「ただの過労です・・・少しお休みなられたら、元気になりますので」
「そうですか・・・ありがとうございます。」





あの後、御目付の女を部屋に運んで、コイツの部下に医者を呼ばせ
診察をさせた、まぁただの過労だったからよかったものの
あの場で倒れたりなんかするから、一瞬俺はヒヤッとした。


俺が原因か!?とかバカらしいがそんな事を思ってしまった



とにかくコイツが目を覚ますまで、俺は壁に寄りかかり目を覚ますのをコイツの部下と待っていた。






「・・・・・・ぅっ・・・ん・・・東、麻?」
「あぁ、さん!!!目が覚めましたか!?よかったぁ〜」





すると、どうやらアイツが目を覚ましたらしい
部下の奴は本当に心配そうに、寝ているアイツに駆け寄った






「私、どう・・・」
「ザンザスさんとの練習中に倒れたんですよー・・・いきなり倒れるから皆さんビックリで」
「練習中・・・?・・・あぁ、・・・」
「それで、ザンザスさんがさんを部屋まで連れてきて、お医者さんを呼べって言ってくださったんです」
「え?」








余計なことを口走りやがって

女は、体をゆっくり起こして俺の姿を探すように首を動かし

俺の姿を見つけると、ジッと見つめていた。








「ザンザス、アンタ・・・」

「勘違いするな・・・こんなところで死なれたら困るからな」

「アンタに気を遣わせるとか・・・ゴメン」







何故謝る必要がある?

いや、元々俺が練習に誘ったのが原因だ。

だが何故この女が謝る必要があるのだろうか・・・何一つ、悪い事はないはずなのに








「東麻」
「はい?何ですか?」
「お腹すいた・・・何か食べたい」
「じゃあ、僕厨房に言って食べやすいもの作ってもらうよう頼んできますね!」
「サンキュ」








女のワガママ?で部下の奴は嬉しそうな顔をして
部屋を出て行った。

もちろん、部屋に残ったのは、ベッドにいる御目付役と・・・俺だ。







「ゴメンな、ザンザス・・・お前に手間かけさせて」
「てめぇ・・・さっきから何、俺に謝ってんだ」
「え?」
「おめぇに謝ってもらう理由なんざ、これっぽっちもねぇ・・・なのに、何故俺に謝る?」







理由が知りたい

何故お前は其処までして俺に謝ったりする

どうしてだ・・・この俺様に、・・・








「おめぇは・・・・・悪くない」

「え?」

「元はといえば、俺が悪いんだ・・・お前に、その・・・朝飯もまともに食わせないで、そのまま練習に持ち込んだ。
お前がぶっ倒れる原因を作ったのは俺だ・・・お前は・・・悪くない」

「ザンザス」







俺は壁から体を起こし、ゆっくりと女に近づき
躊躇いがちに、女の頬に触れた。

いきなり倒れたことには本当に驚いた。



が、それと同時に、心臓が一瞬ではあったが止まりそうになった



それがどういうことなのか俺には分からないが


目を覚ました瞬間はホッとした











「心配・・・したの?」

「さぁな・・・俺にもよく、分からねぇ。・・・ただ、このまま死んだら面白くねぇと思った」

「コラ。・・・でもね、それを”心配“って言うんだよ、ザンザス。でもまぁ・・・ありがとう、心配してくれて」

「フンッ・・・二度とヘマすんなよ」

「ならまともに朝ご飯は食べさせてほしいわね。」

「うっ?!」










女の頬ってこんなにもあったかいものなんだな

俺は母親の頬を一度たりとも撫でたことはない

いや、俺も・・・母親から頬を撫でてもらったこともない



だけど、コイツの頬を撫でているだけで・・・何だか落ち着く








「あのさ、」
「あぁ?」
「いつまで人様の頬を撫でてるのよ、私は猫か?」
「うるせぇ、ぶっ倒れた奴がグダグダ文句を言うな」
「ふへ!」
「ブッハハハハ、おもしれぇ顔だな」






