「っと、コレで最後ですさん」
「アイツら、私に何させたいのよ」
過労でぶっ倒れて次の日私は部屋で一人腕を組んでいた。
そして白い細長い箱を運んでくる東麻は行ったり来たりを繰り返している。
ボンゴレ本部で盛大なパーティが催されるということで
ドレスもとりあえず自分でも持ってきたが・・・・・・
自分の部屋に東麻がたくさんの箱を持ってきた。
私は一つ一つ箱を開けて、服を吟味していた。
「皆さんのご好意ですよ、全部は着れませんが・・・一着くらい着てもいいんじゃないんですか?」
「そりゃ着るけどさ・・・勿体無いし。だけど、こんなにいらないわよ」
「ですよね。」
そう、その箱に入っているのは全部ドレスだった。
それも、全部ヴァリアーの奴らが私のために、ドレスを用意したのだった
しかも数着どころじゃない・・・もう数十着と色んなドレスが箱に入っていた。
「もし、コレ持って帰るとしたらダンボール何箱になるかしら?」
「皺になったらダメですからね・・・最低でも10箱にはなると思いますよ」
「それ以上になるわね、私の予想だと。」
「それで・・・どれをお召しになるんですか?早くしないと集まりに遅れますよ」
「分かってるわよ・・・もう、急かすなって」
自分で持ってきたドレスと比べて・・・ヴァリアーの面々が取り揃えた
ドレスのほうがまたなんとも個性が溢れてる。
だから、自分のほうを着るのを止めてドレスを選んでいるのだが
自分好みのドレスが中々見つからない。
そして、東麻が持ってきた最後のドレスの箱を開けた。
「お!」
「どうしましたか?」
「いや、いい!!!コレいいわ。コレ着る・・・ねぇ、このドレス誰が寄越したの?いい趣味してる」
最後のドレスは私好みのホルターネックワンピース・・・色は真紅
白いショールと、ビーズバッグも付いていて・・・私が持ってきたマーメイドドレスよりも可愛い
女の子なら誰でもある、服に一目ぼれということ
こんないい趣味してるのは一体誰だろう?
もしかして9代目かな?と思いながら私は東麻に聞いた。
「あー、最後の開けたんですか?」
「うん。ねぇ、誰このドレス渡したの」
「それさっき受け取ったんですよ・・・・・・・」
「え?」
寄越した人間の名前を聞いて、私は開いた口が塞がらなかった
まさか、という感じだったからだ。
「違げぇよ!!は俺のドレスを着て来るんだよ!!」
「スクアーロ・・・王子の俺が選んだ服をが着てこないわけないだろ?お前の趣味悪すぎなんだよ」
「ちょっと2人とも何言ってるんですか、さんは僕のドレスを着てくるんです」
「ぬぁ〜に、言ってんのよアンタ達!!小娘ちゃんは、女心の分かる私の服を着てくるに決まってるの!!」
「何を言ってる、は俺の選んだ服を着てくるんだ・・・清楚で妖艶にな」
「フン、カスが・・・うっせぇな」
パーティ前の召集
ヴァリアーの面々はが自分達の送ったドレスの事で言い争っていた。
「すいません、遅れました!」
「お待たせ〜」
『(来た!!)・・・・・え?』
そして、ようやくスーツを着た東麻とドレスを身に纏い髪も綺麗に
整えられたがやってきた。
だが、誰もが目を疑った・・・見覚えのない・・・ドレスを着ていたからだ。
「さん、・・・その、ドレス・・・っ」
「あぁ、コレ。うん・・・皆のは嬉しかったけど・・・何ていうかね決れなかった!(正直、気に入ったのが見つからなかった)」
フランの声で、は本音を漏らさず何とかごまかした。
そして、彼女は腕を組んで
「しっかし、いい趣味してるわね・・・ザンザス」
「フン・・・」
「う゛お゛ぉ゛い、何でザンザスなんだよ!!」
「え?だってこのドレス・・・ザンザスが私に寄越したモノだから」
『えっ!?』
の言葉に誰もがザンザスの顔を見た
だが、当のザンザスは相変わらずの仏頂面をしていた。
「驚きよ・・・まさかザンザスがこんなドレス寄越すなんてさ。あんたいい趣味してるわね」
「うっせぇ、ドカス・・・てめぇに言われなくても俺様は元々感性がいいんだよ・・・其処のカス達とはワケが違う」
「照れるなよ、クソボス。正直に言いなさい、私に着てもらって嬉しいくせに」
「過労でぶっ倒れた奴がはしゃぐな。ったく、てめぇの面倒見るこっちの身にもなってみろ」
「もう倒れませんよーだ。ねぇ、それより今日の予定はどうなってるの?」
「それは、僕からご説明します」
ようやく本題に入り、全員の顔が真剣になる。
東麻が先日、会議で受け取ってきた書類を読み上げる。
