「〜機嫌直せって」
「知りません」
「銀さん、浮気なんかしてねぇだろ?おらぁ、おめぇ一筋だってば」
「浮気してない?嘘ばっかりじゃないですか!!私以外の人に現抜かしたら浮気です!!」
「あんなの浮気に入んねぇよ!!何、ボケかましてんだ!!」
とある日。
いつものようにが(サボりを理由に)万事屋にやって来た。
いつもなら、の奴は愛らしい笑顔を俺に向けてくれる。
だがしかし!!今回ばかりは、そうじゃなかった。
は俺と目も合わせず、新八や神楽と話をしていた。
俺が声をかけようともアイツは俺の声を完全無視。
あまりの疎外感にの隣に座る、も・・・人一人分のスペースを空けられる始末。
いつもならにデレまくる俺だけれども、こうも扱われるとキレるしかない。
『だぁああ!!!俺が何したってんだよ!!』
『自分の胸に聞いてください』
『自分の胸に聞いても分かんねぇから聞いてんだろうが!!なぁ俺が何したってんだよ?
別に何もしてねぇだろ?銀さん、の事すっげぇ愛してんのにそういう態度はないだろ?』
『私の事愛してるって言うなら・・・・・・百々ちゃんって誰ですか?鞘花ちゃんって誰ですか?○ン子って誰ですか!!』
『さん、もしかして』
『おいおい、マジかよ』
の口から出てきた名前に、俺と新八は顔を見合わせた。
そして、最初に戻ることになる。
「酷いです銀さん!やっぱり銀さんも、次元の違う女の子の方が良いっていうんですね」
「いや、俺は触れれない次元の女の子より触れれる次元の女の子の方がすごく好きです。
超級チェリーボーイな新八クンと一緒にしないでよ〜」
「僕に対する嫌味ですか銀さん」
「嘘!!絶対に嘘!!銀さんだけは、銀さんだけは信じてたのに〜っ」
「お、おい泣くなって」
遂には泣き出す始末。
あまりの事で俺は慌てる、いや本気で慌てるレベルの問題だ。
「なーかした、なーかした」
「銀ちゃんが、なーかしたー」
「うっせぇな黙ってろ!!つか、新八!!てめぇが原因で、おらぁあんな事しなきゃいけなかったんだぞ!!
おめぇが泣かせたもんだろうが!!説得しろ、そしてと俺に土下座しろ!!」
「さんだけならいいですけど、銀さんに土下座するつもりありませんよ」
「いいから誤解を解けー!!」
全ての発端を起こしたのは、何を隠そう新八。
そのためだけに俺は、やりたくもないモノをやらされたのだ。
それが原因でが完全に誤解をしている。
俺が説得しても、此処までの経緯からして100%信じてはもらえん。
だったら、元凶である新八が説得したほうが無難とも言える。
「さん。アレは僕が原因なんです。”愛チョリス“っていうゲームに没頭したあまりに
銀さんが僕を助けるためにしたことなんです。だから、銀さんは浮気なんかしませんよ。
だってさんっていう彼女がいるんですから」
新八は穏やかな顔つきで、泣いているに話しかける。
そう。の『俺の浮気』と勘違いしてるのはゲームの女(キャラ)のことだ。
新八を助けるためとはいえ、自分の得意でもないジャンルに飛び込まされたモノ。
正直アレのおかげ(むしろ”せい“とも言える)で、毎夜魘されていた。
「だからさん、泣かない」
「知ってるわよ、そんな事」
「へ?」
「、さん?」
新八の最後の一言がに投げられる前に、がその言葉を遮った。
あまりの早い返答と「知っている」の言葉に俺と新八は素っ頓狂な声を上げた。
「ウチのバカゴリラとアホドSもやってたんだから、知ってるわよそれくらい」
「あー・・・」
「ですよねー」
「説得の意味ないネ」
そう言えば、確かに
ゴリラとクソガキがやってた事を思い出す。
「総悟は自分好みのMっ子作ってたみたいですし、別にいいんだけど。
アイツ、私を見て『もたまにゃあ女らしい仕草とかありゃなァ』とか言うし。
ゴリラに至っては『やっぱり女の子はメガネとか萌え属性とかが一番だよな!』って笑顔でいう始末」
「とりあえず、おらぁはゴリラとクソガキを殺りゃいいんだな」
「完全に沖田さんも近藤さんも地雷踏んでる」
「が怒って当然ネ。あいつ等やっぱりバカアル」
完全にあの2人がの『何か』を刺激して、怒らせたらしい。
「だから銀さんに傷んだ心を慰めてもらおうと思ったら・・・・・・銀さんまで、ゲームの女に奪われちゃうし。
正直・・・私、怒ってますし、本気で自分でいいのかなって・・・思ったりしたんです」
「」
「さん」
いくら次元が違うとはいえ、一時の間好きな女を放置していた俺が一番に原因がある。
謝るのは新八だけじゃなく俺もだろう。
「、悪かったな。もう銀さん、他の女に現抜かしたりしねぇから。だから」
「じゃあ銀さんはメガネっ娘って好きですか?」
「へ?」
すると、突然が顔を上げて俺を見る。
しかも出てきた言葉に俺の頭は上手く働かなくなっていた。
「チャン?何言って」
「だって、鞘花ってキャラはメガネっ娘でしょ?ゴリラが言うには銀さんは鞘花を最初は選ぶはずだったんでしょ?