俺はそう言って、女の頬を軽く引っ張った
途端、ヘンテコな顔に俺は思わず笑った。








「ふざけっ・・・クソボス!!!」

「威勢が良いのが戻ってきたな・・・それでこそ、俺の見込んだ女だぜ、

「おまっ・・・今私の名前・・・」

「俺は気に入った奴の名前しか覚えないからな・・・おめぇは貴重な仲間入りをしたんだぜ?」

「うわっ、すごい嫌な仲間入りした気分」

「てめぇ、俺様の褒め言葉をありがたく受け取れっての」

「え?凄いイヤです

おい










そう俺が答えると、女・・・いや、は笑い出した。

俺の見ていた、そういつものコイツの笑い顔。












「あ、そういえば・・・医者は何て?」

「あぁ?・・・過労だとよ・・・お前練習続きだったからそうなったんだろ?」

「・・・・・・・・・」

「おい、なんだよ」








俺が医者の言われた事を、そのままに伝えたが
は深く考え込みはじめた。

また何か俺やらかしたか?








「ザンザス」

「んだよ?」

「・・・・・・いや、何でもないわ。ごめん聞き流して」

「おい、考え込んどいて、仕舞いに俺様の名前も呼んでおいて、聞き流せっていうのがおかしいだろ?」

「とにかく聞き流せ・・・何でもないから。」







様子がおかしい

さっきまでの態度が急変した・・・過労がどうしたんだ?
ただ、体が疲れて異常を起こしただけだろ

それなのに、其処まで思いつめることなのか?










「おい、何が理由だ」
「は?」
「吐け・・・じゃなきゃ・・・」
「ちょっ!?・・・きゃっ!!」






俺はが起こしていた体をそのままベッドに再び押し戻した
そして、絶対に逃げないように俺はの上に覆いかぶさる








犯すぞ

ふざけるな

「マジで何隠してやがるこのクソアマ!!!吐け、マジで犯すぞ」

「話したくない事情って言うのがあるんだよ!!!人様の心に土足で入り込むな!!」

「気になるだろ!喋れ!!」

「イヤだ!!」














-----------ガチャッ!







「う゛お゛ぉ゛い、大丈夫・・・っ」
〜・・・王子の俺が」
さん、お見舞いに」
「小娘ちゃん、体の具合は」
、体の調子にはな」







「「
あっ」」


「「「「
あっ」」」」





すると、扉の向こうからカス共が
を心配してやってきやがった。

だが、扉を開けた途端・・・ベッドでの光景に全員は唖然とした表情をする



途端・・・・・・









ザンザスてめぇ病人に
なんてことしてんだ、おらぁあ!!!

「うっせぇな・・・サメ」



スクアーロに胸倉を掴まれ、ものすごい勢いで怒鳴り散らされている。(つか、ツバが飛んで汚ねぇ)

一方、のほうは・・・・・






さん、大丈夫ですか?ボスに何もされてないですか?」
「フラン・・・あ、あぁまぁ。」
「もう、ボスったら小娘ちゃんにも見境無いんだから」
「ま、王子の俺が来たからには安心でしょ?」
「ボスには申し訳ないが・・・さすがにさっきのは俺でも庇いきれない」



ベッドにカス共が集まり、よってたかっての心配をしていた。


なんだ、なんだ俺が悪いのか?






「とにかくてめぇ、ザンザス部屋から出て行け」
「ならお前らも出て行け・・・俺にはこのクソアマに重要な話があるんだ」
「なら今しろ、俺達のいる目の前でしろ」
「聞こえなかったかカスサメ・・・クソアマだけに重要な話があるって言うんだ・・・出て行くならお前らが出て行け」






「あー・・・もう、分かった分かったから!!・・・喋る、喋ればいいんでしょ、ザンザス。スクアーロ手を離してあげて」







すると、ベッドから諦めたような声を出したが俺にそう言った。
スクアーロもの言葉に、俺の胸倉から手を離した。











「医者が過労って判断したのは、確かで。・・・前も、同じようなことで倒れたことがあったの。」

さん・・・それが、あの幻術なんですね」

「そ。・・・実はアレね、幻術を使いながら、1点に私の強い意思を送り込むことによって本物の
私の幻を作り出すことが出来るの。・・・まぁルッスとレヴィの時はそんなことしなかったんだけどね。」

