「雲雀さんの親戚の子・・・預かったから・・・ウチでしばらく面倒見ようと思うんだ」
「まぁーそうなの?ツっ君のお友達の子供さんなのね」
「 です・・・よろしくお願いします」
「あらあら、礼儀正しいお嬢ちゃんね・・・こちらこそ、よろしくねちゃん」
「はい!」
「(た、助かった・・・)」
沢田家に着くと、ツナは何とかを【雲雀の親戚の子】という嘘で
母親である奈々をごまかした。
奈々はまるで娘が出来たような感覚で、を早速可愛がろうとしている。
ツナはホッと一息をつき、靴を脱ぎ家に上がりこむ。
だが、ツナのそんな表情に彼の父である家光は家に上がりこむツナの腕を引っ張った
「お、親父!?」
「何だアレ」
「ひ、雲雀さんの・・・親戚の、子だけど」
「親父の俺に隠し事は100年早ぇぜ、息子よ」
「フッ・・・ツナ、家光には話してやれよ・・・ていうか、話さねぇと勘ぐられるぞ」
リボーンはクツクツと笑みを浮かべながらツナに助言する
確かに父親に隠し事したら確実にその後、探られてバレるのがオチ
ならいっそのこと今のウチに話しておくべき・・・。
「分かった・・・でも、マジな話だから・・・驚かないでくれよ」
「おう!」
ツナは渋々家光に今までの事を話すのだった。
「ママ様、このご飯美味しいですね!」
「アラ、ホント!?初めて作ったんだけど、ちゃんのお口にあって嬉しいわ〜」
「はい!ママ様のお料理ぜんぶ美味しいです」
「ちゃん、いっそのことウチの娘にならない?」
「え?」
「母さん!!」
「じょーだんよ、ツっ君が居ればいいのよ」
奈々の冗談に、ツナは思いっきり突込みをいれる。
そして、離れた場所で男3人・・・ツナ、リボーン、家光は奈々との姿を見ていた。
「ほぉ、ジャンニーニがね」
「それがお陰で、さんがあんな風になっちゃって・・・一応ジャンニーニも必死こいて元に戻る方法探してるみたい」
「相手が悪すぎたんだよ・・・何せ、あの雲雀だからよぉ」
ツナは一通り、家光に事情を話した。
「それで、が雲雀の何がイヤでこんなことになったんだ?」
「さぁ、それが俺にもよく分からなくて。・・・ただ、雲雀さんの顔を見たくないって」
「ワケ話せっていったら・・・骸の奴がに少しではあるが吐かせたんだがな」
「何だ?骸の奴がか?・・・それで、は何を」
「それが・・・・・・」
すると、ツナは家光の耳元でコソコソと囁く
「はぁあ!?雲雀の奴がをおか・・んぐ!?」
「親父、声がデカイ!!!」
「近所迷惑どころか、聴覚公害にもなるぞ」
家光が驚きのあまり、大声で雲雀がに一体何をしているかを
言おうとした瞬間、ツナが慌ててその口を塞いだ。
塞がなければ、確実に雲雀は犯罪として捕まりかねない。
「ん?どうしたの、パパ?」
「パパ様どうしたんですか?」
すると、家光の大声に
食卓で話していた奈々とが3人の方向を見る。
「い、いや・・・何でも無いんだ二人とも。何でも無いんだハハハハ」
「家光のいつもの事だ、気にするな」
「へんなツっ君ね・・・ねぇ〜ちゃん」
「そーですねぇ」
まるで本物の親子の様に、奈々とは意気投合していた。
何とか2人の視線を逸らすように、ツナとリボーンはごまかした。
そして、塞いでいた家光の口を解放した。
「っ・・・それは本当か!?」
「らしい・・・骸がそういったら、さんがすごい反応したから・・・原因は多分其処にあると思う」
「だからっては話したくないと言い張るし、雲雀は雲雀で覚えていないの一点張り・・・仲直りさせたくても
俺達にはどーすることも出来ねぇってワケだ」
「なるほどな」
「今はとりあえず、さんの好きなようにさせようと思って・・・雲雀さんにも一応俺が預かるとは話したんだけど」
