「さーん!」
「ーっ!!」
「、何処だー?!」
ツナの突然の呼びかけに
獄寺と山本は急いでやってきて
居なくなったを探していた。
「何処行ったんだろ、さん」
「10代目・・・一旦戻りましょう・・・雨も酷くなってきましたし」
「もしかしたら、ツナの家に戻ってるのかも知れねぇな」
「うん。・・・そうだと、いいけど」
雨足が強くなり、ツナはおろか
捜索を手伝っていた獄寺や山本の服も
雨によってびしょびしょに濡れ、水がスーツの上着はおろか
ブラウスにまで染み渡り、色が濃い色に変化していた
とりあえず、山本の言葉で
3人は一旦ツナの家へと戻るのだった。
-------ガチャッ!
「ツっ君!」
ツナは自分の家の扉を開けると
心配そうな面持ちで奈々がツナ達の元にやってきた
「母さん」
「ちゃんは?!ちゃんは、どうしたの?」
「そ、それが・・・」
「家に帰ってきたらツっ君もちゃんも居ないし・・・ちゃんは?」
奈々の問い詰めに、ツナは何と理由をつけて
話せば良いのか迷っていた。
またツナの背後に居た獄寺も山本も
奈々に伝えれば良いのか分からなかった。
「どういうこと・・・」
「!!・・・ぁ」
「ひ、」
「雲雀」
すると今度は背後に雲雀が
濡れた姿で3人を睨みつけるような形で立っていた。
そう、特にそれはツナにと強く鋭い視線が・・・・・・。
その瞳からは今まさに怒りが伝わるほど。
「どういうこと、草食動物」
「ひ、雲雀さん・・・あ、あの・・・俺・・・」
「どういうことかって、聞いてるんだけど」
そう言葉を言い放った瞬間、ツナに近づこうとする
「ま、待て雲雀!」
「そうだぜ、落ち着けって」
瞬間、彼の怒りが分かったのか獄寺と山本が
ツナに近づこうとする雲雀に静止するよう試みる。
が、しかし・・・・・・。
「触るな!」
「なっ!!」
「おっと!?」
二人の腕が彼を止めようと、触れた瞬間
雲雀はその二人の腕を振り払うように、腕を振る。
「気安く触らないでくれる」
「て、てめぇ・・・っ」
「こりゃ、かなりのご立腹の様子だな」
「雲雀さん・・・」
もう雲雀の怒りはMAX寸前、触れられるのだけでも拒否してしまうほど。
雲雀の態度に、かなりの怒りを感じた獄寺と山本。
そして、そんな雲雀を見るツナ。
「君・・・言ったはずだよね・・・預かるから、守るからって・・・」
「・・・は、はぃ」
「何やってるの?」
「あ、あの・・・これには・・・」
「言い訳する気?・・・僕にアレだけの大口叩いておいてよくそんな事出来るね。怒りを通り越して呆れるよ」
「・・・す、すいません」
「今更・・・・・・今更、謝らないでくれる。」
顔を横に向け、やるせないような表情をする
元はといえば自分が悪い事くらい、雲雀自身は分かっていた
彼女に恥ずかしい事をしなければ、彼女に嘘をつかずに居れば
こ ん な 事 に な ら ず に 済 ん だ の に
「ふざけるのも大概にして欲しいよ・・・は何処?」
「俺達も探してるんです・・・でも、何処にも・・・」
「絶対何処かに居るはずなんだ・・・君に任せた僕が馬鹿だったよ」
そう踵を返し、雲雀は雨が降り続く外へと出ようとする。
「雲雀さん!今外は雨です!!雲雀さんが風邪を」
「余計なお世話だよ・・・傘も差さず、飛び出したを放っておけない」
「じゃ、じゃあ俺達も」
「付いて来ないでくれる・・・これ以上君達に任せるつもりはないから」
「雲雀、てめぇ!!」
「獄寺くん、落ち着いてよ」
「しかし、10代目・・・っ」
雲雀の言葉に、獄寺が逆上するも
ツナが静止の言葉をかける。
何とか獄寺は治まり、ツナは雲雀に向かって声を出す。
「じゃあ、俺一人でさんを探します・・・責任は俺にあるから」
「ツナ」
「10代目」
雲雀の後姿に向かって、ツナはそう言い放つ。
だが、その言葉を聞いて雲雀は振り返り、彼を睨みつける。
「そうされる筋合いないって言ってるでしょ・・・責任は確かに君にあるかもしれないけど・・・僕の言葉聞いてなかった?
