「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ご、ごめんなさい」
を抱きかかえ、庵に戻ってきた。
戻ってきたら、哲が慌てた表情で迎えた。
そして、僕の部屋で、と向かい合わせ正座をしている
もちろん向かい合わせのも正座で申し訳なさそうな顔をしている
とりあえず、草食動物たちにバレないように
僕はを庵に置いていた。
それだというのに、さっき・・・
「僕、この前言ったよね・・・此処から出ちゃダメだって」
「だっ・・・だって・・・」
「だってじゃないよ・・・僕を怒らせないでくれる?」
「きょ、恭ちゃん・・・っ」
勝手に出て、挙句面倒な説明までさせて
はぁ、これじゃあ・・・まだ25歳のの方・・・あの傲慢なワガママを聞いてたほうがいい。
「恭さん、あの・・・さんも反省してる事だし・・・この辺で」
「哲・・・元はといえばお前が目を離すのがいけないんだろ?」
「え?」
これ以上を叱りつけても、罪悪感にさいなまれるだけ
僕は怒りの矛先を、とりあえずから哲へと向けた。
というか、一番僕を怒らせる原因を作ったのは哲だ
「僕はから目を離すなって言ったはずだよ。・・・何で目を離すの?」
「いや、あの・・・トイレに行ってる間に・・・」
「だからって、ちゃんと見ときなよ・・・アジトに入り込まれて、皆驚いてるんだから」
「す、すいません」
「アジトに入ったりなんかしたら、それこそは何処かの変態の手に落ちるんだから」
「へ?」
「へっくしゅん!」
「うわっ、珍しい・・・骸がくしゃみした」
「ホント、珍しいことでもあるもんだな・・・お前がくしゃみするなんて」
「生理的現象ですよ、それほど驚く事じゃないでしょう。」
「いやいや、珍しいから。お前からそのくしゃみの声を聞くこと自体」
「誰か僕のウワサをしてるんでしょう・・・誰もが羨む美貌をしてますからね・・・クフフフフ」
「(あー、無視無視)」
「(構った俺達がバカでしたね、10代目)」
「(だよね)」
「其処、何かツッコミくらい入れてくださいよ」
「とにかく、哲・・・・もしまた目を離して向こうのアジトにが入り込んだらどうなるか分かってるよね」
そう言って、僕は鋭い目線で哲を睨みつけた。
その目線を見て、哲はおびえながら・・・・・・
「は・・・は・・・」
「違うの、恭ちゃん!!哲さんは、哲さんは悪くないの!!怒らないであげて!!」
「」
哲の返事を掻き消すように、が僕に抱きついて
咎める事を止める様、僕に言ってきた。
「哲さん・・・悪くないの・・・あたしが・・・悪いの・・・っ・・・哲さんに黙って・・・恭ちゃんとの約束破って・・・っ」
「さん。」
「・・・・・・・・・」
薄っすらと目から涙が溢れていた。
今にも泣きそうな声で、は僕に訴える。
「哲さん怒らないであげて・・・哲さん、悪くないの。・・・全部、全部あたしが・・・いけないからっ・・・」
あー・・・何か僕が悪者のように聞こえるじゃないか
確かに黙って此処を抜け出したが一番悪い
そして、から一瞬目を離した哲も悪い。
どちらにも否があるのに・・・その否を一人で背負い込もうとしていた。
責めているこっちが何だか悪者のように思えてくる。
「はぁ。・・・哲、ちょっと席外して・・・と2人っきりで話すから」
「あ、は・・・はい」
とにかく哲に席を外して、と2人で話そう。
そう言って哲は外に出て、障子の前で座り込もうとした・・・
「外に居なくて良いよ・・・この庵から出て行ってくれる」
「は・・・はぃ」
僕の声色で”まだ怒っている“と悟ったのか
哲は障子を閉め、木の廊下を歩いて、庵から出て行った。
部屋に残ったのは、僕と・・・・僕に抱きついた
「・・・いつまで抱きついてるの?」
「だって・・・だって・・・恭ちゃん・・・哲さん、怒ろうとしてるから・・・っ」
「もう哲は居ないよ・・・とにかく離れて」
