「銀さん・・・僕らだけ扱い酷くないですか?」
「しょーがねぇだろ。男の着替えに女は手伝いたくねぇんだよ」
夏祭り当日。
非番のに連れられてやってきたのはの家。
自分と神楽が浴衣というのはなんだか不自然という言葉に
「父の浴衣があったんで、着てください」と言われ、邸にやってきたんだが――。
『坂田様と志村様はご自分でお着替えください。亡き旦那様の浴衣・・・・・汚すんじゃねぇぞ』
別室に着くや否や、置いてあったのは沢山の男物の浴衣一式。
其処に案内されんちのババァに「自分たちで着替えろ」と言われ
俺と新八はしぶしぶ浴衣を選んで自分たちで着替えていた。
「まぁ女の子って、男と違って着替えるの大変ですからね」
「柄ばっかじゃねぇか。てか、俺が期待するのは一つだ」
帯を締めて、着替え完了。
同じように新八も着替えが終わり、外へと出る。
「何を期待してるんですか銀さん?」
「そらぁもちろん、アレだろ?」
「が浴衣着て、ノーパンだっつーの、ゴボッ!?」
「アンタなんつー妄想してんだ!!」
銀さん、新八から蹴りをくらい・・・100のダメージ。
いや、男が期待するのは其処だ!
だって浴衣だぜ?普通の着物と違うんだぜ?
生地薄いのよ?生地薄くて、下着とか肌着とか見えるのよ?それ隠すって難しいでしょ?
男が股間にぶら下がってる息子を隠すのと同じように
女だって胸やらなにやら、男より隠す場所多いんだよ・・・それ期待しないほうがおかしいだろ!!
「銀さん・・・最近そればっかりですね。妄想が酷いです」
「暑さで脳みそおかしいんだよ」
「いや、あんたの脳みそは元からおかしいよ」
「うっせぇーな!いいだろ!!妄想は自由なんだしぃ〜!」
「妄想が行き過ぎるとアンタの場合、危ないから言ってんだよ・・・大体ですね」
「ひゃっほーい!涼しいアル!!浴衣可愛いネ〜!!」
新八から相変わらず説教を食らってる最中。
廊下を凄まじい速さで走ってくる神楽が俺たちのところに喜びながらやってきた。
淡いピンクに黒の桜や、桃色の牡丹、赤の撫子。
帯も着物に合わせてかピンク色。
子供用のクセにイイ柄持ってんのな。
「風流だな〜神楽」
「神楽ちゃん、可愛いよ。よかったね」
「うん!、そんなに持ってない言ってたケド、沢山持ってたヨ!」
「くぉらぁぁあクソガキィィイイ!!走り回るなって言ってんだろー!!」
すると廊下の向こうから、神楽を追いかけてかババァが凄まじい形相で追いかけてきた。
「煩いネ、クソババァ」
「このガキッ」
「ばぁや。その辺にして」
ババァの後ろから聞き慣れた声が聞こえ、俺は一瞬息を呑んだ。
の浴衣姿・・・超綺麗。
淡いブルーの生地に紫桜が舞い散って、濃紺の帯を巻いたが現れた。
しかも髪の毛・・・後ろで束ねてあるし、うなじがすっげぇソソられる。
か、噛み付きたい・・・あのうなじ!!
神楽の行動に憤るババァの肩を叩いて静止をさせる姿とかさぁ・・・美人としかいいようないぜ?
「神楽・・・そんなに動き回っちゃだめよ。浴衣は着物と違うんだから」
「そうなのカァ?」
ババァの横を通り過ぎて、神楽のところにやってきた。
神楽が俺らの近くに居るから
近づいてきたとき余計、の姿が目に飛び込んでくる。
やばいです・・・ムラムラします、が可愛すぎて!
「素材が違うからね。すぐ着崩れしちゃうのよ、激しく動いちゃ駄目」
「うー・・・分かったネ」
は神楽の少し着崩れした浴衣を丁寧に直した。
傍から見れば可愛らしい姉妹で、は神楽の姉ちゃんみたいで。
俺はそんな姉ちゃんに恋してる・・・・・・って話変わってる!!!!
「あ、銀さんと新八。・・・よかった、父の浴衣入ったんですね」
神楽の着崩れた浴衣を直し終えると、は笑みを浮かべて俺たちを見た。
横目で新八を見るとほのかに頬が赤ぇ。
俺は肘で新八をつつく。
それに気づくと新八は慌てて、表情を作る。
俺はというと・・・もう頬緩みっぱなしですよ。
「す、すいません・・・さん。僕らまで」
「いいのよ。二人がいつもの格好じゃ、私と神楽浮いちゃうから。・・・あ、新八此処崩れてる。動いちゃ駄目よ」
「えっ!?・・・あっ・・・す、すす、すいません」
ちょっとぉぉぉおぉおぉおおぉおお!!!!!
待て待て待て待て!!!
何で?何で俺じゃなくて新八なの?!
なんで俺じゃなくて新八にしてんの!?そこおかしくない!?
彼氏俺ですよ?恋人俺ですよ!?
着崩れている新八の浴衣をはニコニコと直し
一方の新八は目の前に居るアイツにドキドキしながらジッと立っていた。
「ん。出来たよ」
「あ・・・ありがとう、ございますさん」
「新八ぃ〜顔赤いネ。何お前興奮してんだヨー」
「なっ、違うし!!」
あぁなんだ?
俺だけ仲間はずれ?俺にはしてくれないのね、チャン。
と、心の中で不貞腐れていた。
「フフフ・・・。あ、銀さんもちゃんとしないと駄目じゃないですか」
「・・・っ」
しかし、どうやらが気づいたのか俺のところに来てくれた。
マジなんでも出来る女チャン、銀さんのお嫁さんにぜひとも来てください。
ていうか、身長差があるから下に目線落としたら
の顔がすげぇ近い。
いやいつもはさぁ、真選組の服着てて
こういうのでさ、抱きしめててさぁそれはそれで可愛いよ。
でも、今日の違う気がする。
なんていうか・・・・・・美人で、目が離せねぇ。
「ん?どうかしましたか銀さん?」
「えっ!?・・・あ、あぁ・・・いや、何でも・・・っ」
が突然俺のほうを見上げるから、思わず超え裏返っちまった。
やべぇ、俺カッコわりぃ。
すっげぇ俺今ドキドキしてる・・・はい、半端ないくらいドキドキしてます。
「な、なぁ」
「はい?」
「ひ、一つ聞いてもいい?」
「えぇ。いいですよ」
高鳴る心臓の音を抑えつつ、俺は目の前に居るを見つめた。
「あのさ」
「はい」
「下、パンツ履いてる?」
「え?」
「「おのれは何を聞いとんのじゃーーー!!!!」」
「ごばぁっ!?」
聞きたいことを尋ねた途端、新八とババァのダブルキックを浴びる俺。
「アンタなんて事聞いてんだ!!」
「おのれぇぇえ、貴様っ!!お嬢様に何たる無礼っ!!その首、このトネが跳ねてやろうかぁぁ!!」
「だって!だって気になったんだもん!!純粋に気になったんだよ其処ぉ〜!」
「いいからその口閉じろエロジジィ」
「次そのようなことを言うてみろ・・・なぎなた持って貴様の首を天高く飛ばしてやるわ!!」
「・・・ちょっとは好きになる相手、選んだほうがいいネ」
「・・・・・ぅ、ぅん。考える、少しだけ」
「待ってチャン!!超誤解!!マジ誤解!!ごめんもう言わないから、別れるとか勘弁してっ!!」
浴衣美人に御用心!
(浴衣美人に心も体も熱くなる!)