「うぉーい〜・・・今日非番だろぉ〜?銀さんとおデート」





「あ、銀さん」








とある日。

今日がの非番の日というのをどっかで把握し
俺はフラフラとアイツの家にやって来た。

やって来るやいなや、玄関先で小袖を着たと、ん家のババァ、そして客人らしき女が居た。


しかも、の腕には赤子が抱かれている。






「あ、悪ぃ・・・客来てたのか」


「いいんですよ。私のお客というか、ばぁやのお客さんですから」





そう言うとは腕に抱いていた赤子を客人の女に渡した。
どうやら赤子はその女の子供らしい。

まぁそうじゃないと激しく困るがな。

いつの間にが俺の子供産んだよ!?って一瞬驚いたし
もしかして隠し子!?なんて考えもした。


赤子を女に返し、は俺の所にやってくる。





お嬢様どちらへ?」


「どちらも何も銀さんと出掛けるのよ。ね、銀さん」


「そういうこったババァ。ちょっくらお嬢様借りるぜー。
ちなみに今日はをウチにお泊りさせる予定だからな。帰さねぇかんな、明日朝帰りさせてやっからな」


「ぎ、銀さん・・・っ!?」


「何を言うか天パ!!その首跳ねたろか!!」







ババァの声から逃げるように俺はの手を握り、その場から離れた。


家から少し離れ走るのをやめて俺達は歩き始める。








「もう。そうやってばぁやを刺激しないでください」


「だってさー・・・チャンとラブラブしたいんだもん銀さん。中学生みたいな
手を繋いで何処其処行くだけじゃつまんねぇだろ?俺とお前は大人の恋愛してんだ、ガキの恋愛とワケが違ぇんだよ。
大人の恋愛は夜のアッチも含めて初めて成立するんだ。というわけだから、今日はウチに泊まりなさい。
銀さんと、銀さんの息子の相手をしなさい」


「お、お昼時にそういう話やめてください・・・すごく恥ずかしくて不謹慎です」








は俺の話に顔を真っ赤にさせながら答えた。

ホント・・・はこういう、アッチ系の話になるとすぐ顔が赤くなる。
其処が可愛くてたまんねぇんだけどさ。


もっとイジメてやりてぇが、それは夜のお楽しみとしてとっておくことにした。


今じゃなくてもをイジメる手段はいくらでも考えつく。
それに夜、俺の部屋でイジメまくった方が楽しみがいもあるってもんだ。








「つーか・・・さっきの赤ん坊。ありゃ、あの女の子供か?」








悶々とした考えを張り巡らせながらも、俺は先ほどの光景に話を切り替えた。








「はい。あの人はご近所さんで、先月子供が産まれたばっかりなんです。
ばぁやに子育ての事とか聞きに来てたらしく、無事に産まれたことを知らせるために
赤ちゃん連れて家に来たんですよ」


「成る程な」


「抱っこしてみませんか、って言われて正直焦りましたよ。赤ちゃん抱っこしたこと無いからすっごく緊張して」


「そらぁ誰だって赤ん坊を抱き上げるのは緊張するさ。ガキとか大人抱き上げんのとワケが違うからな」


「そうですよね」






俺の言葉にはクスクスと笑っていた。



ふと、思い出す。
さっきが赤ん坊を抱きかかえている時の事を。




俺の目に飛び込んできたのは―――――。










産まれてきた生命を、優しく包み込む”母“のような表情をした女−−の姿を。










女っていうのは、本当に不思議な生き物だっていつも思う。




幼く、愛らしい表情をしたと思ったら
剣を握り悪を薙ぎ払う、勇ましい表情もするし
急に女らしい表情になって、男に抱かれると艶やかな姿さえ見せる。


そして、赤子を抱きかかえた時
其処にいるのは・・・愛らしい女の子でも、艶っぽい女でもない。






慈愛に満ちた「母」という存在になる。






のその姿に、俺の心臓は思いっきり跳ね上がった。



ガキのコイツでもそんな表情をするんだ、って思うと
本当に女っていう生き物は恐ろしい存在なんだと実感する。








はさぁー」



「はい?」






声をかけると、が顔を上げ俺を見る。








「赤ちゃん欲しいなぁ〜って思ったことある?」



「え?」








俺の質問にアイツは目を見開かせ驚いていた。

そらぁ、びっくりするだろうよ。
何せ言い出したのは俺だからな。


俺からそんな言葉が出てきた日にゃ、何か考えてるとしか思われてもおかしくねぇからな。







「まぁ・・・今はそういうの考えてませんけど」



「けど?」









の言葉が其処で止まる。

ふと、目線を落とすとほのかに赤く染まっている頬。
そして視線を合わせきれないのか泳ぎまくる目。


あ、ヤバイ。

そういう表情マジで可愛いんですけど。











「い、いずれは・・・欲しい、かなぁ〜・・・って、思って・・・たり」



「へ?」









え?

