は、アンタのオモチャじゃ無いんだから!!」








そう言って、私は勢いよく部屋を飛び出し・・・その場から去った。



体の痛みなんかよりも、心が痛くて






「っ・・・ふっ・・・うぅ・・・う・・・」




走っている最中、私は涙が溢れて止まらなかった。
そして、ゆっくりと走っていた足が、徐々に徒歩のスピードへと変わる。




そして、その場で立ち止まり・・・蹲(うずくま)った





「・・・っ・・・う・・・ふ・・・うう・・・」







恭弥・・・恭弥、ゴメン・・・ゴメンね・・・

私、貴方と・・・違う人と体を重ねちゃったの・・・ごめん、ゴメンね・・・






「ぁ・・・っ・・・ふっ・・・うぅ・・・ふぅ、ん・・・ぅ・・・きょ、・・・・恭、弥・・・恭弥・・・ッ」








しばらく私は動くことも出来ず、声を押し殺しながら
薄暗くなり、車一台すら通らなくなった道路で身を丸めて泣いた。






























「骸様、今の音なんだったんですか!?」
「どうしたんでれすびょん?!」

「あぁ・・・千種、犬・・・何でもありませんよ。」





が出て行った後の凄まじい物音で
部屋に近づくなといった千種と犬がやってきた。






「!!・・・骸様、口から・・・」
「あぁ、コレは・・・さっき、ちょっと噛み付かれましてね」
「やっぱりあの女なんですね!・・・始末してきます」






すると、千種が踵を返し
の後を追おうとした。





「待ちなさい、千種」
「ですが、骸様っ!」
「待ちなさいと・・・言っているでしょう、聞こえませんか?」
「・・・・・・は、はぃ」





僕はすぐさま、千種の動きを止めた。
僕の声に従うように、千種もを追うのもやめた






「いいですか?彼女は僕の獲物・・・いやオモチャです。2人とも手出しはしないでください」

「「はい」」

「いい返事です。それでこそ、僕の部下ですよ。」







を殺されては困るんですよ


雲雀クンにとっても、僕にとっても。



僕のオモチャに手を出されては困るんですよ・・・。



あの子は僕の手で穢して、僕だけのモノにしなければ


そして・・・雲雀クンが分からないほど・・・








「しかし、まずは・・・躾をし直さなければならないですね。・・・





まずは、体に染み付いたあの厄介な”クセ“を・・・僕色で染め直さなければ。








「クフフ・・・楽しみですね、



































「・・・ただ、いま・・・」

「お嬢様!!!どちらに行かれてたんですか!!」



痛い体を引きずりながら私は、ようやく家に辿り着いた
玄関を開けてすぐさま、聖がやってきた。





「遅くなるなら、遅くなると連絡くらい・・・・・・・お嬢様、いかがなさいましたか?」

「え?・・・あぁ、うぅん・・・何でもない」

「声も掠れて、瞳も腫れあがってしまって・・・本当にいかがなさったんですか?」






すると、聖が私の頬にそっと触れてくる









「僕のに触らないでくれる?」



ひぃいいぃいい!??!

「恭弥・・・来てたの」






すると、聖の背後から恭弥の声がした。
聖は恭弥の恐ろしさに思わず私の背後に隠れる。

すぐさま、恭弥は私に近づく。








「遅いよ・・・何してたの」
「別に」
「千夏にも連絡したけど、何にも言わないし・・・何か遭ったの?」
「何でもないわ」





私は恭弥の視線から外れるように、顔を背けた。



言えるわけない・・・恭弥を傷つけた・・・六道骸から犯されたなんて・・・言えるわけない


それも、何度も・・・何度も・・・




今でも思い出しただけで、腹立たしいと同時に涙が溢れてくる。












、言わないと僕分からないよ」

「言う必要ないから、言わないのよ・・・学習能力くらいつけなさい」

「何その態度、ムカつく・・・咬み殺すよ」

「・・・・・・」







もう、いつものように反論する気力すら起こらない







「何か言いなよ・・・調子狂う」

「うっさい・・・放っといて」

「そう言われて、引き下がる僕だと思う?・・・がよく知ってるくせに」

「もう、帰ってよ」

「帰らない」

「帰って」

「帰らない」



















「好きな奴心配して、何が悪いの?」








すると、恭弥が私の頬に触れてきそうになった













-------パシンッ!!










