「・・・・・・」
目が覚めた。
僕は首だけを動かして、時計を探す
壁に掛かった時計を見ると、夜の10時。
うわ、こんなに寝てたんだ・・・僕。
そして、ちょっと目線を落とすと・・・・・
正しい寝息を立て、眠りについている。
そっか、仲直りなんていう言葉に託(かこ)けて
何度も、何度もを抱いたんだっけ・・・?
覚えてないや・・・。
でも、可愛かったから僕の歯止めも利かなくなる。
それは毎度の事で・・・・・。
「(もういいや・・・考えるのやめよ)」
最終的な結論は考えるのを諦める
いや、やめるんだ・・・だって疲れたから。
僕は、の小さな体を自分の元に更に抱き寄せ
腕に少し力を入れ、抱きしめた。
「(可愛いし・・・・・・あったかい・・・)」
の髪から香ってくる甘いシャンプーの匂い
鼻を掠めるその匂いは、僕をまた優しく眠りへと誘いそうだ。
「・・・んっ・・・ぅ・・・」
すると、から篭ったような声が聞こえてきた。
僕は閉じそうになった目を開ける。
「?」
「恭、ちゃん・・・」
「起きた?」
「ぅん・・・ぉはよー」
まだ眠そうな声で、は僕の声に答えた。
「まだ朝じゃないけど」
「ふぇ?・・・何時なの?」
「夜の10時・・・結構寝てたね、僕達」
「恭ちゃん、お腹すいた」
「そりゃね、アレだけ可愛く啼いちゃえばお腹もすくよね、」
「っ!!」
僕はワザとそういう風に言うと
は顔から耳にかけて真っ赤に染まる。
僕は思わずクスリと笑みを浮かべ、抱きしめる。
「ち、違うもん!」
「何が違うの、・・・僕疲れてるのに、”もっと、もっと“ってせがんでたのは何処の誰かな?」
「む、ぅうぅうう〜〜」
「嘘ついちゃだめだよ、。・・・お仕置きされたいの?」
「ゃだ」
「なら、嘘つかない。・・・いいね、」
「はーぃ」
なんともいい感じの後戯なんだろうか。
の頭が僕の腕に乗っかっていて、上手く動かせないけど
別にいいや、だし。
が、ふと・・・僕は思った。
「」
「なぁーに、恭ちゃん」
「アレ何処で覚えてきたの?」
「アレ?・・・アレって何?」
コラコラ、自分のした事を覚えてないとか
しかも無自覚の声だねそれ・・・。
僕はため息を零して、言葉を続けた。
「アレだよ・・・君が僕の」
「・・・・・・・・ぁ」
「思い出した?」
「はぃ、思い出しました」
言葉を続ける前に、が思い出し
顔を真っ赤にして、頷いた。
10歳の子供が知るものじゃない・・・そう口淫行為、所謂フェラってヤツ
記憶が完璧に逆戻りしているが
そんなのを知ってるはずがない・・・じゃあ一体何処で?という
疑問に僕は駆られ、に問いかける。
「何処で覚えてきたの、あんなの?」
「えーっとね、・・・言っていいのかな?」
「何?そんなに喋りづらい事?」
「ぁのね・・・むっくんが、教えてくれた」
「は?」
のいうむっくん・・・つまり、あの変態パイナップル六道骸のこと。
あの男が・・・に・・・へぇ・・・
「どんな風に教えてくれたのかい、あの男は?」
「えーっとね・・・」
『雲雀クンが喜ぶ方法ですか?・・・ふむ、そうですね』
『何かある?』
『あぁ、いいのがあります。』
『何なに?教えてむっくん!!』
『雲雀クンのバキューンを舐めてあげればいいんですよ』
『え?・・・えぇ?』
『雲雀クン喜びますよ。』
『で、でもっ・・・恭ちゃんの・・・舐めるって・・・どうやって・・・(というか恥ずかしいよ)』
『大丈夫です。ホラ、アイスの棒を舐めるみたいにすればいいんですよ、』
『アイスの、棒を?・・・それでいいの?それで恭ちゃん喜んでくれる?』
『えぇ、それはもう凄く悦びますね・・・クフフフフ』
「って言ってた」
あのパイナップルは・・・
しかも、最後の漢字絶対違うし。
(ていうか、相談する相手間違えてるよ)
幼いにあんな事を教えるなんて、やっぱり咬み殺してきた方がいいね
の育成に悪影響を与えるなアイツは。
「恭ちゃん」
「ん、どうしたの、」
すると、が急に僕のほうに体を向く
上目遣いの視線が可愛くてたまらない・・・じゃなくて。
あまりに突然の事で僕は目線を落とす。
「イヤ、だった・・・アレ」
「え?・・・あ、・・・えーっと・・・そういうわけじゃないけど・・・」
むしろ、全然いい・・・じゃなくて!
