「あ、着信入ってた」








カリーナと食事をしていて気付かずにいたが
携帯が点滅で何かを知らせていた。

開いてみたら、着信が入っていて
私が電話に出れなかったのか留守電まで残っていた。



耳に当てて、入っていたメッセージに耳を傾ける。



ふと、電話元から聞こえてきた声に心臓が高鳴り
メッセージが切れたと共に、心が落ち着く。






誰からだったの?」


「バニー。でも留守電にメッセージ入ってた」


「掛け直さなくていいのかしら?愛しのバニーちゃんに」


「や、やめてよカリーナ」







カリーナは嫌味ったらしくバニーの名前を言う。


掛け直そうにも、今それをやってしまったら彼の迷惑になってしまうのでやめている。







「バニー・・・急な仕事が入ったんだから、掛け直せないよ。迷惑になっちゃうし」



「ふぅーん、あっそ」



「それよりも、バニーのラジオにハガキ送ったけど・・・いいのかな?」



「いいのよ。アイツが恋愛相談されて自分の立場に置き換えた時の事考えたら、アンタにも会いたくなるわよ。
ていうか、会うっていうより早く帰ってくるが、正しいわね」







カリーナはジュースを飲みながらそんな事を言う。



此処しばらくバニーの顔を見ていない私は不安だった。
自分から電話するにも、何だか時間を考えなければ申し訳が無いような気がしている。

だからといって、夜遅くまで起きていると次の日が学校だから無理。



近くに居るようで、とても遠い存在のバニー。



好きな気持ちは十分あるのだけれど、不安でたまらなかった。






それをカリーナに相談すると・・・・・・。










「でも、やっぱりバニーのラジオにさ・・・恋愛相談を送るの迷惑じゃないかな?」



「恋する乙女を困らせてるんだから、あんな兎困ればいいわ」



「カリーナ」






バニーのラジオに新しく設けられるお悩み相談のコーナーに
恋愛相談のハガキ(もしくはメール)を送ってみたらどうだろうか、という返答が来た。




今となっては、バニーはラジオのパーソナリティも勤めるほどの人気っぷり。



雑誌の取材に、テレビの出演、ラジオのパーソナリティに、加えてのヒーローとしての活躍。


逢えない時間が多くなりすぎて、私は不安になっていた。




そんなときに、彼のラジオでお悩み相談のコーナーをするという情報を
カリーナから聞き「此処は一つ、アイツを困らせてやりましょう」というほんのイタズラ心から
この行動は始まった。







「でもさ、何で名前(ラジオネーム)にアンタはウサギを入れたのよ。気付かれたらどーすんの?」



「バニーのラジオに困らせる目的で恋愛相談のネタ送ったらいいんじゃないって言ったのカリーナだし
内容はともかくとして、ラジオネームは私が考えていいって言ってくれたのもカリーナなんだから、そう言われても」







そんなカリーナの考えに私は乗っかった。
別に困らせる目的とか、そんなことは思っていなかった。

私は彼に自分だとバレないように上手く言葉を選びラジオ局にハガキを送ったのだ。








「事前に内容チェックしたけどさ、あんなのでいいの
ていうか、普通にボツにされそうな内容だったけどね・・・読み返してみたら」



「別にいいよボツにされても。それに私、少しでも何処かバニーとの繋がりがあればそれでいいの。
彼が私の手紙、読んでくれたらまぁ嬉しいんだけどね」



「健気っていうか・・・何ていうか。ホント、なんであんな兎好きになったのか謎過ぎる」






カリーナはもう呆れたため息を零しテーブルに置いてあるピザを頬張った。
一方の私はと言うと、ただ苦笑を浮かべた。





本当は、凄く会いたいし・・・会って色々話したい。




でも「早く帰ってきて」なんてワガママも私なんかが言えるわけがない。




時間のサイクルも違うし、歳も違う・・・そして、彼は誰もが憧れ慕うスーパーヒーロー。





そんな彼を、私はただ画面越しで見守ることしか出来ず
たった一つしかない携帯電話の繋がりを待つしかなかった。




今日も待ったけど・・・結局、彼は街のどこかで笑顔を振りまいている。

私の知っている表情ではないけれど
それでも、私の隣に居るときの幸せそうなバニーの笑顔を、私は見たいのだ。



ふと、携帯電話に目が行く。

先程残っていた留守番電話。
携帯に残っていたのは、彼の声・・・でも、目の前に居る声ではなかった。











『突然の電話すいません。どうしてもの声が聴きたくて・・・でも、電話に出ないみたいですし
僕も突然仕事が入ってしまって・・・本当にごめんなさい。きっと虎徹さんかカリーナさんと食事をしているんですよね?
楽しんでいる時間を邪魔してしまってすいません。今度はもう少しタイミングを考えてからにします。
ではまた、日を改めて・・・いえ、近いうちに電話します。その時はどうか・・・ほんの数秒でいいんです・・・』




















「『君の声が・・・聴きたい』」




「え?・・・あっ、ちょっと・・・何泣いてんのよ




「・・・っ・・・バニー・・・バニー、逢いたいよぉ・・・」












携帯電話を握ったまま留守電のメッセージを思い出し私は泣いてしまった。







側に居るはずなのに、遠くに感じる。



同じ部屋に、同じ空間に居るはずなのに、どうして私と貴方の距離はこんなにも遠いの?




貴方が居ないと、私は泣き虫になってしまう。




だから、私は気付かれたくないけれど・・・気付いてほしくて―――。






『泣き虫ウサギ』と、偽りの名前をハガキに込めたのだった。






気付いてほしくない、ようで、気付いてほしい・・・貴方に、私の存在を。





A rolling stone gathers no moss.
(”石の上にも三年“報われると信じて待つけれど、それはいつなの?) inserted by FC2 system

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