かぶき町中の人間の性別がひっくり返って、俺は女になった。
そして―――――。
「何か、私まで性別ひっくり返っちゃったみたいなんですよ・・・銀さん」
俺の可愛い彼女が・・・カッコいい彼氏になっていた。
「気付いたら、何か私・・・男になってて。
ただでさえ無い胸がまな板になったのかと思ったら、下に何か・・・異様なモノが付いてて。
思わずびっくりしてトイレで叫んじゃいました」
「そらぁびっくりするだろうよ。の股間に、普段ありもしねぇ棒が付いてるんだからよぉ。
俺だってびっくりしてるっつーの。俺の胸に、何かすっげぇ脂肪が付いてて
何かなぁーって揉んでみたら、いつも揉んでるチャンの胸っぽいのが俺のに付いちゃってたんだから。
股間だってさぁ、ボックスドライバーになっちゃうような銀さんの息子が居なくなったかと思ったら
最近見ないの下のお口が付いてたから、のだと思って興奮して銀さん鼻血まで出しちゃったんだよコレェ」
「あの、何処をツッコんでいいのかわかりませんけど・・・銀さん、恥ずかしいです色々と」
俺とは万事屋で互いの性別がひっくり返った事に驚きつつ
和室で向かい合いながら話をしていた。
俺は胡座をかきながら腕を組み、目の前で正座しているを見た。
長いロングヘアーも、今は肩まで短くなったセミロング。
普通のロン毛なら鬱陶しくて見れたもんじゃねぇが
の元の作りがいいのか、それが許されるものになり。
目は普段クリクリと愛らしいはずが、今となっては男らしくキリッとしたモノだった。
確実に、どこからどう見ても――――コレは”イケメン“と呼ばれる類に匹敵するものだ。
いつもは可愛くて美人な彼女も、性別がひっくり返ればイケメン彼氏になるらしい。
「ぎ、銀さん」
「あ?」
「一応、今は女の子なんですから胡座かくのやめましょう」
「いーじゃねぇかよ。俺の体だしぃ〜俺がどんな格好しようが俺の自由だしぃ〜」
女の姿で胡座をかいている事にに注意されたが、コレは俺の体だ。
何したって構わないじゃんか!!
胡座かこうが、鼻くそほじろうが、何しようが俺の体で俺の勝手!
の声を他所に俺は鼻くそをほじる。
「あ、あの銀さん」
「あー?今度は鼻くそほじるなーとか言いてぇの?」
「違いますよ!そ、その・・・胸、おっきぃなぁって思って」
「へ?」
が俺の胸のデカさに
視線を逸らし頬を赤らめながら言ってきた。
ふと、自分の胸元に視線を移し、に戻す。
しかし、のヤツは未だ俺から視線を逸らしたまま。
俺はニヤリと笑みを浮かべながら、の元へ行く。
「チャンは〜こういう胸のおっきい子って嫌い〜?」
「え?あっ、ち、違っ・・・な、何女の子っぽい声出してんですか銀さん!?」
「チャン顔あっか〜い。かっわいぃ〜」
「ふ、ふざけないでくださいよ銀さん!!」
わざとらしく女みたいな声でに近付き
アイツの首に自分の腕を絡ませて、抱きついた。
近くで見ると、の顔はますます男っぽく・・・ソソられる。
顔を赤らめて抵抗するに俺はクスクスと笑ってしまった。
「、触ってもいいんだぜ?どーせそのうち元に戻るもんなんだしよぉ。
この際触ってみるのもいいんじゃねぇの?」
「で、でも・・・っ」
「その代わり・・・俺も見せてほしいなぁ〜」
「へ?」
そう言いながら俺はの股間に手を伸ばし――――。
「の股間にぶら下がってるチンコ、見せて」
「何アンタ平然と女になってもそんな事言ってんですか!!」
「おいおい。俺だって一時ではあるけど貴重で豊満な胸触らせてやろうとしてんだ。
いいじゃねぇか、チンコ見せるくらい。つーか見せろ。まぁ、女のお前が男になったんだしぃ〜。
大したデカさしてねぇだろうよ。いいよそれで。銀さんぜーんぜん気にしないから」
「アンタが気にしなくても私が気にします!!ていうか、見せませんよ!!」
「いいじゃんか!!ホラ!ズボン脱げ!パンツ脱いでチンコ見せろ!!」
