「哲さん、いいの?」
「はい。恭さんがお会いしたいと言っていましたし」
「そうなんだぁ」
とある日、恭さんが
『哲、彼女を連れてきてよ・・・仕事が捗らない』
一体どんな理由付けなんだろうか?
彼女を連れてくれば、仕事が果たして捗るのかどうかは
かなり謎だとは思うのだが
まぁ、昔からの恭さんのあの性格だし・・・逆らったりなんかしたらそれこそ
あの人の怒りに触れてしまうのと同じだから、此処は大人しく彼女を
財団のボス室まで連れてきた。
------コンコン!
『誰?』
「恭さん・・・哲矢です。お連れしました」
『入っていいよ』
ドアをノックし、中に居る恭さんから入ってもよいという承諾を得る。
そして、私はドアのノブを捻り、扉を開ける。
「恭ちゃん!!」
「やぁ、よく来たね」
彼女は私の手を離れ、すぐさま恭さんの元へと走り
抱きつき、恭さんはそんな彼女を抱き上げた。
恭さんがこんな優しい表情を見せた事があるだろうか。
多分あのヒバードと接して・・・他には見せた事のない表情だろう。
「ありがとう、哲」
「いえ、では失礼します」
「哲さん、バイバーイ」
「はい」
そう言って、私は部屋から出て、扉を閉めた。
が、ものの1分も経たず・・・・・・。
『きょ、恭ちゃん・・・っ、だ、ダメだってばぁ〜!』
『いいでしょ、別に。それにもう誰も来ないよ』
『ぃやぁ・・・あっ、あぁん!』
『フフフ・・・可愛い、ソソられるよ・・・ねぇ、もっと苛めてもいいよね』
『あっ!・・・や、やぁあん、苛めちゃ・・・苛めちゃ、いやぁん!!』
『そう言われると、もっと苛めたくなるんだけど』
ちょっ!?!?
きょ、恭さん・・・一応此処仕事場ですけど!!!!!
仕事場で、ボスの貴方がそんなことをしちゃ・・・部下達に示しつかないですけど!?!?
なんて、私の(心の)声が届くわけでもなく
何の為に彼女を連れてきたのか、ようやく理解した今日この頃だった。
こんな所で発情するな
(いや、無理でしょ?彼女見た瞬間抑えろっていうのが無理)