興味なんて、これっぽっちもなかった。

でも、あの時の・・・傷を負った瞬間・・・僕のナカで激しく何かが動いた気がした。











さん・・・本当に大丈夫ですか?」
「え?・・・あぁ、大したことないってこれくらい」





ベルセンパイの反抗?事件後・・・僕はさんに連れられ
ボンゴレの医務室に居た。
もちろん、そこには練習を一緒に見ていたルッスさんや、さんと
練習をしていたスクアーロ隊長が居た。・・・もちろん、さんの部下の人も。

僕はいつものことで慣れているからいいが
さんの頬には大きなガーゼが貼り付けられていた。

傷がちょっと深く、出血が酷いみたいだったらしい・・・でも痣は残らないとか。






さん!!!あれほど言われたじゃないですか!!!怪我しないでくれって!!!」

「あー・・・もー・・・東麻お前ちょっと黙ってろ

「いいえ、怪我をしておいて、黙るはずじゃないでしょうが!!!貴女が怒られるんじゃなくて
ちゃんと見ていなかった僕が怒られるんですから!!!」

「なら、付いて来ないほうが良かっただろ!!何でわざわざ付いて来たんだアホ!!」

「雲雀さんの頼みなら僕だって従いますよ!!」

お前それでも私の部下か!!
何であのアホの言う事聞いて、私の言う事は聞かねぇんだよ!!」

「雲雀さんは絶対ですから」

お前ちょっと表出ろ、シバキ倒してやるから

あひぃいいぃい??!?!?!す、すすすすすすすいませんでした!!!!





さんは部下の人に凄い怒られてる。
(でも、今はさんが部下の人の胸倉掴んで怒ってる)

何でそこまでして、怒られるのかよく分からないけど。







「ホラホラ、小娘ちゃんあんまり怒らないの・・・可愛い顔に傷が残るわよ」
「ルッス」



ルッスさんがそう促すと、胸倉を掴んでいた手を離し
さんは髪の毛をワシャワシャと掻き乱し始めた。








「・・・・もう、東麻のせいでムシャクシャしてきた・・・外の空気吸ってくる」
「じゃあ、僕もお供っ」
「東麻!・・・お前は此処に居ろ・・・付いてくんな!・・・フラン、体休めとけよ・・・明日練習するからな」
「・・・あ、はぃ」







そう言って、さんは医務室を出て行った。
背中、まだちょっとズキズキするけど・・・処置が早かったから、浅く済んだってお医者さんが言ってた









さぁ〜ん・・・酷いですよぉ〜〜」
「まぁまぁ、小娘ちゃんも大人なんだし、目を離したって」
「いえ、僕は一応さんの監視役としてお供してる身なので」
「この前から気になってたけど、てめぇどういった理由での側役してんだ?」





隊長がさんの部下が何故そこまでしてさんを心配するのか
気になって仕方がなかった・・・・まぁ僕も人の事言えないが・・・気になってないと言えば嘘になる。








「この前も、お話しましたよね?・・・あぁ、フランさんにはお話してなかったのですが・・・」

「何の話ですか?」

「小娘ちゃん、ボンゴレ雲の守護者と幼馴染で」

「霧の守護者に執拗以上に好かれてるんだとよ」

「師匠にまで大変ですね、さん」







そういえば聞いた話。
歴代ボンゴレファミリーの中で一番厄介なのは――――。


孤高の浮雲といわれる、雲の守護者 と 正体が全くつかめないウチの師匠・六道骸の2人だと。


しかも10代目ファミリーの中でも他の守護者の群を抜いて
この2人の守護者はボンゴレ10代目もお手上げ状態だとか。




確かに大変そうだ・・・さん。






さんは雲の守護者・・・雲雀恭弥さんのワガママでファミリーに入ったも同然で」
「あっら〜・・・強引ね、雲の守護者は。・・・でも、嫌いじゃないわよそんな男」
「ルッスさん、気持ち悪いですよ」
「お黙り!」


「以前から、霧の守護者・・・六道骸さんとも面識が遭って・・・まぁ全て雲雀さんつながりで
さんは10代目ファミリーとは顔見知りになってるんです」
「なるほどな。・・・だけどよぉ、それと・・・お前の監視と何の関係があるんだってーの!」






すると、さんの部下は辺りを見渡し・・・僕らに近づいてきた。

そして、小さな声でボソボソと呟き始める






「あんまり話すなって言われてるんですが・・・実は以前、さん・・・任務中に大怪我をして瀕死状態にまで陥ったことがあるんです」

「えっ!?」
「あの、が!?」
「信じられないわよそれ」

「僕もコレを聞かされたのはつい、最近で・・・驚きましたよ」
「一体、何が原因ですか?」





僕が問いかけると、さんの部下はため息を零して、口を開く。






「何でも、銃弾が肩を掠めて・・・バランスを崩してそのまま崖下に転落したそうで・・・幸い、下は海だったので
何とかすぐに救出は出来たんですが・・・その場に居たのが、雲雀さんと六道さんだったわけです」

