僕とは、幼馴染だ。
親同士が仲良くて、僕とも自然と仲良くなった。
仲良くなって、2人で新聞紙を丸めてトンファを作って、チャンバラごっこもした
其処から、本格的にトンファを握り始めた。
練習を重ねれば重ねるほど、僕とは上達していった
そして、いつしかは・・・僕を上回るほど、強くなっていった
いつも試合をすれば、僕は負けていた。
にトンファの1本を吹き飛ばされ・・・床に倒れこんだ
そして、はトンファを向けて・・・・・・
「恭弥、ツメあま〜い」
「うるさい」
そう笑っていた。
これからも、ずっとずっと・・・は僕の側であぁやって笑っていてくれると思っていた。
だけど・・・それも叶わなかった。
小学校5年生の時、稽古の帰りだった。
誰も通らない、道で・・・
「恭弥」
「何?」
「私、外国に引っ越すから」
あまりにも突然だった。
の口から放たれた言葉、それはつまり僕との別れを意味していた。
「何処?」
「分かんない・・・ただ、パパとママが居るところに行く」
「ふーん」
本当は行かないで、行っちゃダメだって・・・叫びたかった。
だけど、叫べなかった。
僕は、に泣かれるのがイヤだったから
きっと、僕が止めてしまえば、は泣いてしまう。
昔から、僕はが泣いてしまうとどうしていいのか分からず立ち尽くしていた。
どんな言葉を掛けてあげればいいのかも、それすら思いつかなくて
今でも、が寂しそうに泣いているところを見ると
何て言えばいいのか分からず・・・僕はただ、呆然と見ていた。
「もう、戻ってこないの?」
「・・・分かんない。・・・でも、私並盛好きだから」
「」
「もうちょっと大きくなったら帰ってきたいなぁ〜・・・それまで恭弥、並盛に居る?」
はなんだか楽しそうに僕に問いかけた。
「居るよ・・・僕も、並盛・・・好きだから。」
「うん。・・・じゃあ、もうちょっと大きくなったら帰ってくるね・・・それまで並盛に居てね、恭弥」
「分かった。」
それが、僕との幼い頃の最後の会話だった。
あくる週・・・はもう学校に居なかった。
家に行っても、誰も居ない・・・そして、家は既に他の人に売り払われ、の住んでいた家には
違う人が住むようになっていた。
の居ない、家
の居ない、学校
の居ない、稽古
の居ない、風景
の・・・居ない・・・居ない・・・
全てがつまらなく見えた。
だから、僕は荒れた。
荒れるに荒れて・・・暴走族の元締めにまで上り詰めた
と遊びでやっていたトンファも、僕の血となり肉となり・・・誰かを傷つける道具になっていた
--------ドガッ!!!
「グハッ?!」
「コレだから、群れるのは嫌いなんだ」
また、僕は誰かを傷つけていた。
トドメを刺そうと、力いっぱいトンファを握り、目の前の男に振り下ろした・・・
『私、並盛好きだから』
「!!」
ふと、僕の脳裏に、の言葉が過ぎった
あぁ、僕は一体何をしているんだろうか・・・は並盛が好きだって言った
それなのに、僕は・・・一体、・・・・
「雲雀さん?どうしたんですか?」
「・・・・・何でもない。眠い、もう帰る」
「あっ、ちょっ・・・雲雀さん!!」
「付いて来ないでくれる?僕群れるの嫌いだから」
踵を返して、僕は一人暗闇を歩いた
は、並盛が好きだって言ってくれた
僕も、それに応じるように並盛が好きだと言った
「・・・・・・」
空を見上げると、幾億もの星が輝いていた
、星が好きだって言ってた・・・並盛の星が好きだって言ってくれた
「・・・・・守らなきゃ・・・僕が・・・此処を・・・」
がもし戻ってくるのであれば、が泣かないように
怯えないように、この並盛を豊かで住みやすい様にしよう・・・が帰ってくるまで
僕が、此処を守って、いかなきゃ。
それから、僕は考えを改めた
並中に入る前には、既に裏社会全土を牛耳っていた。
そして新しく並中に風紀委員を作り、僕は風紀委員長になった。
もちろん、が並中に戻ってくるんじゃないかと思って
並中の風紀も正した、タバコを吸ってるヤツ、ケンカをするヤツ、・・・全部咬み殺してきた
時間があっという間に過ぎていく
桜が咲いて、向日葵が咲いて、紅葉が色づき、椿が咲き誇る・・・そして、また桜が咲いて・・・
同じ繰り返しだった
そして、また桜が咲いた・・・ある日・・・
僕は一人道を歩いていた。
目の前には、数人の女子・・・しかも並中ではない、有名な女子中学の制服を着ていた。
「あ、あの方・・・っ」
「え?誰?」
「お姉様、気をつけてください・・・並中の風紀委員長ですわ」
通り過ぎる前、話し声がヒソヒソと聞こえてくる
もう怯えられるのも慣れた。
「風紀、委員長?」
「えぇ。あ、お姉様は先週コチラに来られて分からないんですよね。
並盛中学校、並盛全ての風紀を乱すものは制裁を加えると有名な方です」
「暴走族の元締めとかで・・・恐ろしい方なんです。」
「そうなんだ。・・・そりゃ、近づかないほうがいいね。」
「はい。お姉様のような方が狙われる可能性はありませんが・・・あの、雲雀恭弥には近づかないほうがいいですわ」
そして、女子の一人が僕の名前を言った。
僕は横を通り過ぎ・・・其処を去ろうとしていた。
「雲雀・・・恭弥?・・・・・もしかして・・・・・・・恭弥!」
すると、先ほどの女子の群れから声が聞こえた。
でも、この声は聞き覚えがある。
僕はゆっくりと振り返る。
目の前には、茶色の・・・長い髪と、黒い瞳
見覚えがある・・・まさか・・・
「?」
「やっぱり、恭弥だ。・・・懐かしいね、久しぶり」
僕の幼馴染で、大好きなだった
優しく微笑んだ顔は、そうあの頃と変わらない笑顔だった
Yellow Beauty〜僕らの再会〜
(何年ぶりに逢った君に僕は心が動いた・・・コレは一体、何?)