「名前で呼んでください」
「はい?」
座って本を読んでいると
バニーが私の隣に座って顔を近づけて真剣な表情で言ってきた。
「バニー?何の話?」
「その呼び方です」
「は?」
「は?じゃないですよ。ちゃんと呼んでください、僕の名前」
「えー・・・いいじゃん。バニーで」
どうやら彼は自分の名前をちゃんと呼んで欲しいがために言ってきたらしい。
また唐突な。
「だってタイガーさんがバニーって呼ぶから」
「でも他の人はちゃんとバーナビーって呼んでます。だったらだって呼べるでしょう?」
「よ、呼べるけど」
「じゃあ呼んでください」
「え〜やだぁ〜。今度でいいでしょ別に」
「今呼んでほしいんです。に呼んで欲しいんです」
「やだってば。私もう寝るね」
本を閉じて立ち上がり、寝室に向かおうとした・・・・・・・が。
「名前呼んでくれるまで逃がしませんよ」
「きゃっ!?」
手を握られ、バニーの腕の中に収まった。
しかもバニーの膝の上に乗ってる!?完全ホールド状態だよね、これ。
逃げ場完全にナシなのコレ!?
「が僕の名前、呼んでくれるまで離しませんから」
「何でこだわるのよ!い、いいじゃんバニーでも」
「たまにはバーナビーって呼ばれたいんですよ。二人っきりの時くらいたまには呼んでください」
「うっ」
ていうか、二人っきりの時って・・・バニーの部屋に戻ってきたら基本二人っきりだよ!
と声を出して言おうとした瞬間、彼の顔が私の顔に近づいてきた。
美しいバニーのお顔が・・・ち、近いっ!?
「バ、バニーッ・・・か、顔が近いっ」
「早く呼んでください。待ちくたびれてしまいますよ」
「何に!?何に待ちくたびれるの!?むしろ、それなるくらいならやめようよ!」
「いいから、ホラ早くしてください」
完全にこの人のペースに巻き込まれてる。
これ以上顔を近づけられたら、能力発動して彼を壁に叩きつけかねない。
私は高鳴る心臓を聞かれないように。
「・・・ビー」
「聞こえませんよ」
「バ、バーナビー」
頬を染めながら、私は彼の名前を呼んだ。
すると私の目に飛び込んできたのは。
「それでいいんですよ、」
「っ!!」
至極嬉しそうに笑うバニーの顔だった。
その表情が目に入った瞬間、心臓が破裂しそうなくらいだった。
か、カッコいいですバニーさん。
「ちゃんと呼んでくれたんでにご褒美、あげましょうか」
「え?」
そう言って、バニーの顔がゆっくり私の顔に近づいて・・・・・・唇が触れ合った、しかも長く甘く。
結局私は彼には勝てないのだ。
歳の差も、身長も、経験も、能力の使い方も、何もかも。
歯が立たないのは承知のうえで、抵抗はするけれど・・・やっぱり無理のようだと、今更ながら思っていた。
わたしはあなたにはがたたない
(分かっていながらも抵抗する、けどやっぱりはがたたない)