「うー・・・」
「よっ!何だ?朝から顔色悪ぃな」
「カルディア」
朝。
デジェルがいなくなったのを見計らい、私は宝瓶宮を出て
聖域の庭をふらついていた。
すると其処にカルディアが、真っ赤な林檎を齧りながらやってきた。
「どうしたお前・・・気分でも悪いなら宝瓶宮に戻って寝てろよ」
「気分じゃなくて、機嫌が悪いの。むしろ腰が痛い」
「は?」
私は痛い体(特に腰辺り)を引きずりながら宝瓶宮を出たのだ。
「まぁ食えよ」と言いカルディアは自分が持っていた
綺麗な林檎を1つ私に投げやった。
それを受け取った私は赤い林檎に齧り付き、愚痴をもらす。
「デジェルのせいよ」
「・・・・愛されてんなぁお前」
「えぇこれでもかってくらい、愛されたわよ」
デジェルの名前を出した途端、腰の痛みとそれが一本の線で繋がったのか
カルディアは分かったかのような声を上げた。
もちろん、私も分かった声を踏まえて答えた。
「アイツの体力何なの?底なしすぎる」
「その様子だと朝まで離してもらえなかったみたいじゃないの〜?」
「顔にビンタされたいのクソ蠍。それか心臓止めてやろうか?」
「わ、悪かったって」
カルディアの発言に私は腹を立てながらも林檎を齧る。
しかし、彼の言うことは当たっている。
本当にデジェルが朝まで離してくれない状態だった。
荒々しくキスを繰り返され、脳みそが蕩けるくらいまで愛撫をされ。
繋がったときには激しく溺れてしまうほど、彼の愛の海に飲まれていった。
何度も何度も、体位を変えては深く愛を体に刻まれて。
何度も何度も、切ないほどの声で愛を囁かれていた。
「挙句の果てには」
「ん?」
「デジェル・・・あんまりしないのに」
「何を?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・中に」
「・・・・・はぁあ!?え?!・・・・デジェル、まさかっ・・・」
私の言葉が理解できたのか
カルディアは驚きのあまりその後の言葉が出なくなっていた。
友人である彼が驚くのも無理はない。
いやむしろデジェルを知る人たちにこの話をしたら「まさか・・・っ!?」という
反応が返ってくるのが目に見えている。
詳しく言うと下品な話になる。
デジェルは私のナカに入って愛を酷く打ちつけることはするが
決してナカで果ててしまうことはない。
果てるときも、彼は必ずと言っていいほど・・・外に出す。
イキそうになったらすぐさま抜く、彼の中でのそれは多分紳士道みたいなものだろう。
しかし、コレには例外がある。
昨日・・・最初のうちは、彼の欲望は外に放たれていた。
だがそれが段々と回を重ねていくごとに
余裕のかけらもなく、まるで性行為の虜になってしまったかのように
私を激しく求め――――。
『・・・ッ、すまない・・・ナカに』
『えっ?あっ・・・や、やだっ・・・!デジェル、ナカはっ・・・あぁっん』
『後で必ず処理はする。だから、だから・・・っ』
『あっ、あぁん!!やっ、いやぁ!!離してッ・・・デジェルッ、いやぁ、ああっ』
離れようとして、力を入れるも
快楽によって体中は蝕まれ、思うように力が入らない。
ましてや、デジェルにがっちりと掴まれ
体は繋がったまま。それに男の人の力に女の私が勝てるわけがない。
抵抗虚しく私のナカに彼の熱い欲望が大きく爆ぜた。
しかも最初の時とは比べ物にならないくらい、熱いあつい欲望。
ドクドクと私の体のナカに入ってくるデジェルの熱。
いつもはこんなことしないのに・・・と思っていたデジェルの行為に
私は涙を流して泣いてしまった。
するとデジェルは私の頬に触れ、優しくキスを繰り返しながら・・・・。
『すまない、すまない。嫌だったな、本当にすまない』
『も・・・もぅ・・・ぃや・・・離してよぉ・・・ッ、デジェルなんか、嫌い・・・デジェルの、バカ』
『バカと言われようが、嫌いと言われようが構わない。
それでも私はお前を愛したいんだ、分かってくれ』
密着した体から感じる熱や触れてくる唇の熱。
低く囁いてくる甘く優しい言葉に、何も言えなくなっていく。
デジェルの甘い言葉に溺れるように、結局あの後何回かナカに入れられた。
「私がへばったら、やっと終わった」
「それで朝になってたわけか。んで、ちゃんと処理はしてもらったのか?」
「知らん間にしたみたい。宝瓶宮を出る間際にデジェルが”ちゃんと処理はしておいたからな“って。
別にいいんだけど、コレで孕んでたりしたら私セージやシオンに何て言えばいいのよ」
「教皇様がお前の父親代わりってのは分かるけど・・・なんでシオン?」
「シオンは私のお母さんみたいなもんだから。口うるさいところが勝手な私のお母さんイメージ」
「あ、言えてるかも」
カルディアは笑いながら言う。
「しっかし、あのデジェルがなぁ。何か話聞く限り相当あいつ切羽詰ってるな・・・何かあったかお前ら?」
「そうね。しいて言うなら私が夜出歩いて、朝帰りするのが原因かしら」
「は?お前・・・何、夜遊びしてんの?」
「まぁ・・・そうね、そんなとこ」
友人であるカルディアからすれば、デジェルの行動がありえないと思ったらしい。
何か原因があったのかと問われれば
私が夜出歩いて朝帰りをすると言うと、カルディアも驚いていた。
ていうか、夜遊びじゃないんだが・・・そういうことにしておこう。
「それならデジェルも怒るだろ?」
「最近アイツとはケンカばっかりよ。昨日はたまたま宝瓶宮に居ただけ」
「それで今日に至るってワケか。ご愁傷様だこって」
「はいはい」
本当にご愁傷様よ。
おかげで腰は痛いわ、体は痛いわのダブルパンチ過ぎる。
「丁度いいところに居やがったな」
「あ、マニゴルドじゃん」
すると、今度はマニゴルドが笑みを浮かべて
話をしている私とカルディアのところにやってきた。
「揃いも揃って談笑かお前ら?」
「から下世話な話聞いてたんだよ」
「カルディア、心臓殴るよ?」
「か、勘弁しろって」
「下世話な話ぃ?面白そうだし聞きてぇが、俺も急いでるからな。、今日良いか?」
マニゴルドの言葉に、私は笑みが浮かんだ。
「良いの!?」
「あぁ」
「行く!」
「はいはい。じゃあいつもの所でな」
「分かった!」
私が明るく返事をすると、マニゴルドは「じゃあ、俺行くトコあるから」と言って去って行った。
「何の話だ?」
「え?・・・あぁ、内緒」
「?」
カルディアからすれば、多分何の話か分からないだろう。
しかし、私からすれば本当に喜ばしい話なのだ。
「あ、デジェルには言わないでね」
「何で?」
「何ででもよ、いいわね?」
「別にいいけど」
「じゃ、私宝瓶宮に戻るから」
とにかく、今日調子が良いというのなら行くしかない。
私自身の体調を万全にして夜・・・出なきゃいけない。
それまでに睡眠もしっかりとって、夜に備えよう。
私は痛む体よりも、夜またあの世界に行ける思いが出来ると思ったら
痛みよりも喜びのほうが、勝っていた。
「・・・も、マニゴルドもなーんか変だな。には悪いが、デジェルに教えてやろ〜っと。
な〜んか面白いことになりそうだしな」
ナカに感じる熱と愛情
(余裕のない彼からの深い愛)