「イヤだったわけじゃないけど・・・もうあんな事しないでね」
「やっぱり、イヤだったの?」
「違うよ・・・があんな事すると、」
僕が・・・暴走しかねない・・・ただ、それだけ。
「恭ちゃん?」
「とにかく、もうしちゃダメだよ。いいね、・・・別にイヤとかそういうのじゃないからね」
「恭ちゃんが言うなら・・・分かった。」
そう言って、は笑みを浮かべ僕の体に抱きついた。
僕はそんなをそっと抱きしめた。
「恭ちゃん、お腹すいた」
「そうだね、僕もお腹すいたよ」
「ご飯食べたい」
「じゃあ、食べようか・・・さぁ、起きよう。軽く何か作ってあげる」
「うん!」
「ツーナー君!」
「あ、さんだ」
「お、チビ登場」
「ちっせぇな、お前」
ある日のこと、ツナ、山本、獄寺の三人が廊下で
立ち話をしている最中、がツナに声をかけてきた。
身長が低くなったの目線にあわせるように
ツナは膝を落とす。
「アレ?さん、今日は出てきていいんですか?」
「うん、恭ちゃんも哲さんもお出かけしてるから・・・恭ちゃんが今なら向こう行ってもいいよって」
「そうですか、よかったですね。」
「うん!・・・あ、はやとー、たけしー・・・どっちか抱っこしてー」
すると、は獄寺と山本に
雲雀がいつもしているように抱っこして欲しいとせがんできた
「はぁ?」
「お、いいぞ・・・よし来い」
「わーい!!たけしの抱っこー」
獄寺は呆れ、山本は楽しげに、を抱き上げる。
「うーん」
「どうした?」
すると、突然が難しげに声をあげる
そんな彼女の声に気付いたのか山本は疑問の声を出す。
「やっぱり」
「おう」
「恭ちゃんが一番いい!」
「え?」
「さん、」
「うわっ、山本に抱っこされときながらお前生意気だぞ!」
「抱っこしてくれないはやとに言われたくない・・・ベー!」
「こんの・・・!!、お前ガキになってますます生意気になったな」
「ハハハハ、やっぱり雲雀には敵わないぜ、雲雀がいいんだなお前は」
「うん。でもたけしの抱っこも好きー」
「そうか、ありがとうよ。」
「じゃあ、僕の抱っこは好きじゃなかったんですか」
「うぉおぉお?!?!」
「骸、いつの間に」
「先ほどから此処に居ましたけど」
神出鬼没の名に相応しい、骸が何処からともなく現れた
「あー、むっくんだ」
「はい、むっくんですよ、」
「(アイツ頭大丈夫ですかね?)」
「(いや、元々おかしいだろアイツの頭)」
「(読めないよな、アイツ)」
「其処、地獄界に送って差し上げましょうか?」
『いえ、結構です』
そう言って、三人を黙らせ
いつの間にか、山本の腕からを奪い
骸は自分の腕に抱き上げていた。
「あ、いつの間に」
「アイツホント何事に対しても手が早いですよね」
「怖いよな、ある意味。」
「ねぇ、むっくん」
「はい、何ですか?」
「恭ちゃんが怒ってたよ」
「おやおや、どういった理由でしょうかね?」
「知らない・・・けど怒ってた。」
「クフフフ・・・まったく短気ですね、雲雀クンは」
「誰が短気だって?」
「あ、雲雀さん」
「恭ちゃんだー」
すると、骸の背後にどす黒いオーラを
垂れ流し、彼を睨みつける雲雀が現れた。
「離しなよ、クソパイナップル・・・ていうか、返せ」
「おやおや、お迎えですか?似合わない事するんですね、雲雀クン」
「話聞いてないの?を返せって言ってるんだけど・・・クソナッポー」
「怒りっぽいですねぇ、カルシウム不足ですか?・・・クフフフ」
「咬み殺すよ」
「まったく・・・の保護者は短気な性格だから困り者ですね。」
骸はやれやれと言わんばかりに
を雲雀に返した。
すると、が雲雀の腕に戻った瞬間
まるでネコが主人に擦り寄るように
首に自らの腕を絡ませ、甘える。
「きょーちゃん・・・恭ちゃんがやっぱりいい〜」
「はいはい。じゃあ、帰るね」
そう言って雲雀は踵を返し、を抱き上げたまま
ボンゴレアジトに繋がる、庵に戻るのだった。
「チッ・・・羨ましいもんですね・・・やっぱり雲雀クンが邪魔だ」
「骸、お前・・・あの年齢のさんに手出したらマジで復讐者に送り返すぞ」
「とにかく、それは犯罪だしな」
「だよな」
じゃあ、雲雀はどうなるって話ですよね?
