あれから、また大分良くなってきた
あれからっていうのは・・・まぁ、ね・・・恭弥とお風呂であんなことやっちゃった日から。
それから、体もほぼ元に戻っていた。
首筋の引っかき傷はさすがに薄く残っているが、目立つとまではいかない
手首のリスカはもう跡も残さず完全に消えた。
食事も、いつもどおりに食べるようになった。
元に戻ったお陰で・・・毎日、恭弥とは・・・・・・・・・・・・
「・・・いかん、何を言おうとしてたんだ私はっ!!」
思わず、私は毎日夜・・・恭弥と何をしているのかを思い出して
顔が赤くなってしまった。
いや、確かにもう慣れたけどさ・・・あの、最強の不良殿と私は恋仲で、肉体関係を持ってるんですよ
普通に考えてください・・・あり得ないです。
しかも、向こうがベッタリさんなので、さらにおかしいよ。
「はぁ、今日も・・・夜、恭弥の奴私の部屋に来るんだろうな・・・。」
だけど、嫌とは思わない。
だって、恭弥の事好きだし・・・愛してる。
恭弥がいつも抱きしめてくれるだけで私は嬉しくて・・・。
どうしよう、柄にもなく顔が火照っていくのが分かる。
「・・・・あれ?恭弥の奴、まだ来てないのかな?」
私は裏門に来ていた。
いつもなら、恭弥の奴が此処で待っているはずなのに
今日に限って居なかった。
私はおもむろにポケットに入れていた携帯を取り出す
すると、メールが1件受信されていた。
「・・・ぁ、恭弥からだ」
送信してきたのは、恭弥だ。
私は、メールを開けると・・・・・・・・・
00/××/□□ 16:45
From 恭弥
Title 無題
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ゴメン、風紀委員の仕事で遅くなる
すぐ終わらせて、迎えにいく
そこで待ってて
------------END------------
どうやら、恭弥の嫌いな【草食動物の群れ】が
何か仕出かしたのだろう・・・
並盛史上最強の不良かつ風紀委員長様はお忙しいようだ。
私はため息を零して、まぁしばらく待つくらいならいいだろうと思い
裏門の門壁に寄り掛かった。
しばらくって・・・どれくらい待つんだろうなぁ〜とか思いながら
空を見上げた。
あれ以来、骸の動きが分からない
まぁ、分からないで当たり前だ・・・何せ私は家に篭りっぱなしで
この前、ようやく家から出たようなものだ。
このまま、平和に過ごさせて欲しいものだ。
すると、目の前を黒曜生が通る
でも、この前とは違う・・・髪を逆立てて・・・本物の不良っぽい
まぁ黒曜って元々不良の集まりみたいなものだし。
害はないだろうと思って・・・かの黒曜生が通り過ぎようとした瞬間・・・
----------ガキッ!!!
「あっれぇ?」
「っ、ぶなぃ・・・間一髪」
通り過ぎた瞬間、彼から血の匂いがした
そして、手で殴られる軌道が見え、私は間一髪トンファで受け止めた
「チッ・・・たら、女ってわけじゃないびょん」
「そん所そこいらのお嬢様たちと私を一緒にしないで欲しいわね。」
「犬、仕留め損ねたね」
「柿ピーみたいに上手くいけなかったびょん・・・中々、やるやつらひい」
「みたいだね。」
すると、電柱の影からこの前私を殴って気絶させた
あの、ニット帽でメガネのオタクっぽい男の子が出てきた。
ということは・・・・・・
「骸の舎弟・・・ね、あんた達」
「舎弟、何それ?犬知ってる?」
「知らねー・・・」
舎弟も知らないとか・・・何なのこの2人?
でも、骸の舎弟って事には変わりないわ。
なら、此処で叩く・・・!!
私は、1本出していたトンファをもう1本出して、両腕に構えた。
「めんど・・・できるなら傷物にするなって言われてるんだけど」
「あの、女・・・やるひ、満々じゃん。」
「どこぞのワケの分からない2人に拉致られて、変態野郎の所に連れて行かれるのは真っ平ゴメンだからね。
抵抗くらいさせてもらうわよ・・・」
恭弥が来るまで、何とか持ち堪えれるかしら?
