『Hi!ラジオパーソナリティの方、バーナビーです。
さて、今夜も始まりました【HERO RADIO】。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?』







今日も今日で、バニーのラジオをつけた私。

録音されたもので、本人は現在生放送のトーク番組に出演中。
それを録画しながら私はイヤホンでラジオに耳を傾けていた。









『今日はですね。実はゲストを呼んでます・・・この方です』


『どうも!ラジオのゲストに来た方、ワイルドタイガーです!』


『いらっしゃいませ、タイガーさん。ようこそ、僕のラジオに』


『いやぁ〜一回でいいからこういうのお呼ばれしてみたかったんだよな俺』







どうやら、今日はタイガーさんがゲストで登場。


バニーの声からして、少し声のトーンが上がった。今まで一人で放送していたから
何かと安心したのだろうと、勝手な解釈をしていた。








『今日は僕の相棒ワイルドタイガーさんと一緒にラジオを進めていこうと思います』


『何でも今日はバニーの』


『タイガーさんそれはCM明けてから言うヤツですよ、まだ言わないでください』


『あ、すまん』


『何だか前途多難な今回の放送ですが最後までDon't miss it!!』


『どぉん、と、みす、いっと!!』




CMに入り色んなのが流れ始める。


しかし二人のやり取りが普段と変わらなさ過ぎて思わず笑ってしまった。


ラジオのCM中、ふとテレビに目を映すと
バニーは笑って喋っている。




明日も、こんな風に・・・笑ってくれるだろうか、少し心配でならなかった。




置手紙をして・・・彼はそれを受け取ってくれた。
でも、当日・・・早く帰ってきてくれる保証は・・・私には見出せなかった。


私のワガママ・・・聞いてくれるだろうか、なんて不安でたまらなかった。





そんな気持ちで溢れていると、CMが明けラジオが再び始まった。









『さて。じゃあさっき危なく言いかけた、タイガーさんタイトルを』


『今日はバニーの誕生日前夜!明日事件は勘弁してくださいね・・・って、コレ個人的な警告じゃねぇか』


『誕生日くらい穏やかに過ごしたいんですよ僕は。誕生日は何かと踏んだり蹴ったり多いんで』


『だよなー・・・俺とコンビ組み始めたときもさぁ』






そう言って二人はコンビを組み始めた頃に
バニーの誕生日に起きた事件の話をし始めた。


私と出会う前も、彼は誕生日の日に事件に遭遇していたのか・・・と考えたら少し笑えた。








『前も、ハロウィンで慈善活動していたら事件発生でしょ?』


『お前確かあん時、ドラキュラの格好のまま人質救助に向かったよな』


『あの後、映像見せてもらったらテレビ映り良くてびっくりしました』


『お前の着眼点其処かよ!?』







二人の話は、前の・・・バニーの誕生日の話に移る。


あの時は・・・そう、バニーはドラキュラの仮装のまま私を助けに来てくれたのだ。
私の命が懸かってる、ヒーロースーツに着替える暇はないと言って
生身の体で人質に捕られた私を助けに来てくれた。



本当にあの時は嬉しくてたまらなかった。



誕生日を迎えるまで、黙ってアルバイトをしていて
資金集めのためとはいえ、モデルという見世物の仕事をして彼を怒らせてしまい
私はマンションを飛び出し、彼と当日まで口を聞かずにいた。





でも、事件の後は・・・・。








『だけど、その後は素敵な誕生日過ごしましたよ。
僕の大好物のロールキャベツを食べて、ケーキ食べて、大満足でした』


『ほぉ〜』







彼の大好物のロールキャベツを振る舞い、ケーキを二人で一緒に食べた。



あの時のバニーはとても嬉しそうに笑ってくれた。

白いクリームの盛られたケーキを二人で分け合いながら食べ
バニーに無理して食べなくてもいいよ、と問いかけたら彼は
「残すのはマナー違反です。それにの作った料理を残したらそれこそ罰が当たります」と
言ってケーキを食べてくれた。






『誕生日プレゼントも、手作りのお香や名前と誕生日入りのネックレス貰ったりと・・・至れり尽くせりで』



『すげぇな。キング・オブ・ヒーローは誕生日の祝い方も違うってか?』



『普通ですよ普通』





トークに笑みが零れ、二人で祝った誕生日の日の事を思い出す。



そういえば、料理やケーキを前回より豪華にするとバニーにメールを送ったが
正直なところ何を作るか決めていない。








『今年は、出来たら以前食べたビーストロガノフが食べたいです』


『いつ食ったよ、んなの?』


『タイガーさんは一緒に食べるはずだったですけど食べれなかったじゃないですか、用事があるとか言って。
あの時タイガーさんの分も僕が美味しく食べさせていただきました』


『・・・・・・はぁ!?おまっ、俺が居なくなった後んなの食ってたのかよ!?ずりぃ〜!!』





一瞬タイガーさんの言葉が入る前、間があったけど
ビーストロガノフという、単語でハッとした。

バニーは確かロールキャベツ以外にもビーストロガノフが好きだったことを思い出す。

私はノートの片隅にメモ書きで
明日ビーストロガノフ、と書き留める。






『ケーキも、去年は生クリームたっぷりの大きなケーキを食べたんですが
今年はドーム型のケーキ食べてみたいですね。下は白いレアチーズムースで
ストロベリーとラズベリーのソースでコーティングしたヤツ。
レアチーズムースの中にもラズベリーソース入れていただきたいですね』


