「もう、何処行っちゃったんですかぁ」
私は1人縁側で呟いた。
突如として、愛しい想い人さんが居なくなった。
所在を新八や神楽に尋ねても、彼らもまたその人を探していたのだ。
「銀さん・・・何処に行っちゃったんですか」
私は膝を抱え、蹲る。
坂田銀時。
私の想い人で、私の大好きな人。
しかし、忽然と彼は姿を消し・・・そして、私は必死に探し続けているけれど
彼が何処にも居らず、ましてや住処としているかぶき町からも、その姿が見られなくなっていた。
姿が見えない今、私は毎日不安でたまらなかった。
あの人だけが、唯一私が生きている支えだったのに。
「銀さん・・・っ」
見えないから、分からない。
探しても、何処にも居ない。
毎日毎日、不安だけが積もりに積もっていた。
平然と振舞い、刀を抜き、歯向かう攘夷浪士たちを斬り続けても
「銀さんが此処にない」という理由だけで心に穴を開けていた。
そして、肥大していく穴を私は埋められずに居た。
「おいおい不用心だぜ。ひと声かけたら誰か出てくるもんだろ?」
すると、声が聞こえてきた。
その声は私が縁側に座っている場所・・・つまり、庭へとやってきた。
私は膝に埋めていた顔を上げる。
顔をあげたら、其処には――――――。
「・・・泣いてたら美人下がっちまうぞ。泣くなよ、俺が・・・この金さんが側に居てやっから」
眩しいまでに金色の髪をした、知らない男が笑って私を見ていた。
まるで、銀色の空を塗りつぶすような男が私の前に現れた。
火遊びも度が過ぎれば犯罪になる
(それでも、今の私は彼に身を委ねるしかなかった)