だったら私だってメガネかけてやろうかと」
「いや、これ以上眼鏡属性増えられたら困るからやめなさいチャン」
「じゃあどうすればいいんですか!?だって、だって私・・・銀さんが好きそうな胸の大きさしてませんよ!!
銀さんの好きな爆乳でも巨乳でも無い、いわば貧乳なんですから!!小さなおっぱいなんですよ!!
まな板の上に置いた子供用サイズのお茶碗2個ですよ!!」
「子供の居る前でそういう話はやめなさーい!!
例え方も生々しすぎて想像しやすいわコノヤロー!!」
メガネの次は、どうやら胸。
そして本人が一番気にしている箇所。
「、よく聞け。神楽や新八の姉ちゃんみたいに、断崖絶壁ってわけじゃねぇだろおめぇの胸は?」
「ちょっと姉上を侮辱されてカチンと来ましたよ、今」
「後で銀ちゃん覚悟しとくヨロシ」
新八と神楽の発言は置いといて、俺はに話しかける。
「貧乳はな希少価値だ。良い事なんだよ。それにな緋色のおっぱいは
銀さんの手にすっぽり収まるくらいの可愛い胸じゃねぇか。
おらぁそれでいいんだ。程よく柔らかい感触・・・おめぇの胸、好きだぜ」
「ぎ、銀さん・・・っ」
何とか上手い事説得は出来た、はず。
いやぶっちゃけの胸は良い感じ・・・触り心地も、抜群。
それにコイツはまだまだガキ。
体は発育中で発展途上中。胸は次第にデカくなる。
むしろ、俺が揉んで俺好みのデカさにしてやろう・・・などと目論んでいる。
「でも、色気とか可愛さが私にはないですよね?百々ちゃんや鞘花ちゃん、○ン子ちゃんみたいな」
「チャン、いい加減ゲームのキャラクターから離れような?
どう手を伸ばしたって君が二次元のキャラクターになれるわけがないんだから、○ン子以外」
どうやらはゲームのキャラクターを敵視しているようだ。
まぁ確かに、彼氏が二次元のキャラクターに浮気まがいな事をしていた。
つまり、自分が劣っていると悟られても仕方がないのかもしれない。○ン子以外。
「だから、私・・・近藤さんの要求をのもうかと」
「ゴリラの要求、だと?な、何するつもりだ・・・ま、まさか・・・っ」
「さん駄目です!!あんなストーカーの要求をのんじゃ・・・!!」
「やめるアル!!ゴリラの要求は普通の要求じゃないネ!!其処まで行っちゃ駄目アル!!」
「でも、もう私は・・・こうするしかないの」
「ま、待て・・・早まる」
「真選組隊服の下をズボンじゃなくて・・・膝丈上の、スカートを履こうかと」
ゴリラー!!!
あんの、クソ変態ゴリラ。
俺のにスカートだと?隊服の下をズボンじゃなくて、膝丈上のスカートだと?
ん?ちょっと待てよ?
「ちなみに、それ生足見せるの?」
「は、はぃ。履くならヒラヒラのスカートを・・・準備するって、近藤さんが」
の生足で、動く度にヒラヒラのスカートが舞って・・・の――――――。
「がスカート履くなら、おらぁ毎日の用心棒する。そして毎日、のパンツを拝む」
「「やめんかエロジジィ!!」」
「ごはっ!?」
新八と神楽の制裁により、俺はソファーから蹴り落とされた。
「駄目ですよさん。ゴリラのそんな要求のんじゃ」
「そうネ!ヤラシイ目つきでの生足やパンツを見るのは銀ちゃんだけじゃないネ」
「そうだ!やめろ!の生足もパンツも見ていいのは俺だけだ」
「「どや顔で言うなよ変態」」
「じゃあ、私はどうすればいいのよ」
すると、の震えるような声が聞こえてくる。
「胸は小さいし、スカートは履いちゃ駄目っていうし・・・こんな私じゃ銀さんだって愛想つかすのも分かりますよ!!