「イヤ!・・・だってそうしたら恭ちゃん、哲さん怒るから!」
外に放り出した人間をわざわざ怒りになんか行かないのに
ていうかそんなことするくらいだったら、とっくの昔に咬み殺してる
「行かない・・・哲を怒りには行かないから・・・」
「ホ、ント?」
そう言って、は泣きそうな顔で僕に問いかけてきた。
僕はため息を零して・・・・・・
「ホントだよ。・・・僕はと2人っきりで話がしたかったから、哲には違う所に行ってもらった」
「あ、あたしと?2人で?」
「そうだよ。僕はと話しがしたかったの。よく聞いて」
「ぅ、ぅん」
は立ったまま僕の顔を見つめる
僕は座ったまま、を見上げるように、腕を掴んで逃がさないようにした。
きょとんとした、無垢な表情が愛しくてたまらない
「あのね・・・此処が一番安全だから、出てほしくない。外は危険がたくさんあるからね。」
「ぅん」
「危ない人とかに、さっき会わなかった?」
「ぅぅん・・・会ってない」
「そう。・・・あっちのお部屋はね、危ない人とか居るから、あんまり此処から出ないでほしくないんだ。」
「恭ちゃん」
「君が心配だから、怒ったんだ。遊び半分であっちのお部屋に入ったら、危ないから・・・をそんな危険な場所には行かせたくないんだ」
幼いから、なんとか理解できる言葉で僕はに伝えた。
別に草食動物のアジトに入り込んで遊んでもいいが・・・如何せん・・・あのパイナップルが居るから
さすがに、幼くなったから手は出さないと思うが・・・至らない事をに教え込みそうだからイヤだ。
僕はそっと、の体を抱きしめた。
「恭、ちゃん?」
「君が心配なんだ。もしものことがあったりなんかしたら・・・僕は嫌だよ。」
「ごめんなさい、恭ちゃん・・・もう、約束・・・破ったりしないから・・・」
まるで、子猫が甘えるようには泣きそうな顔で僕に謝ってきた
あぁ、そんな顔しないで・・・もう、もう抑えきれない・・・
君を愛してあげたい気持ちで・・・心の器が溢れてしまいそうだ・・・
いや、もう・・・限界・・・容量オーバー・・・。
「」
「えっ・・・んぅ?!」
心の器から君を愛してあげたいという気持ちが溢れ出し
理性が使い物にならなくなった
ここ数日・・・どれほど、の柔らかい唇と自らの唇を重ねたいと願った事か・・・。
幼いから、可愛さに拍車がかかり・・・理性が1本、また1本と千切れていった
「んっ・・・んー・・・んンっ!!」
息苦しいのか、は僕の肩を叩いてきた。
そうだ・・・これはまだ何も知らない無垢な
キスの最中、息継ぎの仕方も知らない・・・幼い子供
僕はゆっくりと、の唇から自らの唇を離した
苦しかったのか目から薄っすら涙が浮かんだ
「はあ!・・・はぁ・・・はぁ・・・きょ、恭ちゃん・・・っ苦しい」
「ゴメン。・・・、鼻で息をするんだよ・・・苦しくなったら鼻で息をするんだ」
「鼻で?で、できないよ・・・そんなの!」
「次第に出来るようになるよ・・・ねぇ、・・・僕とイイことしようか」
「イイ、こと?・・・何するの?」
きょとんとした表情で、僕を見つめる
大きな目が僕を見つめる・・・あぁ、その顔もすごく愛しい・・・愛してあげたいな
愛して・・・愛して・・・メチャクチャに、愛してあげたい
そう、君が壊れるほど
「イイことは、イイこと。・・・僕はしたいんだけど・・・ダメ?」
「ダメ、じゃないよ。・・・恭ちゃんがしたいなら、しよ。」
理解してないでしょ?
なんて言えないよね・・・だって、今から僕は本当に君にイイことするんだよ
そう、君の体が感じる・・・・・・気 持 ち イ イ こ と
「僕が手取り足取り、分からないこと教えてあげるね」
「恭ちゃん」
「・・・・・・愛してるよ」
そう言って、僕は幼い彼女に【イイこと】という綺麗ごとを並べた【イケナイこと】を始めるのだった
心の器が溢れ出たら・・・
(イイこと・・・それはイケナイことの始まり)