「つまり、アイツらが頻繁に電話してくるのは・・・」

さんが怪我をしてないかどうかです。正直、お二人はイタリア行きを反対してたんです・・・前回のようなことが
起きるんじゃないかって・・・いくら、さんがボンゴレのボスの次に強いと言っても
女性であることには変わりはありませんから・・・10代目も苦渋の決断だったらしいです。」

「なるほどねぇ〜・・・それなら納得できる理由にはなるわね」

「雲雀さんも六道さんも、さんを大事に思うからこその事をしてるんですが・・・どうもさんはそれが
煩わしいようで・・・電話も切れとか言って。・・・だから、僕が此処に居るんです。
お二人がさんを見れない分、僕が監視役としてさんの側にいなきゃいけないんです」



さんの部下の人は少し苦しそうな表情をしていた。
それをすると、すぐさま顔を上げて僕らを見た。




「お2人とも、互いに仲はあまり良くないんですが・・・さんの事になると、変に意見が合致するんです」
「アラ?何それ?2人とも片想いなの?」
「僕もそこまでは・・・ただ、さんを死なせたくないと言うのは僕も同じです・・・何せ頼れる上司なんで」





そう言ってさんの部下の人はニッコリと笑った。






「あ、僕・・・さん探さなきゃ・・・また見てないと、いつ無茶するかわかりませんから、では失礼します!」






深々と礼をして、医務室を出て行った。
其処に残ったのは・・・僕と、ルッスさんと隊長だった。

僕は脱いでいた服を元のように着る。








「しかし、あの小娘ちゃんがね」
「意外な話でしたね・・・さん、そんな事があったなんて」
「生死を彷徨った人間だからこその強さか・・・なんなのか分からんがな」
「あの傷、2人の守護者にバレたら私達の命が危ないんじゃない?・・・雲と霧、怖いわよ〜」
「やりかねんな、あの2人なら」






僕は、二人の会話を見ながら帽子を深く被る。


そういえば、師匠・・・日本に行くときだけはやけに嬉しそうなのを思い出した。
あの人笑い方キモチワルイから見てる側が寒気がした




でも、どこかあの人が日本に行く理由が少し分かってきた様な気がした。




そして、僕は座っていた椅子から立ち上がる。





「アラ、フラン大丈夫なの?」
「はい・・・何とか」
「あんま無理すんなよ・・・なんだったら明日の練習俺が変わってやってもいいんだぜ?」
「それは譲れませんから。結構です」






でも、ベルセンパイの言いたいことは良く分かる

ここ数日間、僕とベルセンパイはさんから相手にされていなかった
スクアーロ隊長がずっと練習を独占していたからだ。



強いもの同士、それを求めるのは確かに凄いことかもしれない

ボスも強いし、いずれはさんボスとも練習するとかこの前言ってた。



だけど、もし・・・その練習で、僕の存在を忘れられていたら・・・何だか悲しくて、ムカムカしていた。







「僕も散歩してきます」

「無理すんじゃないわよーフラン」

「はーい」







そう言って僕も、医務室から少し傷む体に鞭打ちながら出て行った。



出て、しばらく廊下を歩いてると、中庭で・・・さんと、さんの部下の姿を見つけた。

僕は立ち止まり、その風景を見ていた。


さんの部下の人が一生懸命謝ってる・・・そして、さんは不貞腐れながらも、まぁ許すかっていう
そんな優しい表情をしていた。




ふと、昔・・・師匠に鍛えられたときの事を思い出す







『師匠、やけに嬉しそうですね。日本に行くのがそんなに嬉しいんですか?』

『おや?そのように見えますか?』

『はい。キモチワルイ笑い方してるんで』

『相変わらずお前は失礼な子ですねフラン。まぁ嬉しいといえば嬉しいですね』

『昔はあんなに日本に行くの嫌だったのに、何があったんですか?』

『そうですね・・・』



そう尋ねたら―――――。








『おてんばなお姫様に逢いに行くのが楽しみなんですよ、クフフフフ』







師匠はそう言って、笑ってた。

最初はどういう意味だ?と思っていたが、今までの話を聞く限り
師匠が言ってたのは、彼女だったんだと確信した。





そう言って、僕は再び窓の外を見た。
さんが笑ってる。


笑って、怒って、・・・微笑んで、守ってくれた





僕、一体・・・どうしちゃったんだろう?

































夜、トイレに行きたくなって部屋を出た。

すると、廊下の何処かからか声が聞こえる・・・。





『ところで、お前それ大丈夫なワケ?』
『あぁ、コレ?・・・まぁ、傷残らないから平気だってさ』
『ふぅ〜ん』





僕はこっそり、影から覗いた。



あ、ベルセンパイと・・・さんだ。



昼間、凄いケンカしたのに・・・仲良くなってる。




仲直り・・・したんだ。







『あ、ナニナニ?王子心配しちゃってる?』
『ち、違ぇーし、バーカ!』
『顔赤いよ王子』
『うるっさい・・・切り刻むぜ?』
『返り討ちに喰い潰してやるけど?』

『ウシシシシシシ・・・!』
『アハハハハ・・・!』







楽しそうに笑ってる。
仲直りできたみたいだけど・・・僕としては複雑だった。

何だろう、胸のナカがモヤモヤして・・・何か気持ち悪い


僕はUターンをして、部屋に戻った。










-----------ガチャッ・・・バタン!







