「え?幻術を教わりたい?」
「そう。だからさ、教えて骸」
とある日、僕はにそんな事を尋ねられた。
あまりに突然のこと
しかも、幻術を一般人であるが教わりたいというのがおかしな話だ。
充分に強いのに、また何故?
「理由は?」
「へ?」
「理由は何ですかと聞いてるんです・・・それなりの理由がなければ僕も幻術を教えられませんよ」
「理由としては・・・色々学習して、もっと強くなりたい」
「・・・これ以上強くなってどうするんですか?・・・男の僕としての立場が失われていきます」
「別に守ってもらおうなんてさらさない・・・ていうか、お前に守られる筋合いはない」
僕の心に10万というダメージが与えられた。
好きな女性に此処まで言われて、僕は凹みますよ・・・本気と書いて、えぇマジで
「隼人や、武、了平にも色々教えてもらったの。まぁランボ君は私と同じ属性だから教えてもらうこと無いんだけど
恭弥にはまだ教わってない・・・そのうち教えてもらう予定だけど、骸がアジトに居るうち教わりたいなぁ〜って」
「いいですけど・・・どうして僕なんですか?クロームが居るでしょう・・・女の子同士なんですし
教わるならクロームのほうがいいと思いますけど?」
僕は正論をあえて述べた
僕のアナグラムであるクローム髑髏ならにも懐いていることだし
一部ではあるが、クロームも僕の六道能力(スキル)を使えるのだから
教えてもらうなら、僕よりもクロームのほうがいいと思った。
「クロームにも聞いたよ。幻術教えてって」
「なら、いいじゃないですか。クロームに教わっても」
「そしたら、クロームね・・・・・・」
『クローム・・・幻術教えて』
『え?・・・幻術を?、何するの?』
『戦闘に応用するに決まってるじゃん。骸に教わるよりか、女の子のクロームのほうが何かと
良いというか・・・クロームから教わりたいの!』
『骸様じゃダメなの?』
『いやね・・・あいつなら練習しながらセクハラしかねんと思って』
『(骸様哀れです)・・・でも、私は骸様のアナグラムで・・・骸様みたいに幻術を細かく知ってるわけじゃないから』
『えっ?つまり何?・・・骸に直接教われと?』
『私はアナグラム、幻術を使いこなすだけでいっぱいいっぱいで。・・・骸様みたいに、色々出来るわけじゃないの』
『そっか・・・残念。』
『ゴメンね、。・・・あ、でも幻術教わったら私練習台になってもいいよ。』
『ホント!!それ約束していい?』
『うん。・・・いいよ』
「と、いうワケさ」
「、僕がいつセクハラをするって言うんですか?」
「いや、お前ならやりかねんだろ?練習のどさくさに紛れて」
あえて其処は否定できなかった。
幻術を教えて欲しいという話が僕に来た瞬間から
とずっと居れる!と思って、手取り足取り教えれると思っていたのだが
どうやら、彼女には見透かされていたようだ。
「とにかく、教えて骸、教えて、・・・教えろ」
「最後が命令形になってますが?・・・それが人にモノを頼む態度ですか、?」
「えー、骸幻術教えてくれないの?」
「・・・そんなに教わりたいですか?」
「興味あるし。・・・何か面白そうだし、幻術使えたら役立ちそうだし」
僕は口元に手を当て、考え込み
数秒して、の顔を見る。
「いいですよ」
「ホント!!」
「その代わり、タダってワケにはいきませんよ。・・・何らかの見返りをくれないと」
「えー!!骸のケチ」
「クフフフ・・・ケチで結構です。・・・、それが条件で、幻術を・・・まぁ、基本的なものではありますが
教えることを僕は承諾します・・・どうします?」
目の前のは凄く嫌そうな顔をして僕を見ていた。
多分今まで他の守護者はこういった条件を出さず、タダで教えていたに違いないだろう
だが、僕はそう簡単にいきませんよ。
教わるなら、まずそれなりの見返りを貰わなければ。
「・・・・・・分かった」
「で、何を僕にくれるんですか?」
すると、は僕から少し顔を逸らして
「 私、じゃ・・・ダメ? 」
頬をほのかに赤く染めて
恥じらい、ちょっと潤んだ瞳で僕を見つめ、そう呟いた
ヤバイ、可愛い!!!!(骸さん、キモイでーす)
「いいですよ!!、それでいいです!!」
「ホント?」
「全然いいですよそれで!!(むしろそれを待っていた)」
「わーい、骸大好きー」
「僕も大好きですよ、」
そう言っては嬉しそうに飛びついてきた。
もちろん僕もそんなを抱きしめた。
彼女のためなら、何だって教えてやろうという僕の甘さか
まぁ多分・・・惚れた弱みですよねコレも。
---数日後---
「では、早速練習を始めましょうか」