これ以上君達に・・・いや、君に任せるつもりはないって」
「だけど・・・こんな広いところ、雲雀さん一人じゃ」
「君達と僕は違うよ。一緒にしないでくれる?」
「でも、雲雀さん・・・っ」
「これ以上僕をイラつかせると・・・本気で君、咬み殺すよ」
雲雀の言葉に、今反論をしてしまえば
本気で彼は、ツナを殺しにかかるとその場の空気で
獄寺や山本は察した。
いくらボンゴレのボスのツナと言えど
相手は守護者の中で最強と謳われる雲雀恭弥。
戦闘経験は、確実に雲雀が勝っている事は明白。
敵に回してしまえば、かなり危険人物であることも・・・事実。
「それでも、付いて来るって言うなら君を・・・殺す」
「雲雀、てめぇ・・・っ」
「そうとなるのであれば、俺達だって黙っちゃいねぇぜ」
「獄寺くん、山本・・ふ、2人とも・・・」
獄寺はダイナマイトを手に数本と所持し
山本は時雨金時に手をかける。
そして、雲雀はトンファのボックスを出し、リングの炎で開匣しようとしていた。
「何やってんだおめぇら・・・玄関先で」
すると、突然リボーンがあっけらかんな声を
上げながら現れた。
「リボーン!!・・・・あ!」
「あぁ!?」
「おいおい」
「・・・・・・」
全員がリボーンの方に向くと
さらに沢田家の玄関先で驚きの声が上がる。
「どうしたの、皆?」
『(さん)!!!』
「・・・」
リボーンの足元の隣にちょこんと立っている
幼いが居たのだった。
しかも、彼女はずぶ濡れ状態・・・着ていた衣服はもう水の染み込みが激しく
水滴が落ち続けている。
「リ、リリリリ、リボーン・・・さん、何処で?」
「何処って・・・此処来る途中。俺が近道で行こうとした道にコイツが居たんだよ。
傘も差してねぇし如何にも、”勢いでツナの家飛び出してきましたー“っていうオーラ全開でな、うろちょろしてた。」
「違うよー、違うもん」
「一緒だよバーカ。並盛の地理も知らねぇでツナん家飛び出すなってーの」
傘に変形していたカメレオンのレオンは
動物に姿を戻し、リボーンの帽子に再びまとわりつく。
「・・・」
「!・・・きょ、恭ちゃん・・・っ」
すると、雲雀の存在に気付いたのか
はそんな彼を見た瞬間、震え始める。
「ひ、雲雀さんあの・・・っ」
「止めるなツナ」
「リ、リボーン・・・で、でも」
「いいから黙って見てろ」
震えるを察して、雲雀に怒らない様言おうとしたツナを
リボーンはすぐさま止めた。
リボーンの言葉に、ツナは納得はしていないもとりあえず
二人をその場で見守る事にした。
「」
「きょ、恭ちゃん」
2人は見つめあい、時間が止まる
が、次の瞬間・・・・・・
「っ!?・・・きょ、恭ちゃん!?!?」
雲雀はを抱きしめ・・・・・・
「バカ!」
「っ!!」
突然、大声をあげを罵倒する
顔が見えない分、は今にも泣きそうになる。
「馬鹿だよ君は・・・大馬鹿者だ。飛び出すなんて・・・馬鹿のすることなんだよ」
「きょ、・・・恭ちゃん・・・っ」
「どれだけ・・・どれだけ心配したか、君は分かってるの?分かりもしないで・・・ウロウロしないでよ」
「恭ちゃん・・・恭、ちゃ」
「僕も悪かったから・・・お願いだよ・・・もう、突然いなくなったりしないで」
「ぇ?」
ふと、雲雀の声が震える。
そんな彼の声には疑問の声を上げた。
雲雀はから離れ、彼女の顔を見る。
「僕も悪かった・・・嘘ついて、ゴメンね」
「恭、ちゃん・・・・・・・・・恭ちゃん!!」
雲雀がそう謝ると、それが分かったのか
は泣きながら雲雀に抱きつく。
「恭ちゃん・・・恭ちゃん・・・っ・・・」
「ゴメンね・・・僕も悪かったよ。だからもう、居なくなったりしないで」
「・・・ひっく・・・ぅ・・・うん・・・寂しかったよぉ」
「僕も寂しかった・・・寂しかったよ」
そう言って、雲雀は未だ泣くを抱きかかえる。
「じゃあ、帰るね」
「ぁ・・・は、はぃ」
「さっさと帰れ」
「獄寺くん!?」
「アハハハ、まぁ一件落着ってヤツだな」
「ホント騒がしい奴らだぜ」
雲雀は踵を返し、ツナの家を出ようとする・・・・・・が・・・・・・。
「草食動物」
「な、何ですか?」
すると、突然雲雀は振り返りもせず
ツナに話しかける。
あまりに突然の事で、ツナはまたもや叱責を食らうのでは
と思い、心臓がバクバクと音を立てていた。
「・・・、預かってくれてありがとう。もしもの時は、また頼むよ」
「え?」
「じゃあね」
「あっ・・・ちょっ、雲雀さん!?」
外は何ともタイミングよく、雨が止み
雲雀はを連れ、すぐさまツナの家を出て行った。
「・・・何だったんだ、今の?」
「また、お守りをして欲しいって事じゃねぇのか?」
「おいおい、10代目にアイツ何させてぇんだ?」
「まぁいいじゃねぇか、な・・ツナ!」
「うん、別に俺は・・・構わないけど」
「ちょっとつッ君!ちゃんもう帰っちゃったの!?」
『(しまった、この人の存在忘れてた・・・!!!)』
奈々の存在をすっかり忘れていた4人は
その後、理由・言い訳などを含め根こそぎ絞られるのであった。
「恭ちゃん・・・ゴメンね」
「うぅん、僕の方こそゴメンね・・・嘘ついたりして」
暗い夜道、雲雀には優しく甘えた声で謝る。
そんな彼女の声を残さないように、しっかりと彼は聞き入れた。
「服、大分濡れたね」
「恭ちゃんだって」
「此処からなら、アジト(庵)に戻るより・・・僕の家に戻った方が早いかもね」
「ぇ?」
「僕の家に行こう・・・早く着替えないと、が風邪引いちゃうし」
「・・・ぅん」
雲雀の言葉に、は顔を真っ赤にして
抱きついた。そんな彼女を雲雀は笑みを浮かべながら
アジトではなく、自らの家へと足を進めるのだった。
雨が止んだら・・・
(全てが元通りになるとそう信じていた)