「へんなもの見ちゃった」



僕は呟きながらモソモソとベッドに潜り込んだ。
ベッドに入って、目を閉じて寝ようと思ったけど・・・すぐに目が開いた。





「眠れないし」



さっきのさんとベルセンパイとのやり取りが気になった。

別に仲直りしたならそれでいいし、どうでもいいことなのに・・・・・・なんで気になってるんだろ僕。






『どんな人なんですか・・・その人』

『そうですね。無茶ばかりが多くて、目が離せませんかね』

『師匠も物好きですね』

『そうですか?・・・まぁ、まだ子供のお前には分からないかもしれませんね、彼女の魅力は』



また、パイナップル師匠の言葉を思い出していた。
思い出したら余計目が閉じなくなった。



師匠が言うように・・・僕だけいつまでもあの人に子ども扱いされてる。

確かに、子供?かもしれないけど・・・今日のさんの話を聞いて

いつまでも守ってもらってばかりじゃ・・・ダメなんだって・・・思った。



あの人の痛みを堪えて、笑っている表情を見たら・・・急に胸に痛みが走った。

さんがベルセンパイのナイフで傷を負ったとき・・・心臓が酷いくらいに高鳴った。
怖かった・・・初めて、そう思った。




大事な人が、傷ついた・・・僕の目の前で。


「痛くないよ、大丈夫」とか笑って言ってたけど・・・絶対痛いに決まってる。
僕だって痛いのにさ・・・さんのほうが、多分数万倍と痛い思いをしてるに違いないと思う。・・・勘だけど。






「僕が・・・・さんを守らなきゃ。もう、あの人に痛い思いさせたくない」




そう考え付いたら、目が段々と閉じてきた・・・眠い。もう寝よう。
明日はたくさん・・・たくさん・・・さんに話したいことがあるから。

























「おはようございます、さん」
「お、フランおっはー」




朝一番、誰もまだ居ない広間に、さんが居た。
僕はいち早く起きて、広間に来た。





「どうした、いつもはお寝坊だってルッスが言ってたけど?」
「今日は目覚めが良かったんです・・・さんに話したいことがあったから」
「私に?何ナニ??」






そう言ってさんは僕の顔をジッと見ていた。
あぁ、凄く心臓が動いて・・・今までに感じたことのない熱を感じる。

貴女が側に居るだけで、こんなにも、心臓が動いてて・・・





「僕・・・強くなりたいです・・・」

「フラン、充分に強いじゃない・・・何て言ったってあの骸の・・・」

「僕、師匠よりも、もっと強くなりたいです」

「え?」

「強くなって・・・僕、・・・僕・・・」














守 り た い ん で す














さんを僕・・・」


う゛お゛ぉ゛い!!!朝飯はまだかぁ?!!」
「ふわぁ〜・・・アレー?フラン珍しー早起きじゃん」
「ホントね、空から槍でも降ってくるかしら?」
「俺なんかまだ眠いぞ・・・まぁボスはまだ寝てるがな」


「おはようございます(タイミング悪っ)」

「あぁ、おっはよー皆!」






タイミングが悪い・・・皆起きてきた

僕の一大決心を返せ・・・!!!!!






「よし!じゃあ朝ご飯食べたら練習ね」
「よっしゃぁあ!!、今日も俺の」
「何言ってんの、スクアーロ・・・俺が相手してもらう約束なんだよ・・・な、?」
「バカなこと言わないで下さいよ、隊長とベルセンパイ」

「あぁ?」
「ん?ナニ?フラン、コウハイのクセに口答えする気?」




たとえ、上の人でも





「僕がさんと練習するんです・・・邪魔しないで下さい」






さんを守るためなら、僕は隊長でもベルセンパイでも、押しのけて・・・練習の時間を貰うつもり







「わぁ〜お、ベルの下剋上宣言ね・・・面白くなってきたわよコレ」
「何だ?ナニが一体、どうなってるんだ?」


「ま、いいや。・・・やる気になってるんなら、3人一辺に相手してやるよ・・・いつでも来な」





そう言ってさんは笑った。



僕、守りたいです・・・貴女のこと。

だからいつまでも子ども扱いなんかさせない・・・守れるくらいの力が欲しいから








さん」

「ん?」

「僕、もう守られてばっかりは嫌です」

「え?」

「今度は僕が守りますね」





それが、きっと僕の使命なんですよね。





Giuramento〜コウハイ下剋上宣言!〜
(僕は此処に誓う。傷一つ、決して貴女に負わせたりしない・・・僕が貴女を守れる力を手に入れるからもう傷つかないで)




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