「新八様、神楽様」


「あ、たまさん」
「どうしたアルか、たま」


「お二人に折り入ってご相談があります。私と一緒に源外様の所に付いてきてもらえないでしょうか」


「「?」」




たまは早速行動に出たのだった。

白血球王の恋を叶える為に。























「いや、あのだからって・・・なんでまた、僕たちたまさんの体の中に入ってるんですか?」

「源外のジジィのトコ、行ったかと思ったらあの大槌で一寸法師化ネ。どういうことアルか、たまぁ〜?」




新八と神楽は源外のからくり堂へ行くや否や
すぐさま[打ち出の大槌Z]の餌食に遭い、一寸法師化。
そしてウィルス退治をした時同様たまの体の中に入らされたのだった。

しかし、今回はたまの体内は至って正常状態。

悪いところは見当たらないのに、なぜ自分たちがまたしても一寸法師化されなければ
ならないのかと新八と神楽は思いながら
相変わらずドット化したたまに言う。






『申し訳ございません。とりあえず本人に会うためにこのような手段をとらせていただきました』


「本人って・・・一体、誰を」


「あー!・・・新八、アレ!!」




すると、神楽何かを発見。新八も神楽が声を上げた先を見る。
其処には白い服装を身に纏い
更に白いマントを翻し、後ろに剣を携えた白血球王の姿があった。




「貴様ら」


「白血球王さん」
「おい、お前〜元気にしてたアルか〜?」




白血球王を見つけると、二人は揃って彼の元へと走っていく。
突然の新八と神楽の登場に白血球王は少々戸惑い気味。







「どうして此処に?」


「いえ、実はたまさんに連れてこられて」


「たま様に?」


「あの、何かあったんですか?また悪いウィルスたちがたまさんの体の中を蔓延っているんですか?」


「何かあったんなら言ってみろヨナ。私たちでよければ手助けくらいはするネ」


「貴様ら」




新八と神楽の言葉に白血球王は胸を打たれた。




『白血球王』


「たま様」



すると、ドット化したたまが白血球王に近づく。






『お二人にも、あの話を』

「し、しかしっ!」

『白血球王・・・・・・私たちは友であり、仲間です』

「たま様」






たまの言葉に動かされたのか
白血球王は目を閉じて新八と神楽を真剣な眼差しで見る。

彼の真剣な表情が伝わったのか、新八と神楽も顔を引き締めた。





「実は・・・・」



「はい」
「何アルか?」
























「俺を様に逢わせてくれ!」



「「は?」」





白血球王は頬をほのかに赤く染めながら、新八と神楽に言った。

重大な事件のあらすじか、それとも危険な仕事の依頼か?と
二人は思っていたが、彼の口から出てきた言葉に目が点になる。

白血球王は言ったことを告げると、まるで恥らう少女のように顔を手で隠し
物陰に隠れてしまった。





「え?・・・ナニソレ?てか何か恥ずかしがってるよあの人」

「意味不明すぎるネ?意味不明すぎてどこ突っ込めばいいか分からないアル」


『彼が言ったとおりのままです』


「たまさん」




ちんぷんかんぷんな状態で居ると、たまが二人に近づく。





『白血球王が言ったとおりのまま、彼は様にお逢いしたいのです』


「逢いたいも何も。・・・・ていうか、さすが銀さんのデータで出来てるだけありますね。
まさかあの人までさんのこと好きになるとか」


「好きになる相手まで一緒とはびっくりネ。さすが性格以外は銀ちゃんのコピーアルな」


「だよね。でも銀さんあんなに恥らわないよ」


「まるで未○年の主張で屋上から大好きな女の子に告白した男みたいネ。銀ちゃんがあんな風にしてたら気持ち悪いヨ」


「確かに」















〜一方、万事屋では〜




「ぶえっくしゅん!!」


「銀さん、風邪ですか?」


「誰か噂してんだろ・・・俺男前だから」


「はいはい」


「あ、でもぉ〜俺がいくら男前でもチャンっていう大事な彼女がいるからね」


「はいは・・・って何言ってんですか!?」


「あら、ちゃん顔真っ赤にしてかっわうぃ〜」


「やめてください銀さんおっさんクサイです」


「ちょっとぉ!?」




















「あんなおっさんと比べたら、白血球王さんの方がまだ好青年に見えるよ」


「同じ人間から出来てるのにこんなに違うとはナ」




銀時が居ないことをいいことにぼろくそに言いまくる新八と神楽。


彼が銀時のコピーであることは変わりはないのに
どうしてこうも白血球王という男は、あの銀時に似ていないのだろうと
彼らは心の中ひそかに思っていた。






「とりあえず、白血球王さんはさんに逢いたいというわけですね」


「でもたまが見てるから、それでいいんじゃないアルか?」




「それじゃ・・・駄目だ」







すると物陰から、新八や神楽、たまに姿を見せず
震える声で白血球王が喋りだす。






「たま様の目を通し、耳を介し・・・あの人の声や仕草、姿を見てきた。だけど・・・それだけじゃ
俺の心の、この気持ちは抑えきれないんだ。あの人の、様の目の前に立って・・・自分の目で、あの人を見て
自分の口で、あの人と・・・話がしたい。・・・・・・俺は、逢いたいんだ、あの人に」