「はーい、骸先生よろしくお願いしまーす!!」
あの、お願いから数日がたったある日
アジトの練習場で、僕はに幻術の基本的なものを教えることになった。
「の武器と、霧のボックスで簡単な幻術を教えますね・・・其処から自分なりに
幻術のレベルを上げていけばいいですから」
「うん、分かった・・・じゃあ教えて!」
は既に教わる気満々のようだ。
だけど、まずは・・・
「教えますけど、まずは脳で覚えるのが先です。」
「脳で覚える?」
「幻術のイロハですよ、。・・・基本です、知っておかなければならないことですから。」
「他の属性と違うところが其処よね・・・ワクワクしてきた。」
他の属性と違うって・・・どれだけ単純に教えていたんだ、彼らは。
僕は彼らと同じ守護者と考えると少し落胆のため息を零し
目の前に居るを見て、僕は話しを始める。
「そもそも幻覚とはなんですか、」
「そりゃ・・・幻ってことでしょ?その場にあるものをより本物に見せることだよね。」
「えぇ。ですが、よりリアリティを求める・・・つまり現実のリアリティ、本物に近づけるため、必要なのは
術士のリアリティが重要ということになります。」
「それって、自分の念じるのレベルを高める必要があるってこと?」
「まぁ簡単に言えば。・・・幻覚には、実体のある幻覚・・・これを有幻覚と言うんですよ。
幻覚に潜む幻覚、有幻覚に潜む幻覚、幻覚に潜む有幻覚・・・もっと簡単に言えば
真実の中にある嘘、嘘の中にある真実・・・というわけで・・・・・・」
僕はそう言ってを見た。
だが、目の前の彼女は・・・・・・
「、僕の言ってること分かりますか?」
「は?」
目の前のは、それこそ携帯の顔文字でもある
『ポカーン(゜□゜)』とした表情で僕を見ていた。
まさに顔文字そのもののような・・・の顔・・・
「分かり、ましたか?・・・今さっきのこと?」
「何のこっちゃ、さっぱり分かりません、先生」
「・・・貴女一応私立で有名な進学女子校に通っていたでしょうが」
「勉強は得意でも、幻覚だの、有幻覚だの・・・文字の羅列を見た瞬間・・・頭がパンクしました」
「おやおや、困った生徒ですね。クロームよりも手のかかりそうな生徒ですよ、貴女は。」
「いや〜、照れるじゃないそう言われると」
「誰も褒めてませんよ、。真面目に聞きなさい、教えませんよ」
「はぃ」
目の前のは床に正座をして反省をしていた。
まぁ、僕の説明があまりにも術者向きの言い方だったのも悪い部分だ。
僕は腕を組んで、何とか分かりやすいようにに伝えるよう考えた。
「・・・そうですね・・・分かりました、まずは説明が先ですね」
「あれ?お前いつの間に、そのメガネと・・・しかもスーツとか身に纏ってるわけ?」
「教師用です・・・もちろん、の個人的な先生で」
「消えろ変態教師が」
「とーにーかーく!・・・分かりやすいように説明しますんで。」
「はーい・・・って!?!?私いつの間に中学の時の制服着てんだ!?ていうか、何で学校用の机もあるの!?」
「まぁ、其処は触れない線でお願いします。」
そう言って、は椅子に座った。
僕はメガネを上げて、(何処からともなく出した)差し棒を手に持っていた。
「まず、有幻覚というのはですね・・・さっきも言いました、実体のある幻覚のことです。ここまでで分からないところは?」
「既に分かりません」
「物覚えの悪い子にはお仕置きしちゃいますよ?」
「ひぃいい!?!?笑顔で言うな!!現実になりそうで怖いわ!!!」
「え?して欲しいんですか?いいですよ、覚えるまで体にみっちり教え込んであげますから」
「セクハラでお前訴えるぞ」
「まぁ冗談はさて置いて・・・」
「(絶対全部本心に決まってる)」
「何か言いましたか?本気で、この場で、犯しますよ?」
「いえ、何も言ってないです・・・どうぞ続けてください」
僕は咳を一つ零して、再びを見る。
「実体のある幻覚とは・・・まぁつまり、こういうことですかね?」
僕は瞬時に、もうひとりの僕を出した。
「!!・・・む、骸が2人!?」
「「まぁ、簡単に表現すればこうなります。幻覚だけれども実体のあるものをより本物に見せる・・・。
コレが有幻覚となります・・・どっちの僕が本物か分かりますか?」」
「分からん・・・でも、直感で左」
「不正解です、正解は右でした。」
そう言って、僕は微笑みながら幻覚を引っ込め
話しを続ける。
「幻覚に潜む幻覚というのは、つまり・・・幻覚に隠れた、ニセモノということですかね。
そして、有幻覚に潜む幻覚・・・というのは、実体ある幻だが、実はそれがニセモノということです。
