--------ズガガガガガガ!!!
「シシシ・・・受身ばっかりじゃやられるよ」
「うっさい、黙れガラ王子が。」
「ベルセンパイ、無駄口叩いてるとさんにやられますよ」
「そうそう。戦闘に集中しなきゃ・・・フランもっと言ってやれ」
「フラン、お前どっちの味方なワケ?」
「お子ちゃまーずは元気ね・・・ベルなんて気絶させられてたのに、もう元気じゃない」
「電気ショックで気絶させたらしいじゃないか、スクアーロ」
「あぁ。あの、一瞬での奴はそれをこなしたんだ。」
午後。
庭では、一人に対しベルとフランが特訓をしていた
もちろん、俺やレヴィ、ルッスーリア、そしての部下は外野で見ていた
しかし、2人も相手をしているのに、は全く疲れた様子もなく
また、それを全部受け止めたり、はじき返したりとしている。
「まだまだ・・・温いわよ、2人とも」
「ムカつく」
「じゃあ、行きます」
「!!」
そう言って、フランがの後ろを取り、ベルが前方に立ちはだかる
「後ろ、貰いました」
「前も取った・・・シシシ」
挟み込まれた以上、には逃げ場はない
だが、は別に慌てる素振りもせず・・・
「バーカ」
そう言って、笑みを浮かべ
--------ガキンッ!!!
「うっそぉ」
「えー・・・それってアリですかぁ?」
「アリアリ。」
フランの攻撃を、水のバリアで防ぎ
ベルの攻撃を、直接トンファ片手で防いだ。
「あの子本当に何者よ」
「ムム・・・しかし、・・・妖艶だ・・・」
「キモイわよ、レヴィ」
の戦闘レベルははるかにヴァリアーの上を行く
俺達でも歯が立たないとか有り得ないだろ!?
余裕で二人の攻撃を、ボックスと自らの武器で防ぐとか
どれだけアイツは鍛えたりしてるんだって話だ。
-------PRRRRR!!!!
すると、突然携帯の機械音が鳴り響く。
どうやら、の部下の物らしい。
部下の奴はすぐさま電話に出る。
「もしもし?・・・え?・・・あ、は、はい!!すぐに変わります」
どうやら、電話の主はに用があるみたいだ。
「さーん!!・・・日本から電話です!!」
「あ?・・・誰?」
「だ、誰って・・・ボンゴレですよ!!」
「ボンゴレ・・・ったく。・・・どっちのあめかんむり?・・・霧?雲?」
「え?・・・えーっと、雲です!!」
「はぁ・・・うざっ・・・アイツまた性懲りもなく電話掛けやがって。すぐ行く!」
何だ、今のやり取りは!?
しかもあめかんむりって・・・なんだ?日本語はよく分からん!!!
だが、霧と雲って・・・・・・ボンゴレの中で一番厄介な守護者じゃねぇか
「つーわけで・・・」
「っと!」
「あっ」
突如、防御体勢に入っていたが防御を解いた。
突然のことでベルとフランは力が抜ける
「しばらく、休憩・・・『雷砲撃(ボルト・ショット)』」
「げっ!?」
「あー・・・」
------ビリリリリリリ!!!
電気ショックの銃弾をベルとフランの2人に撃ち込み
2人は痺れて地面にへばり付く。
一方のは、トンファを持ちながら部下の元へと行く
「貸して、東麻」
「は、はい。」
そして、電話を受け取る。
が、何かを思い出したように声を拾うマイクを手で塞いだ
「東麻・・・今度、霧か雲のあめかんむりコンビから電話あったら容赦無用で切っていいから」
「えっ!?い、いや・・・あの、僕には・・・で、できませんよ!!」
「出来るでしょ?私の部下が霧と雲に恐れてどうするの?」
「恐れますよ!!あの2人なんですから!!」
「あー大丈夫大丈夫。もし向こうが何か口答えするんだったら・・・さんが嫌いますよって言えばいいから」
「え!?いや、僕それは・・・僕がとばっちり受けますから!!」
「とにかく、練習中に電話掛けられたらこっちが迷惑すんだから・・・電話掛かってきたら切れよ、いいな?」
「・・・は、はぃ・・・」
「よろしい。・・・じゃ、ちょっと電話してくるから・・・ベルとフランが戻ったら言って。
戻らなかったら其処の3人の誰でも良いわ・・・相手になるから。」
そう言って、すぐさま電話に応答するように、は何処かへと歩き去っていった。
まぁすぐに戻ってくるとは思うが・・・
「ねぇ、其処の坊や」
「うぇ!?・・・は、はぃ!!・・・な、何でしょうか?」
「さっき、あの小娘ちゃんが・・・霧と雲って言ってたけど・・・それって守護者の事よね?」
ルッスーリアが気になったのか、の部下に尋ねる。
の部下はおどおどしながら俺達を見て・・・
「そ・・・そうです。」
「そう言えば、召集前も・・・日本から電話って・・・」
「アレは霧の守護者のほうです。・・・こっちに来て頻繁に掛かってくるみたいで・・・さんもノイローゼ気味で」
ノイローゼって・・・
確かにボンゴレの中で一番厄介な守護者といえば
雲と、霧の守護者だ。
ボンゴレのボスもこの2人だけには手を焼いているにも関わらず
その2人がになんで・・・??