百々ちゃんや鞘花ちゃんや○ン子ちゃんに心が動いて当然なんですよ!!」
泣き止んだかと思うと、再びの涙腺が崩壊寸前。
俺は床から起き上がりすぐさまの隣に座る。
「誰も愛想なんかつかしてねぇだろ?こうやってちゃんと、おめぇの目の前に銀さん居るじゃねぇか。
二次元の女は確かに可愛いかったぜ(○ン子以外)。でも触れれない愛よりも、触れれる愛のほうがおらぁは好きだ。
は俺がちゃんと触れて確かめれる愛だ。好きでもねぇ女と寝たりなんかじゃ出来ねぇよ(まぁ覚醒○ン子とはあとちょいだったけどな)」
「おい、ダメ人間」
「最後の言葉が完全に浮気匂わせた発言アル」
「あっ!?いや、違う・・・っ、コレは・・・っ」
思わず、な事を言ってしまい口を手で塞ぐも時既に遅し。
目の前のは肩を震わせていた。
そして、涙目で俺を睨みつけ―――――。
「銀さん最低です!!もう知りません!!口も聞きたくありません!!」
背を向けられてしまった。
此処で折れてしまえば、確実に破局。
マヨネーズヤローやん家のババァの思う壺。
だったらもう―――――。
「・・・ご、ゴメンってばぁ〜。銀さんが悪かったって」
男は無駄口を叩くことなく謝り続けろ!
とにかく破局だけは避けなければならない。
こんな美人、逃したら・・・もう俺の幸せライフは戻ってこないぞ!!
謝るんだ、俺。
とにかく今はに謝るんだ!
「チャン、ゴメンってばぁ〜銀さんを許してくれよぉ〜」
「本当に、悪いって思ってます?いくら次元が違うとはいえ、他の女に現抜かした事悪いって思ってます?」
「思ってる、思ってるよ。本当に銀さんが悪かったって」
「じゃあ・・・―――キス、10回してください。そしたら許してあげます」
あれ?
このパターン、どっかで?
鞘花:『10回、キスして?』
鞘花ちゃんのフリ、リアルでキターー!!!
思い出したぞ。
そうだ。ゴリラがあのゲームをやってた時のことだ。
アイツがキャラの機嫌を損ねて、ご機嫌取りにキャラが要求してきたソレだ!!
可愛いあんな子がなんて大胆な事を・・・っ!!と思っていたし、羨ましいことしやがって・・・とも思っていた。
ていうか、何でがそんなセリフ知ってんだよ!!
やっぱりゴリラが一番の原因と把握。
とりあえず、あのゴリラ・・・三途の川にでも送ってやろうか。
「銀さん」
「え?」
の声で我に返る。
すると上目遣い(しかもちょっぴり涙目な感じ)で俺を見ている。
何だそのオイシイアングル。
目も潤ませているし、唇も悩ましげに小さく開いて、俺のキスを待っている。
だが、考えろ。
に10回キスをしてやりたいのは山々(むしろ襲って食べたいくらい)だが・・・如何せん、ガキ共が居る。
俺は流石に公衆の面前でゲーム画面に唇ちゅぱちゅぱさせる破廉恥なゴリラとは違う。
人が居る前、しかもガキ共の前じゃ・・・それも出来ん。
しかし此処で、の機嫌を損なえば・・・破局は確実。
ガキ共の前でキスをするか、それとも破局の道を選ぶか・・・二つに、一つ。
俺は今、まさに・・・究極の選択を強いられている!!
「あ、タマゴ切らしてたんだった」
「あ、酢昆布切らしてたネ」
「銀さん。ちょっとタマゴ買ってきますね」
「銀ちゃん。ちょっと酢昆布買ってくるネ」
「「留守番ヨロシク」」
俺が究極の選択をしている最中。
新八と神楽は、あたかも平然を装いながら部屋を出て行った。
そんな2人の行動に俺は呆然としながらも瞬時に我に返り、を見ながら頭を掻く。
「ったくよぉ。んで、おらぁ何すればいいんですかお嬢様ぁ?」
「キス、10回です」
「10回ぃ?おいおい、10回と言わず」
そう言いながらゆっくりをソファーに押し倒し――――――。
「体中にキス、のほうがいいんだろ?なぁ、?」
「銀、さん・・・あ、あの、別にそうじゃなくても・・・っ」
「あれぇ?緋色チャンは10回キスしないと俺のこと許してくれないんでしょぉ?
だったらさせてよ〜・・・10回と言わず、いくらでも。が許してくれるなら何べんでも、何処でもしてやるぜ、おらぁよぉ」
それに、キス10回じゃ、お前への愛は・・・足りねぇよ。
「さぁて。ガキ共が帰ってこねぇうちに・・・おめぇにもういっぺん教え直したほうが良さそうだな。
触れられない愛よりも、触れて感じ合う愛がどんだけイイのかを。その体にたっぷり教えこんでやるよコノヤロー」
じゃあ、イこうか。
次元の違う愛に負けない、俺とお前だけの次元−愛と快楽の場所−にさ。
愛のカタチは、人それぞれって事で。
(触れれない愛も、触れれる愛も、人それぞれの愛のカタチ)