---------バキッ!!!
「っかはっ!!!」
「何者だ!?」
「何処のファミリーだ、お前ら!!!」
並盛町、暗闇に数人の黒服を着た男たちが転がる
その目の前に・・・3人の同じく黒服を着た者達が居た。
「コレがボンゴレ?・・・弱っちぃでやんの、なぁマルツォ」
「ルリオ・・・確かに、俺達が出る幕でもない、こんな雑魚」
「でも仕方ない・・・ボスの、アゴストの命令だから・・・」
「ディチェンブレ・・・ったく、何でコイツのお守りまでしなきゃいけねぇんだよ・・・元々ノヴェンブレの奴が」
「ルリオ。・・・・・ディチェンブレ、此処は一人でも大丈夫か?」
「マルツォ・・・大丈夫、私一人でも出来るから」
「てめぇら、俺達ボンゴレに歯向かう奴らか?!」
「もしかして、連日の襲撃は・・・」
一人の男がそう言いかけると、3人の人物は男を見て
一人は笑みを浮かべ、もう二人は無表情のまま・・・・・・
「俺達だよーん」
「ボスの命令・・・我らの空の支配者・・・アゴストの命により」
「ボンゴレを消しに来た・・・我ら・・・」
『 ド ー デ ィ チ ・ ア ポ ス ト ロ な り 』
「・・・朝・・・だ・・・」
イタリアの朝です。
おはようございます・・・私 はただいまイタリア出張中
そしてボンゴレ本部に、毎度のことヴァリアーの面倒のために
(いや、実際には9代目の護衛とご様子伺いを兼ねて)やってきたのだった。
いつもは同伴で来る私の右腕的存在の飛田東麻は日本にお残り。
ツナ君が私が日本に居ない代わりにして欲しいことを、してほしいと言ったので
アイツは今回は此処にはおらず、私一人が此処に居た。
「(にしても、何かベッド狭くないか?・・・昨日までは確か広々と使ってたのに)」
朝、いつもなら寝苦しく目覚めるはずなんかない
ましてや、携帯のアラームが鳴るまで、まだの時間がある・・・でも、日は昇ってる
ようするに朝食にはまだ早いって事です
だけどなんだか寝苦しいというか、息苦しくて私は目を覚ました。
そして、ベッドの上で寝返りを打った・・・瞬間・・・・・・・・・
「ZzZzzzZZZzzz」
「・・・っ」
顔面蒼白
「いやぁぁぁぁあぁあ!!!!」
盛大に、朝っぱらから思わず、数年振りと、女の子らしい声をあげた。
周囲の木々に群れを成していた鳥達は私の声で木から飛び去っていく音がしたよ
「う゛お゛ぉ゛い!!!朝っぱらからなんだって・・・」
「サメ!!!サメサメ!!!この、このバカボス何とかしろ!!!」
「何でザンザスが此処に居るんだよ」
「私が知りたいわよ!!!」
スクアーロがすぐさま駆けつけてくれたけど
光景を見て唖然としている
そう、私の隣にいたのは・・・何様俺様ヴァリアーのボスザンザス様
まるで自分の部屋で寝ているかのように、奴は平然と
私の隣で寝ていたのだった。
すると、私の声でザンザスはウザそうな顔で起きた。
「朝っぱらからうっせぇぞ、クソアマ・・・睡眠妨害じゃねぇか」
「どっちがだ!!!!今すぐ私の部屋から出て行けザンザス!!!」
「別に此処で寝てたって構わないだろ・・・黙ってお前も寝ろ」
「ふざけるな・・・誰がテメェとなんか寝るか、だから出て行けクソボス、自分の部屋で寝ろ」
「ベッドの居心地が悪い・・・お前のベッドが一番良いんだ、ホラお前も来い俺様が特別に添い寝してやる」
あの無愛想な顔で、シーツ捲りあげながら、ベッドをポンポンと叩いて
如何にも「こっちに来い」っていう態度
ムカつく前提・・・此処は誰の部屋だ?