「本日・・・午後8時より大広間にて、パーティが行われます。警護の方は部下含め各所定の場所に配置してください。
ヴァリアーの皆さんは外のほうで警護をよろしくお願いします。さんとザンザスさん、そして僕は大広間で9代目の護衛をします。」
「え?何、ザンザスも大広間に居るの?」
「外はカスどもの役目だ・・・俺はお前の面倒でも見てやる」
「ムッカつく言葉だこと・・・いっそ外に出なさいよ。あ、歳だから動きたくないんだね」
「かっ消すぞ、クソアマ」
「喰い潰すぞ、クソボス」
「パーティ前に暴れないで下さいよ、2人とも。とにかく、皆さん・・・今日は何かとお忙しくなるかもしれませんが
よろしくお願いします・・・以上コレで召集を終わります。では各所定の場所に行って下さい。」
東麻が説明を終えると、空気が一気に冷たいものから
暖かい空気へと変わる。
は背伸びをして、とりあえず今居る場所から、大広間へと移動をする。
「さん」
「ん?・・・あぁ、フランどうした?」
すると、フランがを呼び止めた。
足を止めて、フランのほうに振り返る。
「コレ・・・付けてください。」
「?・・・何コレ?」
「通信機です」
フランはピンマイクをに渡した。
「え?でも・・・私貰ったよ通信機」
「コッチはヴァリアーのメンバーと連絡が取れる通信機です。付けなくてもいいですから持っててください。」
「フランは?」
「僕は持ってます。・・・予備を貰ったんです、何かあったらこれで連絡してください・・・すぐに駆けつけますから」
「フラン・・・お前は優しい子だね、ありがとう」
そう言っては貰ったピンマイクを手で優しく握り締めたまま
背伸びをして、フランの頭・・・ファンタズマ越しに撫でた。
「やめてください、僕子供じゃないですから」
「私からしてみればお前は子供だよ・・・ありがとう、何かあったらすぐ連絡するから」
「はい。・・・じゃあ、僕行きます」
「うん、気をつけてね。」
フランの背中を見送り、バッグにピンマイクを入れ
も大広間へと足を進める。
「おい」
「ん?今度はザンザスか・・・何よ」
歩いていると、その横をザンザスが歩いてきた。
はチラッと彼のほうを見て、すぐさま目線を正面へと戻した。
「武器はどうした?」
「ご安心ください・・・このバックの中に小さく折りたたんで入れたので。ボックスもそれなりに準備してますから」
「フン・・・ならいい。」
「何、マジで心配してるの?昨日みたいな事が起こるんじゃないかって」
「・・・・・・・・」
ザンザスの思いがけない気遣いで、は思わず小さな笑みを浮かべた
「大丈夫よ・・・昨日みたいな事にはならないよう、霧のボックスは入れてないから」
「そういう事を言ってるんじゃねぇ」
「え?」
「体の心配してるんだ・・・」
「ザンザス」
途端、自分の名前を呼ばれた。
さっきは『カス』だの何だのと言っていたのに、突然名前を呼ばれは驚いた。
「ボックスを入れた入れてないの問題を言ってるんじゃなねぇ・・・お前の体を心配してるんだよ」
「過労だよ・・・1日休めば何とかなる」
「聞いたぞ・・・お前以前・・・・瀕死状態になったらしいな」
「はぁ〜・・・東麻ね、喋ったの。別にアレはアレ。コレはコレなんだから・・・過労と瀕死状態を一緒にしてほしくないなぁ」
「同じだ。・・・バカが」
「ちょっ!?」
すると、突然ザンザスは誰も居ない廊下でを抱きしめた
あまりの事では慌てる
「ちょっ、ザンザス何考えて」
「いいか・・・無理はすんな」
「え?」
「お前は何が何でも、俺が守る・・・それだけだ。」
そう言って、ザンザスはの体を離し
一人大広間へと向かっていった。
は突然の事で何が何だか分からなかったが
ただ、自分が鮮明に覚えているのは・・・・・・
「(痛かった・・・でも・・・震えてた、ザンザスの腕)」
痛みと震え
きっと震えを悟られないように
それを隠すように、彼は自分をキツク抱きしめた。
「(あぁ・・・また、誰かに私迷惑かけちゃってる・・・ダメだな、ホント)」
安心させるつもりで身に付けた強さなのに
逆にそれが相手にとって不安をかきたててしまう要素になっていた
幼馴染である雲雀も、お守りの指輪を渡した骸も、心配して通信機を渡したフランも
そして・・・・・・キツク抱きしめてくれたザンザスも
「(あぁ・・・私の強さって何処にあるんだろうなぁ〜・・・情けないな、ホント)」
苦笑を零しつつ、は一人廊下を歩き
パーティ会場である大広間へと向かうのだった。
いざ行かん!華やぐ舞踏会へ
(大丈夫、私はどんな時でも強く居れる自信はあるから)