「いい加減、から退きなよ・・・くそパイナップル」
「おやおや、雲雀クンはご立腹のようですね。・・・カルシウム不足ですか?」
「誰がそういうことさせてると思ってるの」
僕の怒りはもう既にMAXだ。
扉を開けた途端、待っていた光景は史上最悪なものだったからだ
六道のヤツは、やれやれと言わんばかりに
ソファーから体を起こした。そして、寝転がっていたもゆっくり起き上がる。
「」
「・・・恭、ちゃん・・・」
「帰るよ、おいで」
「ゃ・・・やだっ」
「は?」
今、何て言った?
が・・・僕に口答えしてきた。
僕はすぐさま六道を睨みつける
「何したの?」
「何がですか?」
「に何吹き込んだのって聞いてるんだけど」
「僕は別に何も。がイヤだと言ってる理由は僕にも分かりませんよ」
「そう・・・そんなに、君咬み殺されたいんだね」
そう呟き、僕はトンファのボックスを開け、構えた。
トンファには紫色の死ぬ気の炎が纏われている。
「何吹き込んだか理由を教えないと・・・咬み殺す」
「だから、僕は知らないと言ってるでしょう。それに、も居るんです戦闘はなるべくなら避けたいのですが」
「元はと言えば、君のフクロウとそれをちゃんと管理に出来ない君も悪いよ・・・連帯責任だ。」
「はぁ、どうして君はそう何でもかんでも結び付けようとするんですかね。ご両親のお顔を拝見したいくらいですよ」
「僕は君の両親の顔が見てみたいよ・・・何で変態に育ったんだろうね」
「これは生まれつきです」
「ようするに遺伝でしょ」
「「・・・・・・」」
「むっくん・・・ダメだよ・・・」
「」
「!!」
しばらく睨みあいをしていると、突然が
六道のジャケットの裾を引っ張り、否定を促す。
あまりに突然の事で、僕は驚いた。
どうして・・・どうして・・・・・・
何で、僕じゃないの?・・・何で、六道なの・・・?
「そうですね・・・ダメですね、すいません」
「うぅん・・・ケンカはダメだよ」
「はい。」
は優しく六道に微笑みかけた
ヤダよ・・・ヤダよ・・・何でそんな顔・・・他の誰かに見せたりするわけ?
だって、の全部知ってていいのは・・・この僕だけだよ・・・!
「!」
「っ!?」
僕がの名前を呼ぶと、彼女は
肩をビクッと動かし、僕を見た。
しかもその表情は・・・怯えている。
だが、今の僕にはお構いなし。
「おいで」
「・・・・・・」
「おいで!」
「ぃ・・・ぃや・・・」
「何で言う事気けないの!」
「っ!?」
僕が大声を出すと、は今にも泣きそうな顔になる。
あー・・・何でこんなにイライラするんだろう
「ちょっ・・・雲雀クン、泣きそうな顔してるじゃないですか。そんな風に言わなくても」
「うるさい、引っ込んでなよパイナップル。これは僕との問題なんだから」
「だからって、が泣きそうなのにそれ以上怒気を強めてどうするんですか」
「君には関係ないよ・・・、帰るよおいで」
「ぃや・・・いゃ・・・っ!」
「!」
「いや!・・・っ・・・ふ・・・ふぁぁあ〜ん!!」
遂には泣き出してしまった
「あぁ、もう。・・・ホラ、大丈夫ですよ僕が居ますよ」
すると、六道のヤツが泣くを抱き上げ
まるで赤ん坊をあやす様に背中を撫でる。
その光景を見た瞬間、僕の胸が軋んだ
今まで、・・・それは僕がやっていた事なのに・・・・・
泣いているを・・・一番近くで・・・宥めていたのに
「・・・・・っ」
差し伸べようとする手に・・・・・・腕に・・・・・・が居ない・・・・・
僕は、そうか・・・結局、は必要としてくれなかったんだ
あれだけ愛しても、あれだけ慈しんでも
君には僕の愛が大きすぎたんだね
「もういいよ」
「ぇ?」
「雲雀クン?」
「六道・・・・・君に・・・任せるよ、僕はもういいよ・・・疲れた」
「ちょっと、いきなりですね。いいんですか?僕としては万々歳な事なんですよ・・・幼少のを手元に置くという事が」
「好きにすれば・・・じゃあ、僕調べることあるから。・・・じゃあね、」