「とりあえず簡潔に言いますと・・・」
「あぁ、何だ?」
「雲の守護者とはさん幼馴染で・・・霧の守護者はさんを好いてるんです」
『えぇえ!?』
「アジトに居る時も、雲と霧のお2人はさんのことでチョコチョコ戦闘を繰り広げて、ボスもお手上げ状態なんです。
もちろん、さんもお2人のことで頭を悩ませてるんです・・・いろんな意味で。」
あの、喧嘩っ早い・・・雲の守護者
と
何だが、意味不明な動きが多い・・・霧の守護者
それに好かれてるっていう時点で・・・おかしいだろ!?
「アララ〜小娘ちゃんも大変ねぇ」
「ウザイ事この上ないくらい大変に決まってるわよ」
「そうよねぇ〜・・・っていつの間にいたのよ!!」
「さっき戻ってきた。・・・ホラ、東麻・・・返す」
そう言って電話から戻ってきたが疲れた様子で
部下の奴に電話を投げやった。
「雲雀さん・・・何て?」
「”いつ帰ってくるの?“・・・だってさ。それから”何なら僕もイタリアに行こうか“って言ってた」
「それでさんは?」
「ウザイから来ないでくれるって返した」
『(怖ぇええ)』
「(雲雀さん哀れだ)」
返答に笑みを浮かべていたが、背後には
何とも表現しがたいオーラが流れていた。
そして、俺達の目の前を通りすぎ
地面に未だへばり付いているベルとフランを見る
「ホラ、いつまで寝てんの・・・起きろ」
「お、鬼かよ、お前・・・っ」
「まだ痺れて動けませーん」
「寝言は寝て言え・・・ホラ起きろ。それでも特殊暗殺部隊のヴァリアーか?あぁ?」
完璧に鬼だ
まだ痺れて動けないベルとフランに激が飛ぶ
「っていつもあぁなのか?」
「まだ優しいほうですよ・・・僕たちの練習の時は容赦ないですからね。まだサブ匣(ボックス)の段階は
全然優しいほうですって・・・」
の部下は憐れんだ目で、ベルとフランを見ていた。
ということは、コイツもに相当扱かれてきたんだな。
門外顧問のラル・ミルチや、アルコバレーノのコロネロもスパルタだったと聞くが
アイツら譲りとは言えない・・・も相当スパルタだ。
「立たないなら、実力行使だな。」
「は?」
「えー」
そう言って、ボックスベルトからボックスを一つ出し
無のリングとは別の、リングでボックスを開けた。
すると、ボックスから出てきたのは・・・雷(いかずち)を身に纏ったドーベルマン
「開けちゃいましたね・・・メイン匣(ボックス)」
「あぁ?あの、犬が?のメイン匣(ボックス)って言うのか?」
「はい、さんのメイン匣(ボックス)」
「ゴメンな・・・ボルツ・・・お前をこんな時に呼び出して」
「犬じゃん」
「犬ですね・・・雷属性の」
「まぁ確かに犬だし、雷属性だけど・・・お前らを扱くには私よりもボルツの方がいいかしらね」
「「は?」」
すると、犬の口元が威嚇するように震える。
さらに、其処に大量の電気が放電されようとしている
「やっべ」
「コレは逃げるべきですよね」
『ガウガウガウ!!!』
そう言って、ベルとフランは立ち上がり犬から逃れようとする。
まるで漫画に出てきそうな、野犬から追いかけられている構図だ。
「咬まれたら電気ショックだからね・・・でも、その子加減知らないから、噛み付かれたら私の打つ”雷砲撃“よりもかなり痺れるから。」
「ひぃ〜〜お、鬼じゃんアイツ」
「走るの苦手」
「ホーラホラ、必死こいて逃げるか・・・攻撃するかどっちかしなさいよ〜。あー愉快愉快」
はケタケタと笑いながら
犬を走りまわして、その犬から追いかけられているベルとフランを見ていた。
「アレがさんのメイン匣・・・雷犬(フルミネ・カーネ)・ボルツです。僕らもアレで鍛えられてるんですいつも」
「いつもって・・・かなりの電気放出してるじゃなねぇか」
「それが怖いんですよ。さんの言うとおり、ボルツは加減を知らないんです。・・・ですから、僕たちも攻撃するか
逃げるかのどちらかの選択をされるんです。」
「かなり、鬼だな・・・の奴」
「通常、人の筋肉の静止電位が-70MV(ミリボルト)〜-80MVになります。それが、大体さんの放つ
雷砲撃になります。これが基準値なだけで・・・ボルツはその倍以上の電気を体内で作り出して放出してるんです」
「噛み付かれると一体どれくらいの電圧になるのよ?」
「まぁ噛み付くくらいですから、さほど・・・えーっと、大体・・・100V(ボルト)〜250Vくらい。
つまり、一般家庭に配電される平均的な電気の量になります。」
「ムム、対してそんなには無いんだな。俺と同じだ」