「何それ、私達はその力を使う価値がなかったって事かしら?」

「そうじゃないよ。あんまり頻繁に使いすぎると、私の精神や肉体が破壊される恐れがあるから、使わなかっただけ。」

「なるほど。なら、頷けるな」

「でもさぁ〜・・・ボスと戦ってたとき、アレはどう説明するわけ?」








腑に落ちない。

話の通りなら、1点にの強い意思が混ざっていたら

攻撃を仕掛けてくるのは、1体のの幻だけ・・・だが、あのドームの中に入った瞬間

攻撃を仕掛けてきたのは、全部の幻術・・・つまりニセモノとも本物ともつかない

まさか・・・コイツ・・・・・・







「アレは」

「てめぇの意思を、ニセモノ全部に注ぎ込んでいたって事だろ」

『?!』

「・・・ザンザス、正解。・・・アイツの言うとおり、私の意思を全部幻術1体1体に注ぎ込んで、有幻覚っていう
本物そっくりの幻術にしてたんだけど・・・半端なく精神にも肉体にもダメージが大きすぎたの。それで・・・」

さんが倒れたっていうわけです・・・僕はそれにいち早く気付いたから、完璧に崩さずに済んだんです」

「も、もし・・・の奴があのまま、この術を使い続けてたらどうなってたんだよ!!!」







すると、フランが一度を見て
一瞬躊躇ったが、すぐさま口を開き・・・
























「死に、至ってたかもしれません」

『!?』



「フラン大げさ。・・・ちょっと精神のコントロールができなくなって、肉体的にも1ヶ月は動けない状態になるかも」

「だから、止めたんです僕は。死のうが、そうなったとしても・・・イヤです、そんなさん」

「フラン・・・もう、お前も心配性だな、ホント。」





は笑いながら、顔を伏せるフランの頭を優しく撫でた。






「骸からも・・・止められてたの、使うなって・・・でも、何となくザンザスとは本気で戦ってみたかったから。
少しくらい無茶しても、バチは当たらないと思ってね。・・・ゴメンな、フラン心配したんだよな。」

「当たり前です・・・だから、元気になったら一番に僕の練習相手になってください」

「フラン、王子の俺よりも先に練習相手の予約すんなよ!」

「ちょっと、私だって小娘ちゃんと練習したいのよ!!フラン抜け駆けはダメよ!!」

「俺だって同じだぞ!!何せ雷属性だというからな、は。」

「う゛お゛ぉ゛い!!てめぇら何この俺を差し置いて話してんだぁぁあ!!!」







そう言って、の周り・・・いや、部屋中がやかましくなってきた

俺はため息を零した。ふと、あるものが目に入り、俺はそれを手に取り・・・・・・














さ・・・うわっ、皆さんいらしたんですね。」

「おい、お前」

「は、はい!?・・・何ですか?」

「アイツに渡しておけ・・・いいな、必ず渡せよ」

「えっ、あっ・・・は、はい!」










の部下に、あるものを渡し、俺は部屋を一人去った。




明日は大事な日だ・・・アイツにもしものことがあるのだとしたら


俺は、何があってもアイツを守ってみせる・・・そう、必ず。



























さん」

「東麻どした?」


ようやく、部屋が静まり私は食事を摂って
一息ついてるときだった。


「ザンザスさんから手紙を預かったんですが」
「手紙?」



すると、小さく2枚に折りたたまれた紙切れを東麻から私は受け取り中を開く。

アイツが手紙なんて・・・案外マメだなと、思って・・・





「・・・・・・・プッ」

「どうしました?」

「ん?・・・いいや、何でもない。明日、確かパーティあるんだよな此処で。」

「はい。あ、僕が変わりに会議に出ておきますのでさんはゆっくり休んでてください。」

「あぁ、ありがとう東麻。」






ありがとう、ザンザス

お前の小さな思いやり、凄く嬉しいよ


手紙には・・・そう、こう書いてあった




Ottenga bene presto・・・・scarto






つまり







『早く元気になれ・・・カス』




ってさ。







ボスと御目付役〜その後の2人〜
(少しだけど、アイツとの距離が近づいたような気がした)



inserted by FC2 system

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル