「うぉ〜綺麗アル〜!」


「神楽ちゃん、そんなに慌てるとこけちゃうよ」


「新八じゃあるまいし、こけるわけないアル。ダメガネと一緒にして欲しくないネ」


「何それ酷くない?











「ガキはいいよなぁ〜、あぁやって花見なんざではしゃげるからよぉ」


「まぁまぁいいじゃないですか、お花見なんですから」







先行く神楽、新八の後を銀時とが肩を並べて歩いていた。



しかし、銀時の隣を歩くの服は真選組の隊服。
彼女が休日ではない事は、明白。







「つーか、おめぇ・・・仕事はどうした?」


「面倒なのでサボってます」


「おい、税金泥棒。税金返せやコラ」


「いいじゃないですか。いつもはちゃんと職務を全うしてるんですよ。たまには羽目外させてください」


「お前なぁ〜」







銀時の声にが笑いながら答えた。


彼女の声に、銀時はため息を零すもそれ以上の事は言わなかった。







「それに、絶好の花見日和じゃないですか。しばらく休暇ないんで、こんな日くらいサボらせてください」


「ま、てめぇんトコの奴等にバレねぇようにしろよ。おめぇがサボってることバレたら
怒られんのはおめぇじゃなくて俺だかんな」


「分かってますって」






嫌味を含んだ声で銀時は言うものの、いつものことだと思い
はそれを分かったことを承知の上返事を返した。







「ねぇ、銀さん」


「何だ?」






先行く二人を他所に、銀時とは肩を並べて歩いていた。
すると、徐々にの方から歩くスピードを遅め、銀時の後ろへ。

彼の背に向かって歩く形になっていった。


途端、隣から気配が消え銀時は思わず足を止め振り返った。


同じように、も足を止めた。









、どうした?」



「もし・・・私が、銀さんを殺すとしたら・・・・・・銀さんは、私のこと、恨みますか?恨みながら死にますか?」











桜の花びらが宙を舞った。




攘夷浪士を恨むにとっては、今は浪士ではない銀時も殺さなければいけない相手。
上司である土方も「もし攘夷の動きがあり次第、殺せ」と言う程。

しかし、幼き頃自分を助けてくれた命の恩人。

彼だけは殺さないと自身決めていたこと。



しかし、その想いも、決意も、いつまで持つか・・・・・・。










「そうさなぁ・・・おらぁ恨みはしねぇよ。むしろおめぇから殺されるなら本望だわ」


「え?」






銀時の言葉に、は目を見開かせ驚いた。






「おめぇから殺されるなら・・・おらぁそれでいい。お前が、攘夷の奴等を憎む気持ちは充分に分かる。
だが、腐ったヤローに殺されるより・・・・・・―――――」






























「心底惚れた女に殺された方が、おらぁそれは本望だぜ。
・・・もし、その時がくるような事があったら――――――お前の手で俺を殺してくれ」



「銀さん」



「おめぇから殺されるなら、おらぁそれだけでいいわ」



「銀、さっ」






銀時の言葉に、は目から大粒の涙を流した。






「泣くなって。せっかく綺麗な桜が咲いてんだ、涙流してしみったれた空気出すんじゃねぇよ」


「ご、ごめんなさい・・・っ」





涙を流すに銀時は呆れながら近づき、頭を撫でる。







「ほれ行くぞ」


「は、はい」





銀時は着物の中に収めていた左手を出し、の右手を握り
引っ張るように歩く。

は引っ張れながらも、左の袖で目を拭っていた。







「まぁ、もっとも・・・俺はに殺される以外死ぬつもりは毛頭ねぇよ」




「え?」



「おらぁ天寿全うすんだ。穏やかに死ぬ時はに手ぇ握られながら死ぬんだよ。
ハナクソにもならん、ましてやチンカスにもならんような奴等から見とられるよりも
惚れた女に見とられた方が、安らかに天国に逝けるってもんだろ?」



「銀さん」





銀時の言葉に安心したのかはホッとした声を出した。


ふと、彼の足が止まる。
突然急ブレーキをかけられたので、は慌ててこけそうになるも何とか
こけることなく止まった。





「だけどな・・・おめぇが死ぬんじゃねぇぞ、



「ぎ、んさん」



「俺を殺すなら、死ぬな。つーか、あんだけ言っといて俺より先に死ぬとかマジやめろ。
俺を殺すのはクソヤロー共でも、どこぞの星から来たわけの分からん宇宙人でも
ましてやてめぇんトコのマヨネーズとかドSのクソガキとかじゃねぇからな。
だから、生きてろ・・・・・・死ぬんじゃねぇ」


「・・・・・・でも」



「無理と思ったら、腹の底から俺の名前叫べ。のためだったら、おらぁ光よりも早く来てやっから」



「銀さん」



「いざとなったらおめぇのために・・・・刀だって抜いてやらぁ。だから心配すんな」



「・・・・・・はい」






銀時の言葉に安心したのか、はそっと返事を返した。










「銀ちゃ〜ん」


さーん」





すると、前を歩いていた神楽と新八が二人を呼ぶ。






「行くか


「はい、銀さ」


























「あ、


「あ、総悟」






神楽と新八の所に向かおうとした瞬間、沖田とすれ違い足が止まる。







「クソガキ!?・・・・・・ってことはぁ」




っ!てめぇ仕事サボってそんな奴と何やってんだ!!!」




「あ、土方さん」




やっぱりかーー!!!!!






土方が鬼の形相で、手を繋ぐ二人に食いかかる。







「逃げるぞ、!」


「は、はい!」




待ておめぇら!!つかその手を離せや万事屋ぁぁああ!!!






離せと言われて、離すわけねーだろぶぁぁあか!!

「銀さん。あんまり土方さん刺激させないでください」






桜散っても、この命散らせやしない。



君のために生きる、この命だから。





君死たもうことなかれ
(あぁ、生きてるって素晴らしい!)
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