「タイガーさん!見てください!!」


「ん?・・・お!すげぇじゃん100点か、よく出来たな


「えへへ」





は学校から戻ってくるや否や、テストの答案用紙を誇らしげに
虎徹さんに見せていた。

その立派な点数を見ると、虎徹さんも嬉しそうに笑みを浮かべ
の頭を撫でていた。



そんな二人を僕は見ていた。







「カンニングとかじゃねぇよな?」


「タイガーさん酷いですよ!ちゃんと私勉強しました!」


「ホントかぁ?おめぇの能力使えば一発じゃねぇのか?」


「違いますって私ちゃんと・・・」


「勉強してましたよ」







二人の会話に割りこむように僕は入った。






「夜遅くまで起きて、ちゃんと勉強してました。じゃなきゃこんな点数そう簡単に取れたりはしませんよ」


「バニー」


「まぁ・・・バニーが言うなら。悪ぃな、・・・疑ったりして」


「タイガーさん」




疑ったことを謝罪し、虎徹さんはの頭を撫でた。
それが分かったのか彼女もようやく曇った表情から、また嬉しそうに笑みを浮かべていた。






--------------PRRRRRR・・・・!!!




「悪ぃ、電話だ」





すると虎徹さんの携帯が鳴り響き、彼は部屋から出て行った。

部屋に残ったのは僕との二人。





「あ、ありがとうバニー」


「何がですか?」


「さっき。タイガーさんに、私がちゃんと勉強してくれること言ってくれて」





は嬉しそうに僕に微笑みかけた。


確かにテレキネシスの能力を持った彼女ならテストの点数で疑われてもおかしくはない。
しかし、そんな能力に一切頼ることなくちゃんと勉強している姿を僕は知っている。





「誰の部屋に住まわせていると思ってるんですか?君は」


「ですよね。えへへ」


「100点を取れたのは君の実力です。僕はちゃんと見てるんですから」


「バニー・・・うん、ありがとう」






嬉しそうな表情を浮かべる


その表情を目に焼き付けるだけで、もう心が熱くなり・・・溶けてしまいそうになる。



でも、一つだけ―――――。









「何、バニー?」


「その答案用紙、今度は真っ先に僕に見せてください」


「え?なんで?」


「何でって・・・・・・僕に一番最初に報告して欲しいに決まってるじゃないですか。
君をこんなに近くで見ているのに」


「だ、だってバニー・・・お家帰ったらでいいかなぁって」





あぁ、この子・・・分かってない。





「確かに、あの部屋に帰れば僕は必然的に居ます。居ますけど・・・電話なり何なりして言って欲しいんです」



「バニー・・・無理言わないでよ。学校で電話できるわけ無いじゃない」



「だからって、虎徹さんに見せて・・・僕に見せないのはどうかと思います。僕は・・・ぼくは・・・」




駄目だ。

の事となると、周りが見えていない。
頭の中では分かっているのに・・・いざ言葉に出そうとすると、めちゃくちゃだ。


多分目の前の彼女は困惑しているに違いない。





「バニー・・・どうしちゃったの?」




すると、は僕の手を握ってきた。

握られた手から伝わってくるぬくもりで、頭の中で混乱していた言葉たちが
徐々に正常な言葉を紡ぎ始めた。






「かっこ悪い話・・・君と虎徹さんが喋ってるところが嫌なだけなんです」


「え?」


「君が虎徹さんに恩義を感じているのも分かるし、慕っている気持ちも分かります。
だけど・・・・・・僕は・・・それが無性に嫌で・・・君が、僕以外の誰かに笑いかけるのが・・・・・・嫌で」


「バニー・・・ヤキモチ?」







の言葉に僕は頷いた。

そう、僕は嫉妬していた・・・虎徹さんに。


が虎徹さんにあんな表情するのは分かる。
でも、僕にはあんな表情・・・ちっともしてくれない・・・一緒の部屋に居るはずなのに。

彼女を自分の部屋に住まわせているのは、に家が無いというのもあるが
正直なところ・・・独占していたい。

ただ単に、僕個人の気持ちで彼女を側においてるも同然だった。





「バニー・・・大丈夫なのに。私、前にも言ったよね?タイガーさんのこと」


「自分でもそれは分かってはいるんです。だけど・・・」


「もう、わがままなバニー」


!?」





すると、が僕の体に抱きついてきた。
あまりに突然のことで心臓がすごい速さで鼓動していた。

今なら能力使ってもいくらでも力出そう、な気がした。





「大丈夫だよ、バニー。バニーはね、ずっと私のヒーローで王子様だから」





「だから、大丈夫だよ」


「・・・・・・ありがとう」




の言葉と抱擁に安心した僕は、彼女を抱き返した。




「じゃあ、今度から100点取ったら真っ先にバニーに言えばいいの?」


「いえ・・・もう、いいです」


「え?」


「100点取れたと分かれば・・・いいんです。ご褒美をあげなきゃいけないので」


「ご褒美?」


「えぇ。例えば、こういう――――」



























「おい、バニー・・・ちょっくらバイク・・・って、何やってんだお前ら?」






「タ、タイガーさん!?な、なんでもないですよ!!」


「いや、完全にバニーを壁に能力で叩きつけた時点で何でもないとは言い切れんだろ




「(キスしようとしただけで・・・テレキネシス発動、壁に叩きつけられるとは・・・)」





100点満点のご褒美おあずけ
(「バニー、ごめんね」「大丈夫、です(勉強よりまず能力の使い方を教えなければ)」)
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