『い、一般家庭で作れんのか、んなもん』


『頑張れば作れるんじゃないんですか?ドーム型って言ってもボールとか使えばドーム型になるし』


『ハードルたけぇ』


『お料理上手な方なら作れますよ』


『料理研究家とか、有名ホテルシェフに頼め』


『僕は一般家庭的なモノがいいんです』






ドーム型のケーキ。


私はノートにイメージ図のようなものを描いていた。

バニーが帰ってくるのが夜だと仮定すれば
材料揃えても良いし、メインのビーストロガノフなら少し程度材料が揃っている。

ラジオを聴き終わってからでもこっそり作り始めてもいいかもしれない。







『まぁ僕基本嫌いなものないんで・・・何でも食べれます』


『お坊ちゃんのクセに好き嫌いはねぇんだな』


『マヨラーのタイガーさんに言われたくないです』


『うるせぇよ』


『しかし2回も事件に見舞われたので明日こそは普通に過ごしたいですね。
だから明日事件を起こそうとしている犯罪者の皆さん。出来たら明後日に起こしてくださいね』


『ヒーローが犯罪者に忠告してどーすんだっつーの』


『ですが、犯罪の撲滅運動にはなると思いますよ?』


『あ、それもそうだな』






タイガーさんの一言に笑う私。



ビーストロガノフに、ドーム型のケーキ。

とりあえず作るものは決まった。
ノートの片隅に書いていたことが、いつの間にかノート全体に行き渡っていて
しかも丁寧に自分で赤い丸を書いていた。







忘れるな、と言わんばかりの弧を文字の上に描いて。







『前は、驚かそうと思っていたんですけどね。逆に驚かされちゃいました』


『何の話だ?』


『僕の知り合いの話です。今つけてるネックレスもその方からの頂き物です』


『頑張ったんだなぁ』


『えぇ。本当に頑張ったんだと思います・・・ですが例えプレゼントは無くても僕は何でも嬉しいですから』


『は?な、何言ってんだバニー?その話は・・・』


『その話って・・・僕はリスナーからバーナビーさんの誕生日、今までどんな風に祝っていましたか?とかいう
質問が多かったので。あと、好きな食べ物・・・何がありますか?とか
ケーキは何がお好きですか?っていうので、まとめて答えさせていただきました』


『考えたな、お前』


『質問が多いと答えるのに時間かかりますから。ラジオの尺っていうのもありますし。
でも良かったでしょ?僕らの思い出話もラジオをお聴きの皆さんにお教えすることが出来ましたし』


『だ、だな』




バニーが真面目な事を言うし
ネックレスの事を言うものだから、まさか私に向けてへの言葉かと思いきや
ただリスナーのお便りの質問の多さにまとめて答えていたらしい。

確かに公共の電波でそんな事を言って、気付かれてしまえば
彼がパーソナリティーを降ろされてしまうし私との関係もバレてしまう恐れがある。






『それでは、僕らの曲を聴いてお別れしましょう。タイガーさん、今日は来て下さってありがとうございました』


『いやいや。また呼べよな』


『もう無いと思います』


『だっ!?お前はっきり言うなよ!!』


『曲はタイガー&バーナビーで【正義の声が聞こえるかい】。ではまた次回・・・See you!!』
『バニー、俺の言葉無視かよ!?』




そう言って二人の曲が流れ、ラジオが終わる。

イヤホンを外すと、丁度点けっ放しにしていたテレビも終わっていた。
録画の終了ボタンを押し、オーディオの電源を落す。





「よし、明日頑張って作ろう。材料もチェックしなきゃな」






しかし、今日はずっとバニーの話だったから
『泣き虫ウサギ』のハガキを送った意味はあんまり無かった。

だけど、有力な情報を得られたから結果オーライ。


私はキッチンへと走り明日の準備を始めるのだった。




























--------PRRR・・・ガチャ!





「もしもし虎徹さんどうかしました?」



『ラジオ・・・改めて聴いたけど、いいのか?』




生放送の番組が終わり、僕は携帯に出た。
相手は虎徹さんから。

出てすぐ、彼の口から今日放送のラジオの話題が出てきた。



「もしが僕の言ったとおりのモノを明日作っていたら彼女は間違いなく『泣き虫ウサギ』です。
まぁそうでなくても、が『泣き虫ウサギ』ではないかと思ってるつもりです」



『だからって・・・』



「罠に嵌めたようなことをしなくても・・・って言いたいんですよね、貴方は」





確かに、僕は今日放送のラジオをで罠を仕掛けた。

それはもちろん・・・泣き虫なウサギを捕らえるための、簡単な罠。







「ですが僕はちゃんと『泣き虫ウサギ』の問いには答えたので。罠に嵌めたつもりはありませんよ?」



『まぁた、んな事言って。知らねぇぞ・・・その事実知ったアイツがどんな反応するか』



「大丈夫ですよ。こんなことでは怒ったりはしませんから」






そして、僕は収録終わりに貰ったハガキを見つめる。




『バーナビーさん。もうすぐ彼の誕生日なんです。
お料理とか去年と同じだと彼の気分を下げてしまいそうで
なかなか決まりません。バーナビーさんだったら何が食べたいですか?
あと、プレゼントとかも教えていただけたら嬉しいです。
泣き虫なウサギからの最初で最後のお願いを叶えてくれませんか? R.N 泣き虫ウサギより』








「・・・・・・・・・・・・」





最初で最後なんて、言わないで。

もっと、もっと僕は君と繋がっていたい・・・だから、明日早く帰る、約束する。



だからお願い。


最高の言葉を・・・『お誕生日おめでとう』というその言葉を、僕にください。







The end justifies the means.
(”嘘も方便“明日、君(貴方)のために、その願いを叶えるから) inserted by FC2 system

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