「どうした?」
瞬間、ツナの表情が寂しくなる。
「俺、初めて雲雀さんのあんな悲しそうな顔見たような気がする」
『・・・・・・・・・・・・勝手にすれば』
その言葉を聞いた瞬間、ツナは胸が締め付けられた。
確かにいつもの雲雀から頷ける言葉ではあるが
その言葉の中に寂しさが混じっており
表情は無表情なままではあるが、どこか儚げで・・・。
「雲雀さん・・・原因分からなくても、さんと離れたくなかったんだろうなぁ・・・と思って」
「バカツナが一人前に愛を語ってる」
「お前も男になったなぁ〜ツナ」
「ちょっ、2人とも俺は真剣に話してるんだよ!!」
「まぁ、雲雀の奴が思い出すか・・・それともが先に折れるか・・・のどっちかになるなコレは。」
「できるなら、雲雀さんに俺は迎えに来て欲しいと思ってる。」
「本人原因不明って言ってるんだぞ・・・それでもアイツが来るって言うのかバカツナ」
「俺は・・・信じる・・・雲雀さん、ちゃんとさん・・・迎えに来るって・・・信じてる」
ツナのまっすぐな表情に、リボーンはため息を零し、家光は微笑を浮かべ
奈々とが他愛もない話しをしている食卓へと目を向けるのだった。
「はぁ・・・まったく、恭さん・・・飲みすぎですよ」
「酔いつぶれるまで飲むほどか・・・雲雀の奴」
一方のボンゴレ地下アジト隣接の雲雀専用の庵では
雲雀、草壁、了平の3人で酒を飲んでいたのだが
まるで、酒に身を任せるように雲雀は次々と酒を飲み干し
最終的には、その場に倒れ深い眠りに就いた。
草壁はため息を零し、近くにあった毛布を雲雀にかける。
「恭さん、やっぱりショックだったんです・・・さんと離れて」
「は沢田の家に行ったと言っていたな・・・どういうことだ?」
「私にもよく・・・ただ、さんが一方的に恭さんの顔を見たくないと沢田さんに言ったらしく」
「沢田がを家に連れて帰り・・・それで、雲雀がこの様か?」
「今まで、恭さんはあんな姿になったさんをやれやれと言っていましたが・・満更イヤでもなかったみたいですし
むしろ、今までどおり愛情を注いでいたので」
「まぁ、確かにな。・・・雲雀の小さくなったに対する愛情は恐ろしいものだったな」
「だから、尚の事・・・恭さんにとってはショックだったんですよ」
草壁は雲雀の飲んだ盃や、畳に転がった徳利を
片付けながらいまだ少し飲んでいる了平に話す。
「雲雀にとっては一番だからな・・・アイツは昔からそうだった。学校が違ったにせよ
アイツはいつもばかりを見ていた・・・・たとえ、幼馴染であったとしても、な」
「小さいさんを見て、恭さん・・・”まるで昔に戻った気分みたいだよ“と、ぼやいていましたね」
「昔は、は雲雀の事”恭ちゃん“って呼んでいたらしいからな。雲雀の気持ちが分からなくもないな。」
「・・・・・・っ」
「恭さん?」
「雲雀?」
すると、突然眠っている雲雀がの名前を呟く
聞き耳を立てるように、草壁と了平はその場に静寂を生ませた。
「・・・・・・・・・っ」
ぽつり、ぽつりと雲雀はの名前を呟く
そんな寂しげな雲雀の寝姿に、草壁と了平は胸を打たれた
「・・・・・・っ」
「もうちょっと咥えこまないと・・・僕イけないよ・・・ホラ、ほらちゃんと口に入れて」
瞬間、100年の恋も冷めるような寝言
「きょ、恭さん・・・」
「何かの気持ちが少しだけ分かったような気がする」
心配した自分達が情けないと思った反面
どんな状態だろうともこれなら雲雀は平気だろうと思った草壁と了平だった。
何処に居ても、夢の中でも、
(きっと深い眠りにさえつけば僕は君に会えるって思ってるよ・・・悪い?)