そんな深い事情を知らない3人といまだ幼いを狙っている1人なのだった
「頼む!雲雀・・・人手が足りんのだ!」
「だからって、何でわざわざ僕に頼むの・・・僕は忙しいんだ」
現在、僕は
笹川了平と言い争いをしていた
原因は、任務の人手が足りないという事で
彼が僕にそれを頼み込んできた。
「お前も忙しいのは分かる・・・だが、どうしてもお前じゃなきゃいかんと沢田が言っていた」
「はぁ・・・彼も彼だ。僕が忙しい事分かっててそういうこと言うからね。まったくこれだから群れるのは嫌いだよ」
「雲雀、頼む!!俺もすぐに加勢に回る・・・だから、お願いだ」
「お断りだよ・・・・他をあたるか、それか草食動物に直接言うんだね」
第一、僕が今此処を離れるわけにはいかないんだ。
笹川の言う任務は、国外での任務の事を差している
つまり、日本を出る・・・そして、この庵を離れる
それが今できるって言うの?・・・出来るわけないじゃない。
「僕は行かない・・・それでいいでしょ」
「雲雀!だがな!!」
「ていうか、時間帯考えなよ・・・うるさいんだけど」
「やかましい!コレが出さずにいられるか!!」
「此処は僕の領域(テリトリー)だよ・・・僕の言う事には従ってもらわないと困る」
「お前が行くと言うまで、俺は大声を出すぞー」
「はぁ?ケンカ売ってるの?いい度胸だね、笹川」
あんまり、大声を出されると実際こっちが迷惑
なら、今のウチに笹川を咬み殺して・・・黙らせた方が一番いい
じゃなきゃ・・・・・・・・・・・・・・
「ぅ〜・・・きょぉ〜ちゃ、ん」
「!!・・・」
「あーもう、起きたじゃない。どうしてくれるのさ」
あまり夜更かしさせたくないため
僕は30分ほど前にを寝かせたのだが
笹川の大音量の声でが眠そうな目を擦りながら
居間にとやってきた・・・しかも、片手には大きな抱き枕を抱えて
僕は立ち上がり、に近づく。
「ゴメン、起こしたね」
「ぅ〜・・・」
「大きな声出してゴメンね、。寝ようか、行こう。」
「う。」
僕は、(と大きな抱き枕)を抱き上げ、振り返り笹川を見る。
「というわけだから、僕は行かない。草食動物にもそう伝えててくれる?」
「雲雀・・・。ったく、最初っからそうならそうと言わんか」
「君なら組みとってくれると思ったんだけど・・・逆に手間が掛かったね」
「しょうがない・・・沢田には俺から伝えておく。それでいいだろ」
「助かるよ・・・じゃあね。」
「あぁ。」
残りの事を笹川に任せ、僕は
をつれて、自室に向かう。
「・・・ぅ〜ん」
「?」
すると、がくぐもった声をあげる
僕は思わずそんな彼女に声をかける。
「恭ちゃん・・・大好き・・・だょ・・・」
寝言、か。・・・可愛い寝言だ。
僕は思わず笑みがこぼれ、彼女の頭の上に
自分の頭をそっと乗せ・・・・・・
「僕も大好きだよ、」
そう、呟くのだった。
ほのぼの日和〜日々育成良好!〜
(可愛く育っていく彼女、それって僕の躾がいいって事でしょ?)