「ねぇ、バーナビー」
「ドラゴンキッド・・・どうしたんですか?」
ある日。
ドラゴンキッドが僕のところにやってきた。
「これ、中国の両親が送ってきてくれたんだ。さんと飲んで」
「なんですかこの箱?」
彼女はよくお茶の葉が入っているような小さな缶を僕に渡した。
僕はそれを振ると、中から「シャカシャカ」と擦れ合う音が聞こえてきた。
「中国茶だよ。以前さんに淹れてあげたら喜んでたんだ」
「そうでしたか。ありがたくいただきます、きっとも喜びますよ」
「えへへ。あ、そうだ・・・これね、僕が聞いた話なんだけど。嘘かどうかは僕も知らないんだけどさ」
「はいなんですか?」
「実はそのお茶・・・・・・」
-夜・バーナビーのマンション-
「パオリンがくれたの?」
「えぇ。以前彼女が淹れてくれたお茶を君が喜んでいたから、それで彼女が渡してくれと」
「ホントー!明日パオリンにお礼言わなきゃ」
夜。
マンションに帰り、僕は昼間ドラゴンキッドから貰った
中国茶の茶葉が入った缶をに渡す。
それを渡して、事情を話すとは飛び跳ねながら喜んでいた。
「私、このお茶好きなの。今から飲もうかなぁ〜・・・あ、バニーも飲む?」
「そうですね。・・・じゃあいただきます」
「待ってて!すぐ淹れてくるね」
「えぇ」
は嬉しそうにキッチンへと走っていった。
僕はというと椅子に座り、彼女がお茶を持ってくるのを待つ。
しかし・・・昼間のドラゴンキッドの話が本当なら・・・・・・。
「おまちどうさま〜」
考え事をしていると、がカップを持って戻ってきた。
僕はそれを受け取ると中からは心地よい香りがかもし出され、鼻を優しく刺激していた。
「へぇ〜・・・いい香りがしますね」
「でしょー。あのね、ジャスミン茶ってねリラックス効果があるんだって。だから疲れたときによく
中国の人は飲んでたんだよー」
「そうなんですか。は物知りなんですね」
「パオリンの受け売りだよー。今日はぐっすり眠れるねバニー」
「えぇ、そうですね」
そう言いながらカップに入ったお茶を口に含みながら、を見る。
頭の中で駆け巡るのは・・・昼間の話。
「ホントかどうかは知らないけど・・・ジャスミン茶って昔、媚薬効果があったから精力剤として
一部じゃ飲まれてたって話を聞いたんだ」
「媚薬、効果」
「うん、元々リラックス効果があるお茶だからね。気分を明るくする成分も含まれてるから、そのせいもあるかも。
まぁ大昔の話だし、それが本当の話なのかは分からないんだけどさ。僕も聞いた話だから」
「・・・・・・・・・」
「だからってさんに飲ませすぎないでよ」
「分かってますよそれくらい。子供じゃないんですから」
とは言ったものの、何だか気になって仕方がない。
確かに香りがリラックス効果を高めて、気分を明るくしてくれる。
だからそう言われていたのかもしれない。
しかし、気になる。
というか、僕も飲んでも飲んだ。
今日はこれ1杯でいけるか?・・・明日はの学校が休みなワケだし。
そう聞かされたら・・・試す価値はあると思う。
考えていたら、カップの中のモノがない。
白いカップの底を見つめる。
「・・・・・・・・」
「バニー?・・・どうしたの?」
「・・・いえ。もう1杯いただけますか?」
「あ、気に入ってくれたの?じゃあ淹れてくるね!」
そう言っては僕のカップを持って再びキッチンへと向かった。
僕はというと―――――。
「(・・・今日は素敵な夜になりそうだ・・・)」
色々考えて、笑みを浮かべていた。
魅惑のお茶、どうぞ召し上がれ
(さて、この後僕らがどうなったかは皆さんのご想像にお任せするとします)