俺は今、川原で探している。
あるものを。
見つかりっこないって誰もが口をそろえて言いやがる。
だって1万分の1とか、有り得ない数に近い。
だけど・・・―――――。
「(好きな女の笑顔見たさに探しちゃ悪ぃかよ)」
数分前に、アイツがババァの店にやってきて
神楽に花の冠渡して、そんな話をしていた。
いや、冠じゃなくて・・・四つ葉のクローバーの話。
たまが言うには1万分の1とかすっげぇ低い確率の話だった。
自動車事故で死ぬ確率もおぞましいけどな。
(でも、チンコの勃起した時の長さの確率は正直聞いてみたかったのは内緒)
だから、俺は探している。
大好きな女の笑顔が見たくて。
アイツをもっと、幸せにしてやりたくて。
――――ガサガサガサ・・・。
「見つからねぇな。・・・お!コレか?」
つまんで取り上げた、ソレは・・・三つ葉。
「違ぇし!」
手に持っていたモノを放り投げ、俺は見つからない苛立ちからか
三つ葉のモノを摘んで口に咥えぶらぶらと上下させる。
正直見つかりっこねぇって分かってる。
分かってはいるんだ・・・だけど。
『 銀 さ ん 』
何でだろうな。
アイツの笑顔が見たいだけなんだよな、おらぁよォ。
「・・・・・・」
頬が赤く染まるのが手に取るように分かった。
惚れた弱み、なんて最初から分かりきっていたことだ。
頭を掻いて、気を紛らわせる。
「やるか」
そして再び俺は四つ葉を探し始める。
見つからないと分かったらあっちこっちの川原や公園、草の生えている所全部を駆けずり回った。
おかげで随分と服が汚れちまった。
もちろん、頭も顔も泥だらけ。
だけど、自分が汚れてでも大切なヤツの笑顔見たさにそれは平気でやれることだ。
「・・・!」
地面を撫でるように探していたら・・・どうやら、この大博打は俺の勝ちらしい。
探して、探して。
自分が汚れてでも、探しまくって。
幸せなんて、掴むもんだ。
だけど・・・俺の幸せなんて、いつだって、どこだって――――――。
「見つけてやってぜコノヤロー」
『銀さん、大好きです』
すぐ側にあった。
だから、そういうことには困りはしねぇさ。
コイツ―四つ葉のクローバー―が、手に入って
離れられない幸せ掴んでやったんだからよぉ。
1万分の1の大博打の行く末は?
(この博打、俺の勝ちだぜ)