「白血球王さん」





溢れ出そうな恋する気持ち。

人間らしくなってしまったセキュリティソフトが
これほどまでに、1人の女性を、主人とは別の女性を心から想い、慕う気持ち。

今の彼は、”ソフト“ではなく”ただの恋する好青年“と言ったところだろう。





「だったら、此処に連れてくるカ?そのほうが手っ取り早いと思うネ」





すると、神楽名案を放つ。

が、しかし―――――。






「神楽ちゃん。さんを此処に連れてくるのは至難の業だよ。あの人は僕らと違って真選組の仕事があるし
それに、銀さんが・・・・・」


「あ・・・そうアル。銀ちゃんが厄介アルな」




新八の言葉に、神楽の名案がすぐさま崩された。





「此処に連れてこられないというのは、どういうことだ?」




すると物陰で今まで身を丸めていた白血球王が
言葉の意味を知りたく、物陰から出てきて新八たちの元へと戻る。





「あの人は真選組という、忙しい役職に就いてます。この世界で言う”勇者“みたいな人です」


「それはたま様から聞いている。しかし、なぜそこであの雑菌だらけの男が出てくる?
様とは何の関係もないだろうあの男は」


「それが大いに関係するんですあの人も」


「どういうことだ?」





新八と神楽は顔を見合わせ、白血球王を見る。





「銀さん・・・1日1回はさんと逢う事を自分の中で決めているんです」


「1日1回と言わず・・・もう銀ちゃんはストーカーの領域ネ。隙あらば偶然装ってに逢うようしてるヨ」


「正直あの人訴えられてもおかしくないんですよ。たまにさんの跡付けたりしてるし」


「銀ちゃん、のことになると凄まじいくらい独り占めしたがるネ。他の男と歩いてるのだけでも嫌って
この前私に愚痴零してたヨ。駄目アルなぁ〜・・・銀ちゃんも」


さんが忽然と町から消えてしまえば、それこそ・・・銀さんが血眼になって探すことになります。
あの人からさんを引き離すって言うのが半ば不可能に等しいんです」



「話を聞いてる限り、アイツこそが獏の塊そのものだな」




白血球王は新八や神楽の話を聞いて、つくづく自分は本当に厄介な男のコピーになったものだと思い
そしてその男の近くに居る彼女を好きになってしまったものだと思った。







『うぉ〜い、じぃさん。いねぇのか?』






「っ!?」


「この声は?!」

「銀ちゃんアル!」




すると、外から銀時らしき声が聞こえてきた。




『私、ちょっと見てきます』


「お願いします、たまさん!」




外から聞こえてきた銀時の声に、ドット化していたたまが
様子を見てくるといって消えていった。

消えていったと同時に、白血球王や新八、神楽の目の前にウィンドウが出てきた。
ウィンドウに移された映像はどうやら外の映像らしい。





「これは・・・源外さんお店の入り口!?」


「新八っ!銀ちゃんの隣っ!」


「隣?・・・・・あっ!!」




神楽が銀時の隣を指差す。

新八もそちらに目線を寄越すと、そこには―――――。





「白血球王さん!ホラ!さん、さんが居ますよ!!」


「何だと!?」





たまの目から映された風景。


からくり堂の入り口。
銀時の姿とその横に黒の真選組の隊服を身に纏ったの姿があった。

それをすぐさま白血球王に伝えると、彼はジッと画面に映し出されたを見つめる。






『何じゃ、銀の字と真選組のお嬢』


『新八と神楽しんねぇ?さっきから姿見えねぇんだけどさぁ』


『お登勢さんに伺ったら、たまが二人を連れて此処に行くと聞いたもので。心配になって探しにきたんです』


