どぉおぉおん!!



「?!な・・・な、んだ・・・・・・・・・





屯所の縁側で刀を手入れしていると
隣から凄まじい音が聞こえてきた。

思わず隣を見ると、ダンボールの箱が3つ。
それを運んできたのは部下であるだった。






「びっくりさせんな。つか、何だその箱は」



「マヨラーには大好物なマヨネーズです」



「はぁ?」



「土方さんマヨネーズ好きなんでしょ?」



「ま、まぁな」






が運んできたダンボールの中はどうやらマヨネーズらしい。
まぁ箱に描いてあるマークからして、俺の好きなメーカーのマヨネーズだ。





「実は先日、うちのクソババァがどういうわけか4箱もマヨネーズ買ってしまって処理に困ってるんです」



「俺は廃棄物処理扱いか」


「捨てるよりかマシだと思います。ぶっちゃけ4箱もいらないんですが、1箱は流石にいると思って。
ですので、3箱は土方さんにあげます」


「いいのか、もらって」






どういう風の吹き回しとか思っているが
に総悟ほどの殺意はない、むしろコイツは俺を慕っているとか、どっかのやつから聞いた。

コイツが俺を襲う時は大抵、コイツがブチ切れしたときだけだ。







「毒なんて入ってませんよ。総悟じゃあるまいし」



「だよな」



「日頃のお世話になっているお礼です。どうぞ」



「おめぇがそういうなら・・・ありがたくもらっとく」



「まぁ土方さんの事ですから、半月で使い果たしそうですね・・・3箱とか半月で余裕でしょ」






嫌味なのか褒めてるのかどうか、分からんが(いや完全にコイツも嫌味だな)。

日頃のお世話・・・とかそんな事してるつもりはないんだが
まぁコイツがそう思っているのなら、ありがたく受け取るべきだ。







「じゃあ、それだけだったんで」



「お・・・おぅ」






そう言って、用件だけ済ませたは踵を返し俺のところから離れていく。
だが、すぐさま立ち止まり再びコッチに戻ってきた。





「すいません、渡し忘れてたものがありました」



「あ?」





すると、今度はが胸の懐辺りから何かゴソゴソと動かし探しあて
俺の目の前に差し出す。

差し出されたのは・・・一つの紙袋。





「んだよ、コレ」



「マヨネーズを大量買いしたら貰ってきたそうです。このメーカーの新製品だとかで」



「マジでか!?」



「はい。試作品ですがよろしければどうぞ、とのことです。ついでです、あげます」






はそれを俺に押し付け「では」と言って、その場を去って行った。
俺は紙袋を開けると、たしかにまだパッケージの付いていない、マヨネーズが入っていた。

あとで飯に大量にぶっかけて食べるか、いやそれともそのままちょっと味見してから試すか・・・などと
脳内で思案を繰り広げていた。








「おー、トシ!此処に居たか!」



「近藤さん」






思案を繰り広げている最中、近藤さんがやってきた。





「ん?何だ、そのダンボール?」



が俺にマヨネーズの処理を頼んだんっすよ。アイツんちのババァが余計に買っちまったとかで」



「・・・・・・ははぁ〜ん・・・なるほど」



「近藤さん?」






今しがた起こった事を近藤さんに話すと
その人は何やら気色悪い笑みを浮かべ俺を見ていた。





「おめぇ・・・今日覚えてねぇのか?」



「何が?」



「誕生日だろ、トシ」



「・・・・・・あ」






近藤さんに言われて気づいた・・・そういえば、今日誕生日だった。





「え?じゃあ・・・のヤツ」



「まぁマヨネーズの大量買いはどうか分からんが、確実におめぇへのプレゼントだろうよ」







日頃のお世話・・・とか言ってる割に、突発的過ぎるとは思っていた。
だが、そうじゃなかった・・・アイツはやっぱり、何かと気がつく。

俺の知らないところまで、手が回る・・・優秀な部下で――――――。









「ホント・・・あんなの嫁さんに貰った男はさぞ幸せだろうよ、なぁトシ」



「完全に俺と万事屋を対峙させたいんすか近藤さん」



「悪ぃ悪ぃ。・・・でも、そうでもしなきゃ・・・は手に入らねぇぜ」



「・・・・・・・・・」







俺はもう一度紙袋を見る。

新製品のマヨネーズ・・・・・・と、気づいたが何か紙切れが入っていた。
俺はそれを中から取り出し、開いた。







「・・・・・・フッ」




「トシ?どうした?」




「いや、何でも。近々万事屋のヤローとケリでもつけようと、思って」




「えらい行動が早いな」




「早い方が、その分・・・アイツを嫁に出来るんだろ?」



「かもしれねぇな」






「まぁせいぜい考えろよー」と近藤さんは言って、その場を去って行った。
俺は新製品のマヨネーズのキャップを開け、それを直接口に咥え吸い込んだ。


マヨネーズと一緒に入ってた、紙切れ。それは――――。



















『お誕生日おめでとうございます。これからも貴方の背中を守らせてください   














からの手紙だった。




気づいたら、新製品のマヨネーズを吸い尽くして空にしていた。

味・・・覚えてねぇよ。
そんなの、この手紙の事で頭いっぱいで忘れてた。


一つだけ覚えているのは―――のように、柔らかくそして繊細だという事。











「背中じゃたんねーよ・・・おめぇは俺の全部を守れ。俺も・・・おめぇの全部守ってやっから」








守るくらいなら、背中じゃ足りるか。

守るんなら、俺の全部を守れ。


その代わり、俺もお前の全部を守ってやる・・・心ごと、全部だ。




誕生日プレゼント、ありがとうな・・・・・・。俺の唯一愛しい人。






小さな所から実はが生まれていたりする
(マヨネーズの中に、小さな愛を。お誕生日おめでとう!)

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