「!?」

「ぁ」






思わず私はその差し伸ばされた手を振り払ってしまった

目の前の恭弥は目を見開かせ驚いていた。

そんな行動を起こした自分自身も思わず驚いた






恭弥に、触れられそうになって・・・拒んだのは・・・初めてだから









「・・・っ」

お嬢様ッ!!」








その場の空気に耐え切れず、私は急いで靴を脱いで
自分の部屋へと駆け込んだ。



部屋について、電気も点けず
私は襖を開かれないように、必死で両手で押さえた

畳に・・・涙が零れ落ちる。






違う・・・違うの・・・恭弥


私・・・私・・・そんなつもりじゃ・・・ないの・・・







「・・・っ・・・うぅ・・・ふ・・・う・・・ぅ・・・」





そのまま襖に凭(もた)れ掛かりながら
座り込み、身を丸くして・・・また泣いた。


























それから、本当に不穏な空気が家中を漂わせていた。


食事中も恭弥は一向に喋りかけてこない(いや、元から喋らない性格もあることだし)
私も私で、恭弥の手を振り払ってしまったせいで、自分自身に罪悪感を感じてしまい
せっかく聖が作ってくれた夕食も喉を通らなかった。

目の前の恭弥は黙々と、夕食を口に運ぶ。




もうやだ、こんな重い空気





「ごちそう、さま」

「お嬢様、よろしいのですか?」

「もういい、いらない・・・寝るね、おやすみ。」





箸を置いて、私は立ち上がり自分の部屋へと向かう





ピシャリ、と襖を閉めて
私は聖が綺麗に整えてくれた布団の上に座る




私はふと、・・・気付いた。






「・・・コ、レ・・・」




腕に付いていた・・・布が擦れた跡







『  』





ふと、脳裏を過ぎる・・・骸のあの顔






『 クフフフ・・・、とても美しい姿ですよ・・・えぇ、本当に。 』





やめて・・・来ないで





『 これから僕がみっちり教え込んであげますから・・・僕をしっかり覚えてください 』





やめて・・・やめて・・・私のナカに入ってこないで





『 ・・・・・・、可愛いですよ・・・ 』





やめて・・・やめて・・・!
















、入る・・・」

「!?」







すると、突然恭弥が襖を開ける
私は涙を流しながら、振り返ってしまい・・・泣いているところを恭弥に見られた。

私は涙を隠すように、顔を背け、溢れる涙を必死で拭う






「な・・・何しに来たのよ・・・今日は大人しく客間で寝て・・・」

「・・・何で泣いてたの」

「うっさいわね!女の子の事情に首突っ込んでくるんじゃないわよ!」

「そう。・・・分かった」








すると、突然恭弥は踵を返し私に背を向けた。




え?



嘘・・・嘘でしょ?






がそう言うなら、僕は今日は客間で寝るよ」





そう言って、恭弥が私の部屋から出て行こうとしていた





ちょっ・・・ちょっと待って・・・いや、行かないで・・・




声が上手く出ない。
今一人にされてしまえば、また、・・・あの酷く犯されたシーンが脳裏に蘇ってくる
あの、骸の微笑が・・・脳裏に・・・浮かんでくる


声を出して、恭弥の動きを止めたいのに
声が上手く出てくれない・・・でも、でも・・・今誰かが・・・側に・・・





恭弥が側にいなきゃ・・・私・・・・・・・っ





















------ガシッ






「・・・何?」

・・・か・・・なぃで・・・

「・・・?」

「ぉ、願ぃ・・・一人に・・・しない、で・・・」





寝巻き用の浴衣の裾を掴んで、ようやく恭弥の動きを止めた

だけど、声が・・・今のが精一杯の・・・言葉だった。







「どうしたの?」




すると、恭弥がようやく目線を座り込んでいる私の高さに合わせてくれた

無表情なのに・・・雰囲気で心配してるように感じる。







「・・・恭弥!」
「っと・・・どうしたの、



私は思わず彼に抱きついて、そのまま泣きじゃくってしまった。




「・・・っぅ・・・ふぅ・・・うぅ・・・うう・・・恭、弥・・・恭弥・・・っ!」
「・・・、どうしたの?よしよし・・・ホラ、泣き止んでよ・・・」






恭弥は私が抱きついても、突き放しもせず
頭を優しく撫でてくれた。声に感情が篭っていなくても・・・その体で
私を抱きしめててくれただけで嬉しくて・・・涙がますます止まらなかった。





「恭弥・・・ぅ・・・うぅ・・・ふ・・・う・・・恭、弥・・・恭弥」
「分かったから、何度も呼ばなくていいよ。・・・ねぇ、泣き止んでよ・・・僕昔から
君に泣かれるとどうすればいいのか分からなくなることくらい知ってるでしょ」





知ってるけど・・・もう、今は歯止めが効かない
涙が・・・止まらない。






「・・・まったく、仕方ないな。・・・じゃあ、今日は我慢して添い寝するから」
「きょ、ぅ・・・や」
「それで我慢するから・・・ねぇ、泣き止んで」




すると、今度は恭弥が私を強く抱きしめてくれた
あぁ、コレが・・・恭弥だ。

どんなに突き放しても・・・彼は、私に優しい。







「・・・ぅん」
「じゃあ、寝ようか」
「ぅん」







そう言って、私は恭弥に抱きしめられたまま眠りについた。
優しい彼の鼓動、彼の匂い、彼の呼吸・・・恐怖が自然と和らいでいく





明日は、きっと・・・普通に戻れるよね






「恭弥」

「何?」

「愛してる」

「僕ものこと、愛してるよ」






優しくキスをして、眠りについた






恐怖を打ち消すやさしいキスをして
(怖い夜は、貴方が側にいて欲しい)


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