『おらぁ別に探さなくていいっつったのに』


『銀さん、そんなこと言わないでください。後々困るのは銀さんなんですから』


『へぇへぇ』





の言葉に銀時はつまらなさそうに答えた。

どうやら銀時的にはもう少しと二人っきりで居たかったと思われるような声だった。





『さぁな、此処には来てねぇぜ』





たまの存在がバレてしまえば、新八と神楽が彼女の体内の中に居ることが分かってしまうことを
勘付いたのか源外は普通の対応をする。




『だとよ、


『此処に来たってお登勢さん言ってたのになぁ〜』


『しょーがね、他探すぞ』


『あっ、ちょっと銀さん・・・手離してくださいよ!?なにちゃっかり握ってるんですか!?』


『何の話?あぁ、デートの話か・・・よしよし、じゃあ今から銀さんとデートだな


『違いますよ!新八と神楽を探しに行くだけですから!!だから手を離してくださいってば!!』


『恥ずかしがんなよ、嬉しいクセに』


『あ、あの違いますから!!とにかく離してくださいってば!』


『はいはい』




そう言いながら、銀時はやる気のない声を出しながらも
どこか嬉しそうにの手を握り、からくり堂を後にした。


そして外の映像を映していたウィンドウが閉じた。






「あからさまに自分のモノアピールしてるよ銀さん」


「アレこそみっともない大人の象徴ネ」


「白血球王さん・・・あんなんでも、さんに逢いたいですか?」




新八は心配そうに白血球王を見る。







「俺は・・・それでも逢いたい」


「恋する人ですね、貴方も」


「え?」


「銀ちゃんよりもずっと大人ネお前」





白血球王は新八と神楽の言葉に顔を上げ、二人を見る。





「僕らに何が出来るか分かりませんが、お手伝いさせてもらいます」


「恋する男の願いくらい万(よろず)のうちに入るネ」


「しかし、俺は・・・っ、人間じゃない・・・ただの、ソフトだ」





自分が人間ではなく、セキリュティソフトであること。
そして彼女に逢うのは無理だということを・・・憧れ、慕い続けることは出来ても
逢うことができない歯がゆさに、白血球王は唇をかみ締めた。





「ソフトだろうと、クリームだろうと、恋をしたらみんな同じです。僕らの力は
非力かもしれませんが・・・出来る限り、貴方がさんに逢えるよう努力してみます」


「そうネ!恋をしたら、みんな関係ないヨ!ソフトもハードも、皆同じアル!
お前、に逢いたくないのカ?」


「俺は・・・」






神楽に手を握られ、白血球王は躊躇うも・・・息を飲み込み――――。








「逢いたい・・・様に、俺は・・・・・・逢いたい」




「その気持ちがあれば十分です」

「そうと決まれば作戦会議ネ!」

「うん。まずは白血球王さんがどうやってさんに逢うかを考えなきゃね」

「銀ちゃんには黙っておいたほうがいいアルな。知られたら厄介ネ」




新八と神楽はあれやこれやと、二人で話し合う。
そんな二人の姿を見て、目を見開かせながら呆然と見つめる白血球王。





『安心してください』


「たま様」




すると、外の様子を見に行っていたたまがドット化したまま戻ってきた。




『私も貴方の願い、叶える為に頑張ります。貴方のために』


「たま様・・・・・ありがとう、ございます」




そう言って、白血球王は笑みを浮かべ
ワイワイと作戦を考える新八、神楽を見つめた。







恋する気持ちに境界線はありません!
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