「アンタとあの小娘ちゃん一緒にすんじゃないわよ!!」
「ただ、敵となればとそれが別です。・・・ボルツの一番嫌いなものがさんに近づくものすべてです。
さんが傷ついたり、襲われたりしたら、ボルツは怒り狂って電気の放出量が1千万倍に跳ね上がるんです」
「いっ・・・1千万倍!?・・・ってことは・・・」
「ただの電気を放出する犬と甘く見たら最後・・・もろに雷を喰らうのと同じになります」
あの犬といい・・・といい、やっぱりおっかないと思った
夜。
もちろん、ベルやフランは昼から夕方まで続いた
練習に疲れて眠った。
レヴィやルッスーリアももちろん、朝の戦闘でかなりの体力を使ってヘトヘトだ。
約一名、つまり俺だけがまだピンピンした状態だったので
一人屋敷内の見回りをしていた。
すると、暗闇からなんだか痛い光・・・雷にも似た光が光っていた。
俺はゆっくりその方向へと歩く。
「・・・お前」
「あ、・・・スクアーロ」
光のほうに居たのは、白いワンピースを着ただった。
が暗闇の中座り込んで、俺を見上げていた。
しかも、昼間の・・・犬がの側に居る。かなり威嚇してるぞ
『---グルルルルッ』
「ボルツ・・・ダメよ、この人は良い人。噛んじゃダメ」
の声で、威嚇していた声がすぐに止んで大人しくなった
「お前、何してんだよ・・・明日も練習すんだろ、さっさと寝ろ」
「うん。・・・ちょっと、眠れなくて・・・」
「あぁ?」
俺から目線を逸らすように、はまた顔を膝に埋めた
「皆、心配して連絡してくるからさ・・・余計思い出して眠れないの」
「お前、それホームシックだろ?」
「・・・・・・・・・」
何も喋らない、ということは図星らしい。
だが、コイツ・・・こんな寂しそうな声出すんだな。
昼間はすげぇ楽しそうな声あげて、ケタケタ笑ってベルとフランを翻弄してた。
やっぱ・・・外見そうやって振舞ってても・・・強くない
むしろすっげぇ弱いんだ。
------ガシガシガシガシ・・・・・!
「っへ!?・・・ちょっ、ちょっと!?!?」
俺はの頭を掴んで、そのまま髪の毛をワシャワシャと掻き乱した。
しばらくして、俺はその手を離す。
あまりに突然のことで、は驚いた表情をしていた。
「な、何すんのよ!」
「よし、元に戻ったな!!」
「え?」
「俺はお前の威勢の良さが気に入ってんだよ・・・んな、女らしいことすんな似合わねぇぞ」
「女だから女らしいことしちゃ悪いっての!?」
「よしよし、その調子じゃねぇーか」
「・・・っ、サメ明日お前喰い潰してやる・・・覚悟しなさい」
「上等。・・・来いよ」
そう言うと、はようやくいつもどおりの笑みを浮かべた
俺も思わず吊られて笑ってしまった。
「あー・・・何かすっきりした。スクアーロ、ありがとう」
立ち上がり、は笑顔で俺にお礼を言ってきた。
やべっ、今のちょっと可愛い・・・じゃ、ねぇ!!!!
何を俺はこんな女にときめかなきゃいけねぇんだよ!!!
「感謝すんな、お前に感謝されると調子が狂う」
「サメさんサメさん、顔赤いですけど大丈夫ですかぁ?」
「うっせぇ!ガキは早く寝ろ!!」
「言われずとも寝るよーだ、バーカ」
そう言ってはいつもの悪戯っぽい笑みを見せた。
「さぁ、ボルツ・・・寝ようか。」
「待て。」
「何よ、サメ」
----フワァ
「な、何?」
「着ろ」
俺は自分の着ていた上着を、に羽織らせた
あまりに突然のことで、本人も驚いている。
「え?いらない」
「バーカ・・・イタリアの夜は、日本と違って冷え込むんだよ!
んなとこで、風邪でも引かれたらこっちが迷惑だ。それ着て自分の部屋戻れ」
「・・・・・・スクアーロ」
「んだよ?」
「 あ り が と う 」
「!?・・・うっ、うっせぇ!!早く寝ろバカが!!」
「うん、じゃあお休み・・・ボルツ行くよ」
『ガウ!』
そう言って、は俺の上着を上に羽織り
その場を軽快に去っていった。
やべぇ、今さっきの顔なんだよ・・・マジで可愛かったぞ
心臓が酷いくらいにドクドクとうるさい音を立てている
寂しそうな顔も、楽しそうな顔も、嬉しそうな顔も、優しい顔も、全部・・・なんだ
「あー・・・邪念だらけだから、俺はアイツに負けるんだよな・・・剣帝が泣くな」
明日、どんな顔をしてに会えば良いのか
俺は少し戸惑ってしまいそうで、怖かった。
それは全部君の表情〜face to face〜
(闘う顔も、笑う顔も、寂しそうな顔も、それは全部お前なんだよな・・・って何ときめいてんだ俺は!?!?)