「私の部屋から出て行け!!!」
隠し持っていたガンズ・トンファを出して
思いっきり私はリングの威力をトンファに込めて、ザンザスめがけてぶっ放したのだった
「・・・さん、朝から機嫌悪いですね・・・」
「何ナニ?何かあったとかぁ?」
「まぁ、いろいろと・・・」
「大人の事情にお子ちゃまが首を突っ込んじゃダメよん」
朝食の時間、私はイライラを抑えながら朝食を口に運んでいた。
あの後、盛大に銃弾をぶっ放したが、ザンザスの憤怒の炎で簡単に防がれた
だからその後はもう実力行使・・・そのままトンファで頭を数発と殴り、部屋から追い出した。
「そういえば、ボスの姿が見えないんだが・・・」
「ば、バカレヴィ!!!」
「アンタやっぱり単細胞ね!!!今それは・・・・・・」
---------ガタン!!!
私は机を思いっきり叩いて、立ち上がり、首を横にゆっくりと向ける
「レヴィ・・・ご飯食べ終わったら、ちょっとツラ貸せ」
「え?」
「(地雷を踏んだなバカが)」
「(俺しーらない)」
「(知らないフリ知らないフリ)」
「(ご愁傷様ね、レヴィ)」
誰かをとりあえず、ぶっ倒さなきゃ腹の虫が治まらないだろうな。
レヴィでもまぁ、相手は充分だな、と心のナカで思っていた。
「スクアーロ様」
「あぁ?んだ、こんな時に」
「実は・・・例の・・・」
すると、ヴァリアーの部下がスクアーロに耳打ちをする
私は聞き耳を立てて聞くが、『例の』っていう部分しか聞き取れなかった。
部下の奴が耳打ちを終わると、スクアーロは私のほうに向かってくる
「お前、確か日本に帰るんだろ?」
「へ?・・・あぁ、そうだけど。」
「見送る約束、あったよな」
「うん、そうだけど。」
任務を全うした私は今日が日本に帰国の日
そして、今日は皆が見送ってくれるという約束をしていた。
「見送る約束だったが、悪ぃ・・・任務が入った」
「そっか、ならいいよ」
「今から、すぐに向かわなきゃいけねぇんだ・・・レヴィとの勝負もまた今度にしてくれ」
「いいよ別に。レヴィも悪気があって言ったわけじゃないしね・・・ね、レヴィ」
「・・・やはりお前は良い奴だな・・・」
「今頃気付いた?雷バカ」
そう私が笑みを浮かべると、レヴィや他の皆は席から立ち上がる。
「見送りに行けなくてちょっと寂しいけど、また来なさいよ、小娘ちゃん」
「今度は、俺も強くなるから雷勝負としようじゃないか」
「さん、また来てください。その時は僕もまた強くなってますから」
「ー王子の俺忘れたら切り刻むからな〜・・・ま、忘れるわけないよね、シシシシシ」
「皆・・・うん、またね・・・任務頑張ってね」
『おう!』
そう言って、ルッス、レヴィ、フラン、ベルの4人は部屋を出て行った。
そして、その場には私とスクアーロが残った。
「悪ぃな、ホントに。」
「いいって・・・何か最期の別れのような言い方やめてよね、辛気臭くなるでしょ?」
「・・・・・・」
「スクアーロ?」
すると、スクアーロの言葉が止まる
何か凄い真剣な面持ちで私の顔を見ていた。
「ちょっ、ちょっと・・・なんで黙るのよ。別に大したことなかったでしょ?・・・また来るんだし」
「・・・そ、う・・・だよな。フッ、俺何言ってんだ」
「そうよ、いつものサメの勢いはどうしたのよ?・・・スクアーロらしくないわよ」
「悪い・・・じゃあ、俺も行くぜ・・・後は門外顧問の奴に頼んでる。」
「ありがとう。・・・スクアーロも気をつけてね」
「おう!・・・じゃあな、!!」
そう言って、スクアーロも部屋から去っていった。
ひとり残された部屋で私は、椅子に寄りかかり、頭を掻いた
どうも、スクアーロの様子がおかしかった。
多分アイツ自身も気付いてるはずだ。・・・空気とか態度とかそういうのが
いつもとなんだか違って見えたから。
それに気になる・・・アイツらの部下が言ってた『例の』って・・・何だろう、一体?