「恭、ちゃん・・・」
これでいいんだよね
これ以上、僕の愛で、を縛り付けてしまえば
きっとは、耐え切れずに死んでしまう
大人のなら耐えれるからいい、だけど幼少のに、抵抗力も耐える力もない
僕に抵抗する事が出来ないのであれば
引き離せば・・・きっと、は・・・大丈夫。
「きょ、・・・ちゃ」
「、どうしました?」
「恭ちゃんっ!」
「あ、・・・今はっ」
「恭ちゃん!!」
「」
すると、突然が六道の腕を降りて
僕の足元に抱きついた。
しかも、しっかりと・・・それこそ、動かないように。
「恭ちゃん・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいっ」
「今更謝らないでよ。」
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・っ・・・恭ちゃん、ごめんなさい」
「・・・・・・」
ひたすら、は僕に謝り続けた
まだ、僕が怒っていると思っているのか、それとも・・・・・・
「恭ちゃんが居なくなったら・・・あたし・・・ヤダ・・・やだぁ」
「」
「あたし、ただ・・・むっくんのフクロウさんを追いかけてきただけなの。むっくんは何も悪くないの」
「・・・・・・」
「でも・・・恭ちゃんの怒った顔見たら・・・怖くなって・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい、恭ちゃん・・・だから、だからっ!」
「」
「ぁ」
また、泣きそうな彼女の頬に僕は膝を曲げ、目線を落とし、そっと触れた
でも、今のの顔は僕を恐れていない・・・僕、ちゃんとに微笑めてる?
「ごめんね、僕も悪かった」
「恭、ちゃん・・・恭ちゃん!!」
「うん、うん、ゴメンね・・・怒ってごめんね」
そう言っては僕に抱きついてきた
僕はそんなの頭を撫で、抱き上げる。
「仲直りですか?もう少しだったんですけどね」
「うるさいよ、パイナップル。は絶対に君に渡さないよ」
「おやおや。まぁ、良いとしましょう」
「むっくん、ゴメンね」
「いいんですよ、・・・あ、・・・さっき教えた”アレ“雲雀クンにしてあげたらどうですか?」
「え!?・・・や・・・ぁ、あの・・・ぁれはっ・・・」
”アレ“?
何の話だ?
「、何の話?」
「きょ、恭ちゃんは知らなくていい!!」
「気になるんだけど」
「知らなくていいの!!」
そう言われると、尚気になるんだけど
まぁあんまり問い詰めても、喋りそうにないし
気にしなくても、多分いいことだね・・・うん、そういう風にしておこう。
「では、」
「むっくんバイバイ!またあそ」
「もうあのパイナップルと遊んじゃダメだよ」
「(チッ、言葉を見事に遮られましたね)では、失礼します」
そう言って六道は踵を返し、去っていった。
僕はを抱きかかえ、庵に戻る。
「フフフ」
「どうしたの、?」
すると、僕の肩に頭を置いて
柔らかい微笑みを零したに問いかけた。
「やっぱり、恭ちゃんの肩が一番居心地がいいなぁ〜って」
「へぇ」
「むっくんにも抱っこしてもらったけど・・・やっぱり恭ちゃんがいい」
「(アイツ、後で咬み殺す)それは、だって僕が一番を抱きしめたりする事が多いからね当たり前でしょ。」
「だよねー」
まるで大きなネコでも抱きかかえているのかと思うが
いつもどおりの僕らに戻ったからいいや
「あ、ねぇ・・・」
「ん、なぁに恭ちゃん?」
「僕、仲直りがしたいな」
「ぇ」
「仲直り・・・僕の言ってること、分かるよね」
「・・・恭、ちゃん」
もう、理解してるよね
僕がこう言うって事は・・・何をするかも。
「ぁたしも・・・恭ちゃんと、仲直り・・・し、たい」
「そう。・・・じゃあ、行こうか」
「ぅん」
そう言ってゆっくり、僕は
腕に彼女の温もりを確かめるように、庵に向かって歩くのだった
一大決心!愛育決別のはずが・・・・・
(離れようとしても結局、僕たちは離れる事なんて出来なかった)