ちょっと待って。




それって・・・それって、つまり・・・!!!


のしどろもどろな返答に
俺の心臓が有り得ないくらい動きまくってます!!


自分の体温も平熱以上の熱持っちゃってます!!



ついでに・・・こ、股間までも色んな意味で危険領域突入しちゃいそう・・・!!




すると、は躊躇いながらも俺の手を握ってくる。






、チャン?」






あまりにも、頭の中で処理ができなくなり
手を握ってきたに裏声で声をかけてしまった。









「ぁ・・・あの・・・今は別に、いいんですけど・・・その・・・す、好きな人の子供を産めたらいいなぁって
私がそう思ってるだけで・・・ぎ、銀さんがどう思ってるとか・・・あの、その・・・っ」







顔を真っ赤にして言葉を探しているを見て
俺は頭を掻きながら、握ってきた手をアイツの手を握り返した。







「好きな男の子供産めた女は幸せもんさ。産まれてきたガキに女はたくさんの愛情を注ぐんだ。
男放ったらかしても、女はガキを育てるんだよ。好きな男との間に出来た子供なんだ。
色んなもん擲(なげう)ってでも・・・守らなきゃいけぇね大切なモンだ」



「銀さん」



「でも、ガキばっかりに構うのもいいがたまには男にだって構って欲しい時が
あることだけは覚えといて欲しいところだぜ。なーんかそれだったら寂しいじゃん!相手して欲しいじゃん!!
だって俺の女なんだもん!!構って欲しい時だってありますよ!!
息子が産まれようが、娘が産まれようが、男は自分の下の息子にも構ってほしい時だってあるんだからな!!」




「もう・・・最初の言葉、ぶち壊しですよ銀さん・・・フフフフッ」







力んで言うと、はクスクスと笑い始めた。

ムードぶち壊しだって?


それくらい分かってらぁ・・・でも、世の中子持ちのお父さん達が思うことを代弁してやったまでだ。





俺だって・・・俺だって、いずれ―――――。











が、俺の子供産むって言うなら・・・おらぁ我慢でも何でもしてやるよ」



「ぎ、銀さん・・・っ」










お前がこの世に産み落とす、俺達の間にできた新しい生命をお前と一緒に抱きしめたい。










「つーか・・・いずれ〜とか、そのうち〜・・・じゃ、遅ぇような気がする」



「え?」



「もう、いっその事・・・今から」



「?」

























「子作り、しちゃう?」


「え!?そ、それはマズイですって!!で、できちゃった婚とか本気でヤバイですから銀さん!!」


「できちゃったー!って言えば、俺達ゴールイン出来る!!ヨシ、今から行くぞ!!
俺達が子作りに励めるラブラブするお部屋に〜」


「ふ、不謹慎極まりないですよ銀さん!!お、お昼からそんな・・・っ!!」





そう言いながら俺はの手をグイグイと引っ張る。

もちろんのこと、が此処で抵抗するのもお約束。






「だってぇ〜銀さんの股間、さっきのチャンの発言でもう爆発寸前なんですぅ〜。
どーしてくれるんですかぁ〜?爆発寸前の爆弾ぶら下げたまんまデートなんかできませぇえーん!!
爆発するならチャンのナカで爆発したいんですよ銀さん的にぃー」


「公道で白昼堂々そういう卑猥な発言やめてくださいってば!!」


「下ネタなんて銀魂的お約束なもんだろ?それとも何か?白昼堂々、道端で銀さんに犯されたいんですかコノヤロー。
あ、それはダメだな。イヤラシすぎるのエロ顔を他人に見せるわけにはいかん」


「どっちにしろダメですよ!!何言ってんですかアンタ!!」


「あ〜ん・・・もう我慢できねぇ!!」


「ちょっ、きゃっ!?」







そう言って俺は握っていた手を引っ張りを自分の元へと引き寄せた。

腰を掴んで完全ホールド!!逃がしませんよ。







・・・好きな男の子供産みてぇんだろ?」


「でも、まだ・・・っ」


「まだなんて言ってたら、何年後になるか分かんねぇだろ?おらぁそんなに待てる人間じゃねぇんだよ。
今からたっぷり、愛しあおうや・・・なぁ、お嬢サマ」


「銀さん・・・ズルい」


「ズルい男に引っかかるおめぇが悪いんだよ。行くぞ」








そう言っての手を引っ張り、さて・・・俺達は何処に行ったでしょ〜か?







産まれてきた生命に、今日も乾杯!
(俺もおめぇも、これから産まれる生命も幸せであらん事を願って) inserted by FC2 system

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