「はぁ・・・はぁ・・・」
「大丈夫?」
「きょ、・・・恭ちゃん・・・熱いよ・・・っ」
「熱、また上がったみたいだね」
気候の変化が激しすぎて、彼女は熱で倒れてしまった。
僕はずっと彼女の側で看病を続けた。
「熱ぃ・・・はぁ・・・はぁ・・・熱いよ、恭ちゃん・・・っ」
「ご飯も食べたし、薬も飲ませた。・・・でも熱は上がる一方だね、解熱剤飲める?」
「ぅ・・・ふぅ・・・うぅ・・・」
話しかけるが、意識が朦朧として
答えるのも多分苦しいほど熱は上がってしまっているのだろう
僕は近くに置いていた薬袋から
解熱剤を取り出した。
だが、錠剤ならまだしも・・・散剤・・・飲ませにくい。
今無駄に動かしてしまえば、確実にまた熱は上がるだけ。
「・・・少しの間だけ、我慢してね」
「きょぉ、ちゃ・・・」
僕は解熱剤を口に含み、続けるように水を口に。
そして、そのまま彼女の唇に自らの唇を重ねた。
「んっ・・・ん、んっ・・・んぅ・・・」
ゆっくり、ゆっくりと薬の混ざった水が
彼女の喉を通っていく。
ようやく飲み終えると、彼女は落ち着いた寝息を立て
そのまま深く眠りついた。
僕は食べたものなどを片付けるべく
台所に立ち、食器を洗う。
ふと、濡れた手で、唇に触れた
「(・・・・・熱い・・・・・)」
柔らかい、小さな唇。
触れた瞬間、何とも言えない熱を帯び
離れた瞬間、何故か名残惜しく思えた。
胸のナカで、あぁ、熱い想いがたぎる
もう一度、自らの唇に触れて
彼女の熱で移ってきた余韻に僕は浸っていた。
あぁ、ずっと、このまま・・・冷めないでほしいと。
微熱が僕にも移ってくる
(まだ、幼い君を僕で縛り付けるほんの少し前の話)