ボンゴレに関することか、それともヴァリアー全体に関することか
まぁ多分ヴァリアーに関することだと思うけど・・・もし皆に何かあったりしたら・・・
「まさか・・・アイツらにもしもの事なんてない。皆強いし・・・うん、大丈夫よね」
私はそう呟き、背伸びをした。
イタリア本部はアイツらヴァリアーがいる限り安全だ。
私が心配する必要ないんだよ、だってアイツらゴキブリ並の生命力してるし
「さて、帰る準備でもしなきゃ・・・飛行機に間に合わなくなる」
そう言って私は席を立ち上がり、帰国する荷造りをするのだった。
---------ウィーーーン・・・
「殿、急いでください!!!飛行機に間に合いませんよ!!」
「ゴメン、バジル君!!」
私は慌てて、荷物を持ってチャーター機のところに向かう。
色々詰め込んだりしてたら、本部出発時間が微妙に遅れそうになった。
「ゴメンゴメン、色々詰め込んでたら」
「また来るんですから・・・いいんですよ、置いてても」
「書類が多いからね、それはさすがに置いていけないし」
「あ、それは大変ですね。・・・あ」
「ん?どうしたの、バジル君?」
私がチャーター機に乗り込もうとすると、バジル君が突然素っ頓狂な声をあげた
振り返ると、其処に立っていたのは・・・・・・
「ザンザス」
朝から派手に騒動を起こした、ザンザスが居た。
あれ?確かヴァリアーは任務があるから・・・出払ったはず
バジル君が驚くのも無理はないだろう。
私はチャーター機から降りて、ザンザスに近づく。
「何?朝のこと謝りに来たの?」
「あぁ?俺が見送りに来たら悪いか?」
「え?見送りって・・・任務は?」
「んなの、カス共に任せておけばいいんだよ。俺がわざわざ出る幕じゃねぇ」
何と言う押し付け
いや、まぁヴァリアーじゃザンザスはボスだしそれくらい・・・。
「おい、」
「うわっ!?お前が私の名前呼んだ!!珍しい、どういう風の吹き回しよ」
「そのお喋りな口を数分でいいから黙らせろ」
「な、何よ」
だけど、ザンザスが私の事をちゃんと呼ぶのなんて滅多にない。
ましてや、コイツと2人になったときにしかザンザスは私の事を呼ばない
大体は”クソアマ“とか”お前“とか”カス“くらい・・・だから、私の名前をザンザスが呼んだりしない
「気をつけろ」
「え?」
何だろう・・・ザンザスのその言葉が重く感じる
ただの・・・”気をつけて帰れよ“ってわけじゃない
途轍もない何かの近づきを教えるみたいに・・・ザンザスはそう言ってるように聞こえる
「バ、バカね・・・気をつけるわよ。私を誰だと思ってるの?」
「・・・・・・・・」
ザンザスは何も喋らない
ただ、ジッと私の顔を見つめている
何だろう・・・凄く、・・・不安になってきた。
「何かあったら、連絡しろ・・・じゃあな」
「ザンザス」
「お前のためなら、俺達全員で日本に駆けつける・・・それだけは覚えとけ」
そう言って、ザンザスは踵を返して、その場を去っていった。
何?ねぇ、ザンザス・・・一体何があるって言うの?
私の知らない所で何か起ころうとしてるの?そうなの?
「ザン」
「殿ーっ、出発しますよ!!!」
バジル君の声で、私はザンザスを呼びとめる声が遮られ
聞くことも出来ないまま、私はチャーター機に乗り込んだ。
乗り込んでも、私の頭の中で繰り返される・・・ザンザスの言葉
” 気 を つ け ろ “
一体、何に気をつけろって言うの?
その答えは何処にあるの?ザンザス・・・アンタはそれを知ってるの?
そんな気持ちのまま、私は日本へと帰国するのだった
戦いは既に〜Cominciare〜
(胸騒ぎがした。・・・だが、もう戦いは既に火蓋を切って落とされていた)