「ふざけんな変態!!」
のズボンを引っ張って、何とかの股間に
ぶら下がっているモノを見ようと試みるも、やはり相手は女。恥ずかしがって当然だ。
しかも、普段の口から出ない「変態」という言葉を聞いて若干心にダメージが来た。
これ以上無理強いをさせると次に何言われて心が折れそうになるか分からない。
Sは打たれ弱いからな・・・。に言われた日にゃ立ち直れねぇかも。
「ヨシ・・・分かった。ズボンとパンツは脱がなくていい」
「あ、ありがとうござ」
「でもちょこっとだけでいいから、ホント見せて。ねーー銀さんの一生のおーねーがーいー」
「アンタいい加減に懲りろよ。・・・ったく、ホント・・・少し、だけですからね」
そう言うとは恥ずかしがりながらも、ズボンのベルトを緩め
センターホックを取った。
俺は高鳴る胸を抑えつつ、布地の隙間からその中を覗いた。
覗いた瞬間、硬直。
「・・・・・・」
「ぎ、銀さん。あの、もういいですよね」
「んで」
「え?」
「何でおめぇは元は女なのに、男になった途端俺よりチンコでけぇんだよ!!」
見た瞬間、背筋が凍った。
元はは女だ・・・ああ、そうだよアイツは生物学上女っていう生き物さ。
それだというのに、性別が逆転した途端男になり、イケメンになった挙句
男の一番大事な部分が俺よりもデカイというのを主張していた。
「し、知りませんよそんなの!!ていうか、銀さんだって私の胸より大きいです!!
別に触ろうだなんて思ってませんよ!!何か腹立ってるんですよ私のより大きいから!!
やっぱりそれくらいのサイズが好きなんですか!?それくらいのサイズが良いんですか!?」
「知るかぁぁあ!!ぶっちゃけこんなでけぇ胸いらねぇよ!!何で女ってこんなのが胸に付いてんだよ!!
こんなでけぇの、肩は痛ぇし、走ると邪魔になって仕方ねぇよ!!これだったら、よっぽど
神楽やお妙くらいの大きさのほうが全然マシだっつ―の!!」
「胸で痛いだ何だの言って・・・女の苦労を知れ天パ!!」
「チンコのちっせぇ男の気持ちも考えろよクソガキ!!」
売り言葉に買い言葉。
酷い言い争いは多分、万事屋の外にまで響いているはず。
此処に神楽や新八が居なかっただけでも幸いだと思う。
ひとしきり、言い合って、にらみ合い―――――――。
『プッ・・・アハハハハハハ・・・・・!!』
ちゃんちゃらおかしくて、笑いあった。
「結局、おめぇも俺も、なーんかくっだらねぇ事で喧嘩してんな」
「元に戻ったらお互い気にしなくなるのに、変ですね」
「いつもと扱いが違ぇからじゃねぇの?」
「あー、それもそうですね」
性別が逆転しているから、妙な違和感を感じていた。
それは俺もも、同じように。
「なぁ」
「はい?」
「仲直りと言っちゃなんだが・・・せっかくお互い、性別ひっくり返ってるわけだしさぁ〜・・・お互いの体のイイトコ、教え合わねぇ?」
「え?」
俺はニヤリと口端を上げ、笑みを浮かべ再び
の首に自分の腕を絡ませて、目線を合わせた。
すると、は少し目を泳がせながらも
俺と視線を合わせる。
「誰も、帰ってきませんよね?」
「だーいじょうぶだって。新八も神楽も帰ってこねぇように鍵閉めといたから」
「銀さん・・・もしかして、最初からコレが狙いだったんですか?」
「んー?何のことかなぁ〜?銀子さんわかんな〜い」
「貴方って人は・・・性別ひっくり返ってもズルい人ですね」
「そういうチャンは性別ひっくり返ったら、余計銀さんをソソらせるフェロモン撒き散らしちゃってイケナイ子だな」
「ズルい男の人の体とやら・・・教えて下さいね」
「イケナイ女の子の体とやら・・・教えてほしいなぁ」
見つめ合って、後はもう何も言わず。
互いの知らない世界−体−を教えあい、感じ合うのだった。
未体験未経験領域
(性別ひっくり返っちゃってさぁ大変)