来てくれたら何とかなるんだけど・・・まぁ私1人でもあの2人は相手にするし。
とにかく・・・・・・・
「連れて行かれるなんて私、絶対嫌だからね!!」
「柿ピーどうする?」
「傷物にするなって言うの、無理かも・・・やるしかないじゃん・・・めんどいけど」
2人が、襲い掛かってこようとした瞬間
「?!・・・ち、千夏ちゃん!?」
すると、背後に千夏ちゃんが居た。
しかも、私の肩を握って、動きを止めていた。
「千夏ちゃん、離して!・・・これじゃあ・・・・っ」
『離すなと・・・言われたので・・・』
「え?」
『お姉様を離すなと・・・言われてますから・・・』
「千夏ちゃん?」
様子がおかしい
いつもの柔らかい千夏ちゃんの雰囲気が感じれない
それどころか、冷たい空気が・・・・・・
『お姉様・・・大人しく、して・・・ください・・・』
「っ!?」
すると、いつの間にか千夏ちゃんの手に、三本槍が持たれていた
彼女はそれを振りかざし、私に襲い掛かる。
「ちょっ、千夏ちゃん!・・・千夏ちゃん、どうしたの?!」
「余所見してると」
「怪我するびょーん」
「うっさいわよ!!」
前方から千夏ちゃんに襲われ、後方は骸の舎弟2人に挟み撃ちにされ
私は何とか隙間を見つけ、其処から何とか逃げた。
スカートでスライディングの体勢に入ってしまい、私は足を少しばかり擦った
「へへへ〜大人しく、付いて来るびょん」
「嫌・・・絶対に、嫌・・・あんな変態のところになんか・・・」
「では、この方がどうなってもいいとおっしゃるんですね?」
「!!」
すると、千夏ちゃんの背後から・・・現れた・・・
「・・・骸」
「怖いですよ、。そんな風に睨み付けないで下さい」
「黙れ変態・・・千夏ちゃんに何した」
私は骸を睨みつける。
だが、骸はただ笑みを浮かべていた。
「ちょっと、・・・僕のお手伝いをしてもらおうと思って・・・催眠術のようなものをかけさせていただきました」
「催眠術・・・ですって?」
「マインドコントロールという言葉をご存知でしょうか?・・・彼女にそれをかけて、今は僕の居のままに動く人形ですよ」
「ほっとうに、アンタ・・・根っこのほうが腐ってるわね・・・人間として最低だわ」
「僕はですね、自分のためなら手段を選びません。・・・今、この場で彼女に死を命じる事だって出来るんですよ?」
「!!!」
すると、三本槍の真ん中・・・一番長い矛先が千夏ちゃんの喉元ギリギリに向けられる
いや、それは千夏ちゃんが操られて、勝手にしていること
このままじゃ・・・千夏ちゃんが・・・っ
「な、何が望みよ」
「分かりきってるはずですよ、・・・僕は貴女を待っていたんですから」
「・・・・・・・・・」
ようするに、自分に付いて来なければ・・・千夏ちゃんを殺すってこと・・・
あぁ、もう・・・せっかく、忘れてしまっていたはずなのに・・・
まぁ、私の体一つで、千夏ちゃんが助かるなら・・・
「千夏ちゃんの、術を解け・・・そしたら、付いていく」
「やけに素直ですね、。どういう風の吹き回しでしょうか?」
「いいから解け・・・じゃなきゃ、あと少しで恭弥が来るわよ」
「おやおや、それは厄介ですね。分かりました、彼女は傷一つなくお返しします・・・その代わり」
「分かってる・・・付いていけばいいんでしょ?」
「はい。」
骸は満足そうな声をあげて返事をした。
そして、千夏ちゃんを縛っていた術を解いた。
「あれ?・・・お姉様?・・・あの、私・・・一体・・・?」
「怪我、してない・・・千夏ちゃん?」
「は、はぃ・・・で、でも・・・何だか、疲れて・・・っ」
-----ドサッ!!
すると、千夏ちゃんの体が私に倒れこんできた。
どうやら、長時間・・・骸の術にかかっていたらしい・・・。
私は彼女の体を受け止め、そっと門壁に寄り掛かるように座らせた。
「さぁ、・・・行きましょう」
「ねぇ・・・一つだけ、約束して・・・」
「はい?」
「もう私以外の誰も巻き込まないで・・・術にかけたりするな、手を出すな・・・それだけ約束して」
「いいですよ。の約束でしたらそれは守ります。・・・ただし、僕からもいいですか?」
「何?」
「僕から逃げようなどという考えは捨ててください・・・雲雀クンに助けを求めるのも、いいですね?」
つまり、骸が言うのは、恭弥の愛を拒めという話だ
唯一私を理解して、私を愛してくれる・・・恭弥を・・・拒むのは・・・酷だ
だけど、それで・・・誰も傷つかずに済むのであれば・・・。
「いいわ」
「契約成立ですね。・・・今度は破らないで下さいよ、」
「分かってる」
「さぁ、行きましょう・・・おいで・・・僕の、」
ゴメンね、恭弥
守ってくれてるのに、私・・・また恭弥を心配させるようなことして
千夏ちゃんも、大好きな恭弥も守りたいから
「貴女は、僕のモノですよ・・・、絶対に離さない」
ゴメンね、ゴメンね・・・・・・
恭 弥
ようやく風紀委員の仕事が終わり僕は
急いでの学校に向かった。
裏門で待っているはずの・・・だったが・・・
「!!・・・千夏」
門壁に座り込んでうな垂れている千夏を僕は見つけた
すぐさま近づいて揺り起こす
「千夏、千夏・・・」
「恭、弥お兄様・・・?」
「千夏・・・は?」
「お姉様・・・誰かに・・・連れて行かれた、みたいで・・・」
千夏の言葉に、僕は驚きを隠せない
「誰に連れて行かれたの?」
「分かり、ません・・・ごめんなさい・・・覚えて、なくて・・・」
「いいよ。・・・とにかく、千夏・・・家まで送るよ」
「ありがとう、ございます」
誰かに連れて行かれた・・・ということは
相手の目的は何だ?
というか相手は誰だ?・・・僕のと知っての事だろうか?
それに、が怯えていた理由がもし、その連れて行った相手にあるとしたら・・・・・・
「見つけ次第、咬み殺さなきゃ」
確実に、消しにかからないと・・・はまた笑わなくなる
それだけは絶対に避けなきゃ。
とにかく、千夏を送ってを探すことに僕はしたのだった。
気付かぬ獣 蜘蛛に渡った蓮
(君は一体、何に怯えているというんだい?-----誰にも渡さない、僕の愛しい愛しい貴女)