さらに、幻覚に潜む有幻覚・・・コレは、ニセモノの中に実は実体ある幻が隠れているということになります。
結構砕けた表現をしてみましたが・・・分かりましたか?」
「いや、幻術って奥が深いなぁ〜って思った」
「学習する気あるんですか、」
「とりあえずは」
「マジで犯しますよ?」
「じゃあ、分かったかもしれないです先生。」
「(じゃあって)では、まとめを述べてみてください?答えが悪かったら、この場でお仕置き決定ですよ」
(犯すかどうかはさて置いて)とにかく、この短時間で
が何処までこの説明を理解してくれたか僕は彼女を見ていた。
クロームの場合、コレを全て理解するのに数ヶ月という日数を要した。
術士たるもの、理解しないままでは使いこなすには到底無理な話ということだからだ
だが、は術士ではない・・・ただの女の子(最強という部分を除いて)
「ようするに・・・」
「はい。」
「これが霧!!!」
「・・・・・・・・ク」
「?」
「クハハハハハハ!!!・・・、合格・・・合格ですよ」
あまりにも、あっさりとした答えを出したを見て
僕は思わず笑ってしまった
まぁ、どっかの某ラジオで同じようなことを誰かが言っていたが・・・それは置いといて
だけど、どうしよう・・・お腹が痛い、笑い過ぎて。
「クフフフフ・・・、いい答えですね・・・クフフフ・・・あー、お腹が痛いですよ」
「大丈夫か?合格って言ってたけど・・・正解なの?」
「クフフフ・・・あ・・・あー・・・正解ですよ、正解も正解・・・大正解です」
「ホント?」
「えぇ。・・・もしかしたら、は術士の素質があるかもしれません。雷なんかやめて霧属性に変えませんか?」
「ヤダー・・・嵐か雷どっちかで迷ったんだもん。それにボルツを手離せないし」
「残念です。・・・では、基本が出来たようですし、そろそろ本題に入りましょうか。」
「はーい・・・って、いつの間に元に戻ってるし!!!」
「其処は触れない約束ですよ、。」
学校モードから、ようやく通常モードへと辺りが変化する。
もちろん、僕もも元通りの格好に戻る。
ようやく、基本が分かってきたようだ。
これなら、彼女に充分な力を与えられそうだ。
「よーし、やるぞ!!」
「あ、忘れるところでした。・・・幻術を使うにあたって、注意してください」
「何?」
僕は人差し指をの目の前で立てた。
「1つは、有幻覚のことです・・・実体があると言っても、所詮は幻。リアルすぎるゆえ、有幻覚は
実体そのものの力以上は持ち備えていませんから、たとえ貴女が数人、幻で現れようが・・・本物の貴女の
力以上は発揮されませんから、注意してください。」
「分かった。」
「それから、コレが最も重要です。術者との戦闘だけは避けること」
「え?何で?」
僕の言葉には目を見開かせ驚いていた。
「僕が教えるのは基礎中の基礎であって、レベルを上げるのは次第といいましたが・・・貴女は基本術者ではありません。・・・そうでしょ?」
「ぅん」
「僕は昔から、この六道を備えています・・・もちろんクロームも10年前からですがこの能力(スキル)を
一部分だけですが、使いこなせています。・・・だけど、は術者ではない。厳しく言えば他の属性の人間です。
術者でないものが、幻術士と戦闘になってしまったらそれこそ、負けは目に見えてます。」
「・・・骸」
「幻術のレベルを上げるとはいえ、それを敵の幻術で返されたりしたら、それは・・・視覚のコントロール権を
完全に奪われたことを意味し、敵の幻術で死を迎えるということになります。・・・僕の言いたいこと、分かりますよね?」
「・・・・・ぅん」
そう言って、僕はそっとの体を抱きしめた。
数ヶ月前まで、は生死の境を彷徨っていた
自分の不注意だと、目が覚めたときのはそう言っていたが
あの場に居た、僕や・・・彼女の幼馴染の雲雀クンは酷く自分自身を責めた
手を伸ばせば届くはずだったの手が、届かず・・・海へと体が投げ出された
だから、もう、これ以上・・・あんなツライ思いだけはしたくなかった。
「貴女が強くなることには僕は何も言いません。それはの意思ですから・・・だけど、」
「分かってる・・・大丈夫・・・それは守る、絶対に守るよ。」
「お願いですよ・・・絶対に術者とは闘ってはいけませんからね」
「うん。」
の返事を耳に入れ、僕は彼女から体を離した。
「では、次のレッスンへと行きますか?・・・説明と違ってもう実践ですからね・・・」
「うん。よろしく、お願いね・・・骸。」
「はい。」
L/e/s/s/o/n〜幻術を教えまSHOW!〜
(手取り足取り、僕が幻術のイロハを教えてあげましょう)